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自首の減刑はどれくらい?減刑されるケースとされないケース
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
自首減刑とは?
自首とは、犯人が自己の犯罪事実を自発的に捜査機関に申告し、訴追を含む処分を求める意思表示です。
自首減刑とは、自首したことにより、刑事裁判で言い渡される刑が軽くなることです。刑法42条が自首減刑について定めています。
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条文では「刑を減軽することができる。」とされており、減刑するかどうかは裁判官の裁量に任されています。そのため、自首が成立しても必ず減刑されるというわけではありません。
このように裁判官の裁量に委ねられている減刑を任意的減刑といいます。
例外的なケースになりますが、必要的免除といって、自首をすれば必ず刑罰が免除される犯罪もあります。刑法では、内乱予備陰謀罪、内乱等ほう助罪、私戦予備陰謀罪について、自首の必要的免除が定められています。
刑法の身代金目的拐取等予備罪については、自首が成立すれば、必ず減刑されるか刑を免除されます(必要的減免)。
自首減刑の根拠は?
自首をすれば、なぜ減刑が可能になるのでしょうか?自首減刑の根拠は以下の3つです。
①犯罪の捜査や犯人の処罰が容易になる
②無実の者が冤罪で処罰されることがなくなる
③犯人が反省して自首すれば、非難の程度が下がる。
自首にはこのような面があるので、減刑事由とされているのです。
【自首と不起訴】 上の3つの事情は、起訴されて刑事裁判になった場合だけでなく、起訴前であっても同様に認められます。そのため、自首をすることによって不起訴の可能性も上がると言えるでしょう。 |
自首減刑はどれくらいされる?
自首減刑されるときは、以下のルールに従います。
自首減刑前 | 自首減刑後 |
死刑 | 無期懲役 無期禁錮 懲役10年~30年 禁錮10年~30年 |
無期懲役 | 懲役7年~20年 |
無期禁錮 | 禁錮7年~20年 |
有期懲役 | 最長と最短を5割カット |
有期禁錮 | 最長と最短を5割カット |
罰金 | 最大額と最小額を5割カット |
拘留(1日以上30日未満) | 拘留(1日以上15日未満) |
科料(1000円以上1万円未満) | 科料(1000円以上5000円未満) |
自首で最も多いのは有期の懲役刑が減刑されるケースです。減刑後の懲役刑についても一定の幅がありますが、その幅の中で実際の刑罰(処断刑)が言い渡されます。
代表的な犯罪について、自首減刑前と後の刑罰を比較すると以下のようになります。
犯罪 | 自首減刑前 | 自首減刑後 |
殺人 | 死刑 無期 懲役5年~20年 | 無期懲役または懲役10年~30年 懲役7年~20年 懲役2年6月~10年 |
強盗 | 懲役5年~20年 | 懲役2年6月~10年 |
強制性交等 | ||
強制わいせつ | 懲役6か月~10年 | 懲役3か月~5年 |
強盗 | 懲役5年~20年 | 懲役2年6月~10年 |
詐欺 | 10年以下の懲役 | 5年以下の懲役 |
業務上横領 |
自首減刑されるケース
自首が成立したからといって、必ず減刑されるわけではありません。
自首減刑されるのは、裁判官が、もともと法律で決まった刑(法定刑)の下限よりもさらに軽い刑罰が適切であると判断したときです。
法定刑の範囲内に適切な刑罰が存在するのであれば、あえて自首減刑をする必要がないからです。
例えば、殺人罪の刑罰の下限は懲役5年です。もっとも、介護殺人等のケースでは、下限の5年でも重過ぎる場合があります。
そのようなケースで自首をしていれば、自首減刑をすることにより、下限を2年6月まで下げることができ、執行猶予を付けることも可能になります。
自首減刑されにくいケース
1.長期間が経過した後に自首をした場合
犯行から長期間が経過してから自首した場合は、減刑が認められにくくなります。犯行から10年以上たってから事後強盗殺人で自首したケースで、自首減軽を認めず無期懲役とした判例もあります(名古屋高裁平成17年2月3日)。
一方、犯行当日に自首した場合は、自首減刑が認められやすくなります。
2.警察に捕まるのが時間の問題であった場合
捜査が進んでおり、「自首しなくても捕まるのは時間の問題」という状況であれば、自首をしても、犯罪の捜査や犯人の処罰が容易になったとはいえず、減刑は難しくなります。
警察が事件を認知していない状況で自首をすれば減刑される可能性が高くなります。
3.反省して自首したとはいえない場合
反省していることは自首の成立要件ではありませんので、逮捕されるのが怖くて出頭した場合でも自首は成立しますが、自首減刑はされにくくなるといえるでしょう。
自首が受理されると自首調書が作成されますが、「反省していない」と思われないように、調書の中で反省して自首した旨を書いてもらうようにしてください。
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