業務上横領で自首すべきケースや自首のメリットを弁護士が解説

業務上横領と自首

 

 

このページは業務上横領をしてしまい自首を検討されている方のために、弁護士 楠 洋一郎が業務上横領の自首について知っておいた方がよいことをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

業務上横領で自首すべきでないケース

業務上横領をしても必ず刑事事件になるわけではありません。特に、中小企業の場合は、会社オーナーの意向により、警察に被害を訴えて事件化することよりも、被害金の回収を優先するケースが多いです。

 

 

示談によって事件化を回避できる余地がある場合は、自首すべきではありません。まずは示談交渉に注力すべきです。

 

 

自首すれば警察が事件として受理し、必要な捜査をした上で検察官に送致することになります。裏づけ捜査のため会社の関係者からも事情を聴きます。

 

 

会社としても、当初は刑事事件にすることまで考えていなかったとしても、警察から連絡があれば、被害届や告訴状を出すことも考えられます。そのため、示談をすることにより、刑事事件化を防ぐことができるのであれば、自首するべきではありません。

 

 

業務上横領で自首すべきケース

大企業で数千万円のお金を着服し一部しか弁済できないようなケースでは、示談による解決は難しく、警察に被害届や告訴状を出される可能性が高いです。

 

 

このようなケースでは、刑事事件化を防ぐことは難しいため、あらかじめ自首しておいた方がよいでしょう。

 

 

公務員による業務上横領のケースでは、数十万円程度の着服であっても警察に被害申告されることがありますので、自首を検討した方がよいでしょう。中小企業の場合でも、会社側の処罰感情が強く示談による解決が難しい場合は、自首を検討すべきです。

 

 

業務上横領で自首するメリット

業務上横領で自首するメリットは以下の3つです。

 

1.逮捕の可能性を下げる

自首することにより逮捕される可能性が下がります。逮捕の要件は逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれですが、自首して捜査に協力すれば、逃げたり証拠を隠滅するおそれは低いと判断されやすくなるからです。

 

 

業務上横領で自首した場合、横領額が数百万円程度であれば逮捕を回避できる可能性が高くなりますが、数千万円を超えていれば、自首しても示談が成立しない限り逮捕を回避することは難しいです。

 

 

2.不起訴になる可能性が上がる

自首することにより不起訴になる可能性が高まります。不起訴とは刑事裁判にかけないということです。刑事裁判にかけられなければ、処罰され前科がつくこともありません。

 

 

業務上横領で自首した場合、横領額が200万円以内であれば、示談が成立しなくても、被害弁償や供託をすることによって不起訴になる余地があります。200万円を超えていれば、示談が成立しない限り、自首しても不起訴になる可能性は低いです。

 

 

3.減刑される可能性が上がる

業務上横領で起訴され刑事裁判になった場合でも、自首していれば減刑される可能性が上がります。業務上横領罪の罰則は10年以下の懲役ですが、減軽されれば刑の上限が半分に短縮され5年になります。

 

 

【刑法第42条1項】

罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

 

 

業務上横領で早期に自首した場合は、被害額が数千万円を超えていても、減刑される余地があります。

 

 

業務上横領で自首する際の3つのポイント

1.なるべく早く出頭する

警察が事件を把握し被疑者を特定すれば、その後に出頭しても自首にはなりません。会社が横領した本人にヒアリングして横領の状況を把握すれば、いつでも警察に被害を申告できる状態になります。そうなる前に警察に出頭することが必要です。

 

 

2.弁護士と一緒に出頭する

業務上横領は万引き等の単純な事件と異なり、捜査事項が多岐にわたり、捜査員の負担も大きくなります。本人のみで出頭した場合、「とりあえずまた呼びますので今日は帰ってもらえますか。」等とうやむやにされてしまう可能性があります。

 

 

確実に自首として受理されるように、弁護士が事前に横領の手口や使途、金銭の流れ等をまとめた上申書を作成した上で、ご本人と一緒に出頭し、捜査員に提出します。

 

 

3.罪名を間違えない

経済犯罪の要件は複雑です。ご本人が業務上横領と思っていても、実際は詐欺や窃盗、背任に該当するケースもあります。

業務上横領と詐欺の違い

背任・特別背任に強い弁護士

 

 

罪名を間違えたからといって、自首に該当しないということはありませんが、後々問題になることも考えられます。弁護士でも正しく理解していない方もいますので、経済犯罪に詳しい弁護士にご相談ください。

 

業務上横領の自首同行の弁護士費用

業務上横領の自首同行の弁護士費用は22万円(税込)です。弁護士が事前に事件の概要をまとめた上申書を作成し、出頭後に捜査員に提出します。

 

 

いつでも弁護士にご相談いただけるよう、ご本人が警察署で取調べを受けている間は、弁護士がすぐ近くで待機しています。取調べ終了後は家族が迎えに来なくてもいいように、弁護士が身元引受人になります。

 

 

【関連ページ】

自首に弁護士が同行するメリットや同行の弁護士費用について

 

ウェルネスの弁護士は業務上横領の自首を多数取り扱ってきました。

お悩みの方はまずはウェルネス(03-5577-3613)にご相談ください。

 

 

 

横領・業務上横領のページ

横領に強い弁護士に相談-弁護士費用や示談について

業務上横領で弁護士を選ぶタイミング

業務上横領で逮捕されるケースとされないケース

業務上横領で逮捕や刑罰のめやすは?示談や弁護士費用も解説

業務上横領と自首

業務上横領の示談書の作り方を弁護士が解説-書式あり

弁護士が教える業務上横領の加害者が絶対にしてはいけないこと

業務上横領と詐欺の違い

業務上横領等-中小企業と大企業でどう違う?

業務上横領と労基署の解雇予告除外認定

業務上横領と仮差押え

業務上横領で不動産が仮差押えされた→示談のタイミングは?

飲食店の業務上横領について弁護士が解説

歯科医院での横領について弁護士が解説

成年後見人の横領

業務上横領と身元保証人-どこまで責任を負うのか?

業務上横領した会社が倒産したらどうなるか?

業務上横領の弁護士費用

業務上横領のご質問

業務上横領のご質問2