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暴行の事例ごとに逮捕の可能性や示談について解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
暴行の事例①:駅員への暴行
1.逮捕の可能性
ほとんどの方が酒に酔っており、周囲の人を傷つけるおそれがあるため、逮捕される可能性は高いです。ただ、罪を認めて反省すれば勾留されずに釈放されることが多いです。
2.示談交渉の流れ
JR等の大手鉄道会社では、駅長や助役が示談交渉の窓口になります。まずは、弁護士が、駅長や助役を通じて、被害者の方に加害者のお詫びの言葉をお伝えし、被害状況を確認します。
その後、弁護士が示談の条件を提示し、駅長や助役を通じて被害者に確認してもらいます。示談書については鉄道会社の法務部がチェックする場合が多いです。
示談金額については、会社のチェックが入ることもあり、適正な金額でまとまります。不当に金額を吊り上げられるということはありません。
暴行の事例②:タクシー運転手への暴行
1.逮捕の可能性
本人は泥酔しており取調べにならない場合が多く、逮捕される可能性が高いです。ただ、罪を認めて反省すれば勾留されずに釈放されることが多いです。
2.示談交渉のポイント
タクシー運転手は示談交渉に慣れている方が多いです。金額をつり上げられないよう交渉力のある弁護士に依頼した方がよいでしょう。
タクシー運転手に暴行した場合、暴行の前後にタクシーの車体やシートを蹴ったりして修理が必要になることもあります。その場合は、暴行罪に加えて器物損壊罪でも立件されることが多いです。
示談については、タクシー運転手(暴行)とタクシー会社(器物損壊)の双方と成立させる必要があります。
示談交渉については、運転手も含めてタクシー会社がまとめて対応する場合と、運転手とタクシー会社が別個に対応する場合があります。器物損壊は親告罪(告訴がないと起訴できない犯罪)ですので、示談に加えて告訴も取り消してもらいます。
暴行の事例③:けんかによる相互暴行
1.相互暴行とは
相互暴行とは、簡単に言うとケンカのことです。お互いが暴行の加害者でもあり、被害者でもあるケースです。
2.逮捕の可能性
けんかの過程でどちらか一方が優勢になり、他方に対して一方的に暴行した場合は、優勢になった者のみ逮捕されることがあります。対等の状況でお互いに殴打している場合は、二人とも逮捕されないことが多いです。
3.処分の方向性
まず暴行罪で立件され、診断書が提出されれば傷害罪に切りかわります。当事者間で暴行やけがの程度にそれほど差がなければ、示談すれば警察署限りで事件が終了するか、書類送検された上で不起訴になるでしょう。
示談しなければ、書類送検され、処罰される可能性が高くなります。初犯であれば、罰金の可能性が高いです。
「相手にも暴行されたのに処罰されるの?」と思われるかもしれませんが、示談をしなければ、喧嘩両成敗となり二人とも処罰される可能性が高くなります。
4.示談交渉のポイント
相互暴行の場合、お互いが被害者であると同時に加害者でもあり、双方にとって示談をするメリットは大きいため、早期に示談がまとまるケースが多いです。
けがの程度が同じであれば、お互い示談金なしで示談することも考えられます。ウェルネスの弁護士がそのような示談を締結したこともあります。
暴行の事例④:性犯罪的な暴行
1.暴行罪で立件されるケース
性的な意図をもって女性の胸や下半身に接触した場合、不同意わいせつや迷惑防止条例違反が成立しますが、「肩に手をおく」、「腕をつかむ」など性的な部位以外に接触した場合は暴行罪で立件されることが多いです。
2.逮捕の可能性
肩に軽く接触するなどそれほど悪質ではない場合は、逮捕されないことが多いです。首を絞めるなど暴行の程度が重い場合や、身体の一部をなめるなど猟奇的なケースでは逮捕されることが多いです。
3.示談交渉のポイント
通常の暴行事件では、警察が加害者に被害者の電話番号を教えてくれることもありますが、性犯罪的な暴行のケースでは、そのようなことはありません。
そのため、示談交渉をするためには弁護士を立てることが必須となります。
性犯罪的な暴行は、夜間、人通りの少ない場所で行われることが多いです。そのため、被害者は強い恐怖心を抱いています。
示談交渉の際には、そのような被害者の心情に配慮し、現場周辺に立ち入らないことを誓約したり、駅の近くで事件が起こった場合はその駅の利用を制限する等の配慮が必要になるでしょう。