刑事事件と土日

刑事事件と土日

 

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

 

 

土日と取調べ

1.警察での取調べ

逮捕されているか否かにかかわらず、警察での取調べは平日に行われることが多いですが、土日に実施されることもあります。

 

 

逮捕されていない在宅事件のケースで、平日はどうしても警察署に行けない場合は、土日に取調べを実施するよう担当者に依頼してください。もし対応してくれない場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

 

 

2.検察庁での取調べ

検察庁は土日は閉庁しているため、原則として土日に取調べが行われることはありません。被害者や目撃者については、平日に都合がつかない場合に限り土日に取調べが行われることもありますが、被疑者の取調べは平日に実施されます。

 

 

平日に都合がつかない場合は有給休暇等で対応していただくことになります。

 

 

土日と逮捕

逮捕状に基づく通常逮捕は平日に実施されることが多いです。現行犯逮捕緊急逮捕は土日でも平日と同様に行われます。

 

 

詳しくはウェルネスの土日逮捕の専用ページをご覧ください

土日に逮捕 弁護士に無料相談

 

 

土日と釈放

1.勾留前

逮捕された後に身柄を拘束する理由がないと判断されれば、土日であっても釈放されます。

 

 

法律上、警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に、検察官に身柄を引き渡すか釈放するかを決めなければなりません。

 

 

身柄の引渡しを受けた検察官は、24時間以内に裁判官に勾留を請求するか、釈放するかを決めなければなりません。

 

 

裁判官は、検察官から勾留を請求されると、被疑者を勾留するか釈放するかを判断しなければなりません。

 

 

このように、法律が逮捕後の手続きに厳しい時間制限を定めたのは、身柄拘束が不当に長期化しないようにするためです。

 

 

そのため、土日であっても身柄拘束の理由がないと判断された場合には釈放されます。釈放するか否かは、土日当番の司法警察員、検察官、裁判官が判断します。

 

 

2.勾留後

勾留の期間は原則10日、最長20日です。この期間内に検察官は被疑者を起訴するか釈放するかを決めなければなりません。

 

 

まず事件を担当する検察官が被疑者を取り調べ、起訴するか釈放するかの方針を決めます。その後、部長や副部長の決裁に上げます。部長や副部長の決裁が下りれば、起訴するのか釈放するのか正式に決まります。

 

 

部長や副部長の決裁業務は土日ではなく平日に行われます。そのため釈放されるのも平日になります。勾留の満期日(最終日)が土日の場合、直前の平日に起訴されるか、釈放されることが多いです。

 

 

土日と接見

一般の方は土日は被疑者や被告人に接見することができません。これに対して、弁護士は土日も警察署で24時間、本人と接見することができます。

 

 

拘置所では、弁護士であっても、一般の方と同じように、平日の午前9時から午後5時までしか接見できません。

 

 

ただ、公判期日が迫っており、弁護士があらかじめ拘置所に申入れをしているようなケースでは、土日に接見できる場合もあります。

 

 

土日と示談

刑事事件では、加害者が被害者と直接示談交渉をすることはまずありません。多くの場合、弁護士が加害者の代理人として被害者と交渉します。

 

 

被害者の生活パターンによっては、土日に示談交渉をすることもあります。平日は仕事で忙しく、土日しか時間がとれない被害者も少なくありません。

 

 

このような被害者に対しては、弁護士も土日を返上して示談交渉に臨む必要があります。とりわけ、ご本人が逮捕・勾留されており、早期に示談をまとめないと起訴される可能性が高いケースでは、土日に動ける弁護士を探した方がよいでしょう。

 

 

土日と保釈

1.土日と保釈決定

裁判所は土日は閉庁していますので、土日に保釈についての決定が出ることはありません。

 

 

2.土日と求意見

弁護士が保釈請求をした場合、裁判官はまず、保釈が相当かどうか検察官に意見を求めます(求意見)。裁判官は検察官の意見を参考にして、保釈を許可するかどうかを判断します。

 

 

求意見については土日でも対応してくれる裁判所が多いです。東京地方裁判所でも弁護士が求めた場合は土日に求意見を行う運用になっています。

 

 

弁護士が土日に保釈請求する際には、請求した時間にもよりますが、可能な限り土日中の求意見を求めるべきです。これにより保釈の判断が少なくとも1日早まる可能性が高くなります。

 

 

3.土日と保釈意見書

裁判官の求意見を受けて、検察官が保釈意見書を作成し裁判所に提出します。保釈意見書が土日に提出されることは通常ありません。その事件を担当する検察官が平日に作成し、裁判所に提出します。

検察官の保釈意見とは?3つのタイプと活用方法を弁護士が解説

 

 

4.土日と保釈金の納付

保釈請求が許可されただけではご本人は釈放されません。ご本人が釈放されるためには、保釈金を裁判所に納付することが必要です。

 

 

保釈金は裁判所の出納課に納めることになりますが、出納課は土日はお休みです。そのため、土日に保釈金を納付することはできません。土日に電子納付しても着金の確認は月曜日になるため、釈放されるのも同じく月曜日になります。

 

 

例えば金曜日の夕方に保釈が許可された場合は、当日中に納付手続ができなければ、釈放は週明け以降になります。

 

 

保釈が許可された当日に保釈金を納付できるよう、弁護士が保釈請求する際にあらかじめ保釈金の見込み額をご家族からお預かりすることが多いです。

 

土日と裁判

1.土日と正式裁判

裁判所は土日は閉庁しています。そのため土日に正式裁判が行われることはありません。裁判が行われるのは平日の午前9時50分から午後5時までです。

 

 

身柄拘束されていない被告人や情状証人は、忙しくても何とか平日に出廷できるよう調整する必要があります。

 

 

2.土日と略式裁判

略式裁判は検察官が提出した書面のみで審理されます。法廷が開かれないため、被告人や情状証人が法廷に行く機会はありません。

 

 

略式裁判も土日に行われることはありません。逮捕・勾留中の被疑者が略式裁判を受けると、当日中に釈放されますが、略式裁判が実施されるのは平日のみですので、釈放されるのも平日になります。

逮捕・勾留中に罰金となり釈放される流れ

 

 

土日と控訴期間

第一審の判決に対して、判決言渡し日から2週間以内に、控訴の申立てをすることができます。土日であっても2週間にカウントされますが、控訴期間の最終日が土日の場合は、直後の平日が最終日となります。

 

 

 

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