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再逮捕とは?報道や執行猶予との関係など「気になること」を全解説
ニュースで「再逮捕」という言葉を耳にした方もいらっしゃると思います。このページでは、刑事事件に詳しい弁護士 楠 洋一郎が、逮捕された方やそのご家族のために、再逮捕について知っておいた方がよいことをわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
目次
再逮捕とは?
再逮捕には次の2つのケースがあります。
①同じ事件で再逮捕するケース
②別の事件で再逮捕するケース
同じ事件で何度も再逮捕できるのであれば、法律が逮捕や勾留の期間を厳しく定めた意味がなくなってしまいます。そのため、同じ事件で再逮捕することは原則としてできません(一罪一逮捕一勾留の原則)。
そのため、ニュースで報道される再逮捕は、別の事件で再逮捕するケースです。このページでも別の事件での再逮捕について解説しています。
再逮捕は何回までできる?
同一の事件で再逮捕することは原則として許されませんが、別の事件であれば、逮捕状が発付されれば何回でも再逮捕することができます。
刑事手続では、被害者を異にする事件は別の事件という扱いになります。もっとも、被害者が100名いるからといって、100回再逮捕されるわけではありません。
証拠の収集状況や捜査能力の関係から、再逮捕の回数が5回を超えることはほとんどありません。ウェルネスの弁護士は約2000件の刑事事件を取り扱ってきましたが、再逮捕の回数が5回を超えたことはありません。
再逮捕されたらニュースで報道される?
刑事事件が最も報道されやすいタイミングは、最初に逮捕された直後です。このタイミングで報道されなければ、再逮捕された後にいきなりニュースになる可能性は低いです。
それでは最初に逮捕された直後にニュース報道された場合はどうでしょうか?
業務上横領のように被害者が同一の事件で再逮捕された場合は、再逮捕のタイミングで改めて報道される可能性は低いです。
被害者を異にする事件で再逮捕された場合、特殊詐欺のような財産犯については、再逮捕のタイミングで報道される可能性は低いです。
これに対して、不同意性交等のような性犯罪で再逮捕された場合は、再逮捕のタイミングで改めて報道される可能性が十分にあります。
再逮捕されたら罪が重くなる?執行猶予は厳しい?
1.再逮捕された事件で不起訴になった場合
起訴・不起訴は事件ごとに判断されます。再逮捕されたからといって必ず起訴されるわけではありません。
最初に逮捕された事件で起訴されたとしても、再逮捕された事件で不起訴になれば、その事件については刑事裁判にならないので、一概に執行猶予の可能性が下がるとは言えません。
例えば、Bを被害者とする性犯罪で再逮捕された場合、Bとの間で示談が成立して不起訴になれば、Aを被害者とする性犯罪で起訴されていたとしても、執行猶予の可能性はそれほど下がりません。
2.再逮捕された事件でも起訴された場合
最初に逮捕された事件で起訴された状況で、再逮捕された事件でも起訴されれば、無罪にならない限り、罪が重くなるのは避けられません。そのため、執行猶予の可能性は低くなります。ただ、一概に実刑になるとも言えませんので、詳しくは弁護士にご相談ください。
再逮捕されやすいタイミングは?
再逮捕されやすいタイミングは次の3つです。
①前に逮捕された事件で処分保留釈放になった当日
②前に逮捕された事件で起訴された当日かその後数日以内
③前に起訴された事件の公判直後
①について
処分保留とは起訴・不起訴の処分を決めずに釈放することです。検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか釈放しなければなりません。
そのため、20日以内に起訴するだけの証拠を集められない場合は処分を決めずに釈放することがあります。これが処分保留釈放です。釈放すれば期間制限はなくなりますので、捜査を継続することができます。⇒処分保留釈放とは?タイミングや起訴・不起訴との関係について
もっとも、被疑者を本当に釈放してしまうと、逃亡したり証拠を隠滅するおそれがあります。そこで処分保留で釈放した直後に再逮捕することにより、身柄拘束を継続するのです。
②と③について
逮捕してから起訴するまでの期間は最長で約3週間です。この間、警察や検察が起訴に向けて捜査をしていきます。
もし公判まで3週間を切った時点で再逮捕すると、捜査期間の途中で公判が開かれることになり、被疑者の取調べをスムーズに行えなくなります。
起訴されてから公判までの期間は約1か月~1か月半です。公判と公判の間の期間は約1か月です。そのため、捜査と公判がバッティングしないようにするためには、①起訴の当日またはその後数日以内か、②各公判の直後に再逮捕するしかないということになります。
再逮捕された後の流れは?
1.起訴前
再逮捕後の流れは、最初に逮捕されたときと同じです。逮捕は最長3日、勾留は最長20日の期間制限があり、検察官は最長23日の期間内に、再逮捕した事件で被疑者を起訴するか釈放するかを決めなければなりません。
2.起訴後
最初に逮捕された事件で起訴され、その後、再逮捕された事件でも起訴された場合、最初の起訴を「本起訴」、2回目の起訴を「追起訴」と呼びます。3回目以降の起訴も追起訴と呼びます。
本起訴事件と追起訴事件は、同じ裁判所の同じ裁判官が審理します。これを「弁論の併合」といいます。もっとも、1回の公判で全ての事件を審理するわけではありません。
初公判では本起訴事件、第2回公判では1回目の追起訴事件、第3回公判では2回目の追起訴事件というように、各公判でそれぞれの事件の審理が行われるのが一般的です。
判決についても、事件ごとに個別に言い渡されるのではなく、まとめて一つの判決が言い渡されます。刑罰については、複数回にわたって起訴され、まとめて懲役刑が下される場合、「併合罪」といって、法定刑の上限が1.5倍になり、その範囲で実際の刑罰を科されます。
【併合罪の具体例】
①1つの詐欺事件で1回だけ起訴されたケース
判決で下される刑の範囲…懲役1月~懲役10年(詐欺罪の法定刑)
②3つの詐欺事件で3回起訴されたケース
判決で下される刑の範囲…懲役1月~懲役15年
*併合罪の規定により刑の上限が10年×1.5倍=15年になります。
再逮捕と保釈
起訴されると保釈を請求することができます。保釈とは保釈金を裁判所へ納付することを条件として裁判が終了するまで釈放してもらうことです。
起訴された事件が1件だけであれば、起訴直後に保釈請求をするのが一般的ですが、再逮捕が予測されるケースについては注意が必要です。
保釈は人単位ではなく事件単位で許可されます。そのため、最初に逮捕・起訴された事件で保釈が認められたとしても、保釈後に再逮捕されれば、再び身柄拘束されることになります。裁判所に納めた保釈金も判決後まで戻ってきません。
再逮捕が予想される場合は、「これ以上再逮捕がない」ということを検察官に確認した後に保釈請求をすることになります。
再逮捕されやすい4つの刑事事件
再逮捕されやすい刑事事件は次の4つです。
①特殊詐欺
②薬物犯罪
③業務上横領
④集団での不同意強制性交等
①特殊詐欺
特殊詐欺のケースでは、複数の被害者からお金をだまし取っていることが多いです。特殊詐欺は<多数の被害者に対する1つの詐欺事件>で立件されるわけではなく、<被害者1名ごとに1つの詐欺事件>として立件されます。
特殊詐欺のよくある再逮捕の流れは以下となります。
ア:最初に証拠がそろった被害者Aに対する事件(A事件)で逮捕・勾留される
イ:A事件で起訴される
ウ:イと同じタイミングで被害者Bに対する事件(B事件)で再逮捕される
エ:B事件で追起訴される
オ:エと同じタイミングで、被害者Cに対する事件(C事件)で再逮捕される
カ:C事件で追起訴される
②薬物犯罪
薬物犯罪の再逮捕でよくあるのは、最初に覚せい剤の所持で逮捕され、その後に覚せい剤の使用で再逮捕されるケースです。
家宅捜索や職務質問で白い粉末が発見されれば、捜査員によってその場で簡易鑑定され、陽性反応が出れば覚醒剤の所持で現行犯逮捕されます。
覚せい剤の使用については、被疑者の尿をいったん科捜研に送り、そこで鑑定をします。覚せい剤使用で逮捕できるのは、鑑定で陽性反応が出た場合のみです。
通常、鑑定結果が出るまで数日~2週間前後かかりますので、ある程度の期間をおいた後に再逮捕されることになります。
大麻については、大麻を栽培しながら乾燥大麻も所持していた場合、乾燥大麻よりも栽培中の大麻の方が鑑定にかかる時間が長くなります。そのため、大麻の所持で現行犯逮捕された後に大麻の栽培で再逮捕されることになります。
③業務上横領
業務上横領は、長期間にわたり何度も会社のお金を横領するという形で行われることが多いです。被疑者を逮捕すると最長23日以内に起訴するか釈放するかを決めなければなりません。
業務上横領で逮捕する場合、全ての横領をまとめて逮捕すると、捜査対象が多すぎて23日以内に捜査を終えられないおそれがあります。
そこで、多数の横領を時系列に沿っていくつかのグループに分けて、グループごとに逮捕することが多いです。逮捕される際、逮捕状に横領をしていた期間が書かれているので、それを見れば再逮捕されるかどうかがわかります。
自分のしていた横領の期間よりも、逮捕状に書かれている期間の方が短い場合は、再逮捕される可能性が高いです。
④集団での不同意性交等
性犯罪で再逮捕されやすいのは、男性グループが合コン等と称して女性に大量の酒を飲ませたり、飲み物の中に睡眠薬を混ぜたりして、意識もうろうとなったところを、集団で強姦するケースです。
このようなケースでは、同一のグループが複数回にわたって、多数の女性に対して同じような行為をしていることが少なくありません。
そのうちどれか1件で逮捕され、実名報道されると、ニュースを見た他の被害者からも被害届が出されて、再逮捕されることがあります。押収されたスマートフォン等から余罪の証拠が見つかり、再逮捕されることもあります。
再逮捕を回避するための方法は?
再逮捕が予測される事件については、余罪も含めて自白することにより、再逮捕を回避できる可能性が高まります。
最初に逮捕された事件の勾留期限までに、余罪についても自白調書がとられていれば、最初の事件について起訴した上で、余罪については再逮捕せずに捜査を進めていくことが少なくありません。
再逮捕した場合は48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致しますが、再逮捕せずに捜査を進める場合は、捜査書類と証拠物のみ検察官に送致します。送致までのタイムリミットもありません。
このような手続を追送致といいます。
余罪で再逮捕を回避できたとしても、最初に逮捕された事件で起訴されていれば、起訴後勾留されているため、直ちに釈放されるわけではありません。もっとも、再逮捕が回避できれば、保釈請求できるタイミングが早くなるため、釈放のタイミングも早くなることが多いです。
再逮捕と弁護士
事前に再逮捕される可能性があることを知らなければ、再逮捕された本人は大きなショックを受けてしまいます。状況を理解できず動揺した状態で取調べに臨み、不利な供述をしてしまうこともあります。
弁護士が適切に再逮捕の可能性や時期を予測し、再逮捕を回避するためのプランや再逮捕された場合のプランを立てて、本人や家族によく説明しておく必要があります。
⇒弁護士が教える再逮捕されるかどうか知るための4つのてがかり
刑事事件に精通した弁護士でなければ、そのような対応は困難でしょう。特殊詐欺や業務上横領など再逮捕が予測される事件については、刑事事件に強い弁護士に依頼して、再逮捕を見すえた弁護プランを立ててもらいましょう。
ウェルネスの弁護士は、再逮捕された特殊詐欺、薬物犯罪、性犯罪のいずれのケースについても不起訴・執行猶予の獲得実績があります。
これらの事件で家族が逮捕された方は、お気軽にウェルネス(03-5577-3613)の弁護士にご相談ください。
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