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最終陳述とは?判決への影響と「してはいけない」3つのこと
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
最終陳述とは?
最終陳述とは、刑事裁判で審理のいちばん最後に被告人がする発言のことです。
刑事裁判では事実を認定するために証拠調べが行われます。証拠調べが終わった後に、検察官と弁護士が証拠調べの結果をふまえて意見を述べます。検察官の意見を論告、弁護士の意見を弁論といいます。
論告と弁論が終われば、被告人に発言の機会が与えられます。裁判官は、被告人に対して「最後に言っておきたいことはありますか?」と尋ねます。
このときの被告人の発言を最終陳述といいます。最終陳述が終われば審理は終了し、残すは判決のみとなります。
最終陳述によって判決は変わる?
最終陳述で被告人が話したことは裁判の調書に記録されます。もっとも、被告人の最終陳述によって、裁判官の心証が有罪から無罪に変わったり、実刑から執行猶予に変わることは考えにくいです。
ただ、裁判官が実刑にすべきか執行猶予にすべきか悩んでいるときに、被告人の真摯な最終陳述が決め手になって執行猶予判決になることはあるでしょう。
最終陳述で何を話せばいいの?
最終陳述は被告人の独壇場です。被告人質問と異なり、検察官から反対尋問されることはありません。基本的には何を言っても構いません。
とはいえ事実認定や法律論については弁護士に任せた方がよいでしょう。特に無罪を主張している否認事件で、被告人が事実認定や法律論について話をすると、弁護士の弁論と矛盾してしまい逆効果になってしまうことがあります。
否認事件ではシンプルに「私は無罪です」と一言で終わらせてもよいでしょう。自白事件では被害者に対する謝罪や反省の言葉、更生の誓い、支えてくれた人への感謝の気持ちなどを述べるのが一般的です。
最終陳述でしてはいけない3つのこと
1.量刑について希望を述べる
最終陳述で、裁判官に対して「すいません。執行猶予でお願いします。」等と言うのは禁物です。裁判官に「この被告人は自分のことしか考えていない。」と思われてしまいます。量刑についての意見は弁護士に任せましょう。
2.感情的になる
被告人の中には、最終陳述で警察や検察に対して感情的に不満をぶつける方もいます。気持ちはわかりますが、感情的になると、被告人の発言全体の信用性が低下してしまいます。警察や検察の捜査に違法な点があれば、弁護士が弁論の中で指摘します。
3.時間が長すぎる
最終陳述はできるだけコンパクトに述べた方がよいです。通常は数十秒~1,2分程度で十分です。法律で「○分まで」と決まっているわけではないですが、事件に関係のないことや同じようなことを繰り返し述べていると裁判長から時間を制限される可能性があります。
最終陳述は心に響く言葉でしめくくる
検挙されてから、送検・起訴を経て裁判が始まり最終陳述に至るまで、少なくとも数か月は経過していると思われます。被告人にとっては激動の日々だったことでしょう。
最終陳述はその間に被告人が考えてきたことを刑事裁判で話す最後の機会です。被告人なりに事件を総括し、自分自身の心に残るような発言でしめくくりましょう。
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