刑事事件と年末年始

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

年末年始と逮捕

逮捕状により逮捕する令状逮捕については、12月初旬から1月3日までの間は、件数が大幅に減少します。

 

いったん被疑者を逮捕・勾留すると、捜査機関は、最長約3週間にわたって、集中的に捜査をして証拠を集めないといけません。法律で勾留期間は最長20日と決められており、検察官は、その期間内に捜査を尽くして、被疑者を起訴するか釈放するかを決めないといけないからです。

 

12月初旬以降に逮捕すれば、勾留期間がもろに年末年始とかぶってしまいます。そうなると、正月休みを返上して捜査にあたらないといけなくなりますので、この期間に令状逮捕するケースは少なくなります。警察官や検察官といえどもやはり年末年始はゆっくり過ごしたいでしょう。

 

もっとも、殺人などの重大事件では、年末年始にかぶるという理由で逮捕をずらすことは考え難いです。また、現行犯逮捕は年末年始であっても通常通り行われます。

 

年末年始と留置場・拘置所

(1)一般の方

12月29日から1月3日の間は、一般の方は面会差し入れすることができなくなります。

 

(2)弁護士

留置場(警察署)では、年末年始であっても24時間接見や差し入れをすることができます。

 

とはいえ、実際に年末年始に接見に行ってくれる弁護士は決して多くはないと思います。ウェルネスの弁護士は、年末年始であっても稼働していますので、お気軽にご連絡ください。確実に接見に行くことをお約束はできませんが、事案によっては初回接見も可能です。

 

拘置所では、弁護士も一般の方と同じく12月29日から1月3日の間は接見できません。

 

年末年始と検察庁

検察庁も12月29日から1月3日は閉庁していますが、勾留請求を担当する検察官は、年末年始でも交代制で勤務しています。

 

警察は被疑者を逮捕すると、48時間以内に検察官に身柄を引き渡さないといけません。この「48時間ルール」は年末年始であっても適用されるため、当番の検察官が交代で勤務しています。

 

検察官は被疑者を取り調べた上で勾留請求するかどうかを判断します。

 

年末年始と裁判所

裁判所も12月29日から1月3日は閉庁しています。この期間に裁判が行われることはありませんし、保釈の決定が出ることもありません。

 

例外として、勾留質問を担当する裁判官は年末年始であっても交代制で勤務しています。被疑者の身柄を受けとった検察官は、被疑者を釈放しないときは、24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しないといけません。この場合、裁判官は被疑者と面接し、勾留するのか釈放するのかを決めます。

 

裁判官は、検察官が勾留請求した当日か翌日に、被疑者と面接します。検察官の業務が年末年始でも途切れなく行われる以上、裁判官の面接も途切れなく行われることになります。

 

年末年始と刑事事件

年末年始に発生する刑事事件の傾向としては、お酒絡みの事件が多いという点が挙げられます。

 

飲酒運転で逮捕されるケース、忘年会帰りに泥酔状態で駅員やタクシードライバーに暴力をふるい暴行傷害で逮捕されるケース、電車内や駅で痴漢盗撮をして逮捕されるケースが目立ちます。

 

ご本人は酒に酔っており覚えていないことが多いですが、検察官や裁判官の前でも、「覚えていない」と言い続けると、軽微な事件であっても勾留されてしまい、年末年始を留置場で過ごすことになりかねません。

 

「確実にやっていない」というのであれば否認をすることになりますが、「やったかやっていないかを含めて何も覚えていない」というのであれば慎重な対応が必要になります。

 

まずは年末年始に動ける弁護士が接見をして、対応方針を打ち合わせる必要があるでしょう。

 

 

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