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常習累犯窃盗とは?執行猶予・保釈・常習性について

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

常習累犯窃盗とは?

常習累犯窃盗とは窃盗(未遂)罪を犯し、次の2つの要件にあてはまる場合に成立する犯罪です。

 

①常習として窃盗(未遂)をしたこと

②窃盗(未遂)をした日を基準として、それ以前の10年間に、窃盗(未遂)で3回以上、懲役6カ月以上の刑を受けて刑務所に入ったこと

 

常習累犯窃盗の刑罰は懲役3年~20年です。通常の窃盗に比べてかなり重くなっています。

 

窃盗罪

罰金1万円~50万円または懲役1月~10年

常習累犯窃盗

懲役3年~懲役20年

 

常習累犯窃盗で検挙される方

1.生活に困っている方

常習累犯窃盗で検挙される人の多くは、仕事がなく、周囲のサポートも得られず、その日暮らしの生活をしている方です。ホームレスの方も少なからずいます。刑務所から出てきてすぐにお金がなくなってしまい、食料品を万引きして検挙されることもあります。

 

このような方は身元が不安定なため、100円の菓子パン1個を万引きしただけでも逮捕・勾留される可能性が高いです。国選弁護人として活動していると、このような方を担当することがよくあります。

 

一度逮捕されると、そのまま起訴され、保釈金を準備できないため保釈されることもなく、実刑判決になることが多いです。

 

2.クレプトマニア

クレプトマニアとは、盗みが悪いこととわかっていながら、盗みたいという衝動を抑えることができない精神疾患です。窃盗症とも言われています。

 

クレプトマニアの方はお金に困って盗みをするわけではなく、普通の人と同じように社会生活を営み、家族と同居している方も多いため、逮捕されずに在宅捜査になることもあります。逮捕されても、家族のサポートが期待できる場合は、早期に釈放される見込みも十分にあります。

クレプトマニア(窃盗症)

 

常習累犯窃盗と起訴

常習累犯窃盗の起訴率は96%です。通常の窃盗罪の起訴率(約40%)と比較すると、いかに起訴率が高いかがおわかりでしょう。

*2019年版検察統計年報に依拠しています。

 

常習累犯窃盗は窃盗罪のように罰金刑がないため、起訴されれば略式裁判で終わることはなく、必ず公判請求されることになります。

公判の流れ

 

常習累犯窃盗と執行猶予

法律上、懲役刑に執行猶予を付けられるのは期間が3年以下の場合のみです。常習累犯窃盗は最低でも懲役3年ですから、執行猶予をつけられるぎりぎりのラインになります。

 

もっとも、被告人に特に有利な事情があれば、「酌量減軽」といって、法定刑を半分にしてもらうことができます。その場合は、懲役1年6月~懲役10年となり、執行猶予も十分に視野に入ってきます。

 

ただ、刑務所に入っていた場合は、刑務所を出て刑期が終わった後5年以内に、再び懲役刑の判決を受ける場合は、執行猶予をつけることはできません。

 

この5年しばりにかかってしまうと、どんなに頑張っても実刑になってしまいます。

 

クレプトマニアで家族のサポートが得られる方は、早期に釈放される余地も十分にあります。釈放されれば、「20日以内に起訴」といった厳格なルールはありませんので、逮捕・勾留された場合よりも、刑事手続の進みは遅くなります。

 

そのため、検挙時点では5年以内でも、判決の時点では5年を経過していることも考えられます。執行猶予の可能性を少しでも上げるという観点からも、早期釈放は重要です。

早期釈放を実現する

執行猶予をとるための2つのステップ

 

常習累犯窃盗と累犯加重

累犯とは、次の3つの要件にあてはまる場合をいいます。

 

【要件】

① 以前に懲役の実刑判決を受け刑務所に入っていたこと

② 刑期を終えた日から5年以内に新たに罪を犯したこと

③ 新たな罪の判決が有期の懲役刑であること

 

累犯にあたると法定刑の長期のみ2倍となり、その枠のなかで実際の刑が決まります。実際の刑が2倍になるわけではありませんが、枠の上限が2倍になりますので、連動する形で刑もかなり重くなってしまいます。

累犯とは?累犯加重や執行猶予との関係について

 

常習累犯窃盗にも「犯罪行為の時点から過去10年以内に窃盗(未遂)罪で3回以上、懲役6カ月以上の刑を受けて刑務所に入ったこと」という要件があります。

 

起訴された窃盗について、常習累犯窃盗の要件と累犯の要件の両方に該当することがあります。

 

その場合は、常習累犯窃盗にも累犯が適用されます。常習累犯窃盗は懲役3年~20年ですから、長期を2倍にすると懲役40年になります。ただ、刑法で懲役刑の上限は30年とされていますので、懲役3年~30年という枠の中で実際の刑罰が決まることになります。

 

クレプトマニアは「常習」累犯窃盗ではない?

常習累犯窃盗の「常習性」とは、被告人が窃盗を安易に反復して行う習癖があり、検挙された窃盗がそのような習癖の発現としてなされたことをいいます。

 

常習累犯窃盗の裁判で、被告人がクレプトマニアであること等を理由として、常習性が否定され、通常の窃盗罪で裁かれたケースがあります(高知地裁平成31年1月24日)。

 

この裁判の判決は、被告人が窃盗を成功させるために合理的な行動をしているとして完全責任能力を認めましたが、常習性については、「被告人はクレプトマニア等の精神障害によって、衝動をコントロールすることができずに窃盗に及んだのであり、習癖の発現とはいえない。」として常習性を否定しました。

 

しかし、控訴審は、原判決と同様に完全責任能力があることを前提として、「精神障害の影響を受けつつも被告人の本来の人格によって行われたものということができる。」として常習性を認めました(高松高裁令和1年10月31日)。

 

その後も、一審判決に追随するような判決は出ていないことから、クレプトマニアであることを理由として常習性を否定するのは難しいといえるでしょう。

 

常習累犯窃盗と保釈

保釈には所定の例外事由に当たらない限り認められる権利保釈と裁判官の裁量によって認められる裁量保釈の2つのタイプがあります。

 

権利保釈の例外として、「常習として長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯した」という要件がありますが、常習累犯窃盗はこれにあたりますので、権利保釈は認められません。

 

ただ、裁量保釈の余地はあります。裁量保釈が認められるためには特別の事情があることが必要になりますが、クレプトマニアのケースでは、特別の事情として「治療の必要性」をあげることができます。

 

専門のクリニックで治療を受けるためには、本人が釈放されていることが前提となるからです。家族がクリニックに相談にいき、治療プログラムへの申し込み手続きをすませておく等の準備をした上で、弁護士が裁量保釈を請求します。

裁量保釈とは?保釈につながる5つの「特別の事情」を弁護士が解説

 

 

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