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無免許過失運転致傷とは?逮捕や執行猶予について弁護士が解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
目次
無免許過失運転致傷とは?
無免許過失運転致傷とは無免許運転中に過失により人身事故を起こして被害者にケガをさせることです。
人身事故を起こした時点で運転免許を保有している場合は過失運転致傷、保有していない場合は無免許過失運転致傷になります。
無免許過失運転致傷の罰則
無免許過失運転致傷の罰則は10年以下の懲役です。過失運転致傷と異なり、禁錮刑や罰金刑はありません。そのため、起訴されれば必ず公開法廷で審理され、検察官から懲役刑を請求されることになります。
無免許過失運転致死罪の罰則も10年以下の懲役です。
| 罪名 | 刑罰 |
通常の人身事故 | 過失運転致死傷 | 次のいずれかとなります。 7年以下の懲役 7年以下の禁錮 100万円以下の罰金 |
無免許運転+人身事故 | 無免許過失運転致死傷 | 10年以下の懲役 |
無免許過失運転致傷の条文
無免許過失運転致傷の条文は以下のとおりです。
【自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律】
|
無免許過失運転致傷の時効
1.刑事事件の時効
刑事事件の時効を公訴時効といいます。無免許過失運転致傷の公訴時効は事件発生日より7年です。7年を経過すると起訴することができなくなります。
2.民事事件の時効
無免許過失運転致傷は、通常の人身事故と同じく、民法上の不法行為にあたりますので(民法709条)、民事で損害賠償請求されるリスクがあります。
民事の時効は被害者が損害及び加害者を知った時から5年または事故の日から20年です。
無免許過失運転致傷で逮捕された後の流れ
無免許過失運転致傷が成立する場合、被害者が軽傷の場合を除いて逮捕される可能性が高いです。
無免許運転のみのケースでは、逮捕されても勾留されずに釈放されることが多いですが、無免許過失運転致傷のケースでは、勾留されることが少なくありません。
勾留を阻止するためには逮捕直後に弁護士をつける必要があります。
⇒逮捕後すぐに弁護士を呼ぶには?弁護士の呼び方やタイミングを解説
勾留されると原則10日、勾留が延長されると最長20日わたって身柄が拘束されます。勾留された場合は弁護士が準抗告を申し立て、早期釈放を目指します。
検察官は勾留中に起訴するか釈放するかを決めなければなりません。起訴されればその後も保釈されるまで起訴後勾留が続きます。勾留されたまま起訴されれば、弁護士が保釈請求を行います。
無免許過失運転致傷は重大犯罪ではありますが、否認していない限り初公判前に保釈される余地は十分にあります。弁護士が起訴前から保釈の準備を進め、起訴直後の保釈を目指します。
無免許過失運転致傷で起訴-執行猶予?実刑?
無免許過失運転致傷で起訴された場合は、初犯であれば執行猶予になる可能性が高いです。無免許運転など交通犯罪の前科がある場合や執行猶予中の場合は実刑になる可能性が高くなります。
このようなケースで実刑を回避するためには、被害者との間で「許す」という宥恕文言(ゆうじょもんごん)が入った示談書をとりかわすことが効果的です。
任意保険に加入している場合は、保険会社が示談交渉をしてくれますが、保険会社が使う示談書のフォーマットには宥恕文言は入っていません。
また、人身損害については、被害者の症状が固定してから示談交渉に入りますので、どうしても示談の成立まで時間がかかってしまいます。
検察官や裁判官は示談が成立するまで待ってくれるわけではありませんので、宥恕文言が入った示談書を速やかにとりつけたい場合は、弁護士を入れて示談交渉をすることになります。
無免許過失運転致傷の解決事例
1.事案の概要
ご本人(30代女性・会社員)はうっかり失効で無免許になりましたが、そのことに気づいた後も日常的に車を運転していました。
ある日、ご本人は交差点で右折車両と衝突事故を起こし、相手車両の運転者と同乗者の2名にけがをさせてしまいました。無免許だったこともあり、ご本人は動揺しその場から走り去ってしまいました。
無免許で衝突事故を起こしケガをさせた点については無免許過失運転致傷、その場から立ち去った点については道路交通法違反(ひき逃げ)が成立します。
被害者の一人がナンバーの一部を覚えていたこともあり、事件翌日に捜査員がご本人の自宅を訪れました。ご本人は、知人に車を貸しており自分が起こした事故ではないと嘘をついてしまいました。
2.弁護活動
無免許でひき逃げ、さらに第三者を身代わりにしようとした点であまりにも犯情が悪く、いつ逮捕されてもおかしくない状況でした。
弁護士が受任後すぐに、ご本人が作成した証拠隠滅等をしない旨の上申書やご家族が作成した身元引受書を警察に提出しました。こうした活動により逮捕を免れることができました。
ご本人は無免許であることを家族にも黙ったまま車で家族の送迎をしていましたが、事件後は、家族には公共交通機関の利用を徹底してもらいました。事故車両は売却しました。
被害者は2名いましたが、同乗者と示談が成立し、運転者とも物損について示談が成立し、人身についても示談の成立が見込める状況でした。
裁判で、このような事情を主張するとともに、ご家族にも情状証人として出廷してもらい、執行猶予判決を獲得することができました。
3.弁護士のコメント
無免許過失運転致傷もひき逃げも重大犯罪ですが、被害者が軽傷で、ご本人に前科・前歴がなかったこともあり、執行猶予を獲得することができました。
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