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盗撮で逮捕!勾留を防ぐために弁護士ができること
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
盗撮で逮捕!勾留の要件に該当しないことを主張する
弁護士は、盗撮で逮捕された被疑者が勾留されないようにするため、検察官や裁判官に対し、勾留の要件に該当しないことを主張します。
勾留の要件は次の①②③です。
【勾留の要件】
① 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること |
② 次の3つの要件のいずれかに該当すること A 住居不定 B 証拠隠滅のおそれ C 逃亡のおそれ |
③ 勾留の必要性があること |
【要件①について】
盗撮事件の被疑者は現行犯で検挙され、持っていたスマートフォン等に盗撮画像が保存されていることが多く、①の要件が否定されることはまずありません。
【要件②について】
B(証拠隠滅のおそれ)とC(逃亡のおそれ)の要件が問題になることが多いです。実際に勾留されたケースでは、裁判官によってほぼ確実にBの要件が認定されています。
【要件③について】
他の要件を全て満たしていても、勾留の必要性がなければ勾留は認められません。勾留の必要性は、勾留による捜査側のメリットと被疑者側のデメリットを比較して判断されます。
「事案が軽微で公判請求される可能性が低い」、「勾留が続くと勤務先を解雇される可能性が高い」、「被疑者が重い病気にかかっている」といった事情は、勾留の必要性を否定する方向に作用します。
【まとめ】
弁護士は、盗撮で逮捕された被疑者が勾留されることを阻止するため、「証拠隠滅のおそれがないこと」、「逃亡のおそれがないこと」、「勾留の必要性がないこと」を検察官や裁判官に主張します。
具体的には、これらの事情を意見書に記載して検察官や裁判官に提出したり、裁判官と面談して直接主張します。
盗撮で逮捕!証拠隠滅のおそれがないことをどう主張する?
1.盗撮事件の証拠
盗撮事件の主な証拠は次の通りです。
【盗撮事件の証拠】
①盗撮動画が保存されているスマートフォン
②盗撮の状況が記録された防犯カメラ
③被害者や目撃者の供述
④余罪の盗撮画像が保存されている自宅のパソコン
2.盗撮事件における証拠隠滅のおそれ
それでは証拠ごとに隠滅のおそれをみていきましょう。
①盗撮画像が保存されているスマートフォン
盗撮で現行犯逮捕された後、盗撮に使ったスマートフォンは警察に押収されていると思われます。押収されている以上、証拠隠滅は問題にはなりません。
②盗撮の状況が記録されている防犯カメラ
防犯カメラは鉄道会社などの第三者が管理しているもので、盗撮の被疑者が隠滅できるものではありません。警察も事件後すぐに、防犯カメラの映像データをCD-R等にコピーして保全するため、隠滅を図る意味もありません。
③被害者や目撃者の供述
被疑者が被害者や目撃者に接触し、自分に有利な供述をするように働きかけることが考えられます。少なくとも検察官や裁判官はそのように考える傾向があります。
④余罪の盗撮画像が保存されている自宅のパソコン
余罪は逮捕された盗撮とは別の事件になりますが、逮捕された盗撮事件の処分を検討するにあたって重要な情状事実になります。
検察官や裁判官は、家宅捜索の前に被疑者を釈放すれば、被疑者が自宅のパソコンを隠したり、初期化するなどの証拠隠滅を図るおそれがあると考えがちです。
3.弁護士が主張すべきこと
証拠隠滅のおそれが低いことを検察官や裁判官にわかってもらうために、弁護士は次のように主張します。
①盗撮画像が保存されているスマートフォン
「既に捜査機関に押収されており証拠隠滅の余地がない。」
②盗撮の状況が記録されている防犯カメラ
「第三者が管理するものであり証拠隠滅が不可能である。」、「捜査機関が既に証拠化しており、証拠隠滅の実効性がない。」
③被害者や目撃者の供述
「被疑者は、被害者や目撃者の氏名、住所、電話番号などの連絡先、勤務先などの個人情報を把握しておらず、接触する術がない。」、「被疑者は、本件の処分が出るまでの間、〇〇線を利用しないことを誓約しており、偶然に出くわす可能性も低い。」
事前に被疑者に「本件の処分が出るまでの間、○○線を利用しません」という誓約書を作成してもらいます。 |
④余罪の盗撮画像が保存されている自宅のパソコン
「家宅捜索が実施されるまで、同居している被疑者の親が自宅のパソコンを保管し、被疑者に触らせないことを誓約している。被疑者もその旨同意している。」
事前に「家宅捜索があるまでパソコンを保管し息子に触らせない」旨の親の誓約書、それに同意する旨の被疑者の同意書を作成してもらいます。 |
盗撮で逮捕!逃亡のおそれがないことをどう主張する?
逃亡のおそれが大きいのは実刑判決の可能性が高いケースです。「刑務所に入るのであれば逃げた方がまし」という考えも一理あるでしょう。
これに対して、罰金や執行猶予で終わる事件であれば、家族や仕事を捨ててまで逃亡するとは考えにくいです。
盗撮(撮影罪)は、初犯であれば、示談が成立すれば不起訴になる可能性が高いです。示談が成立しなくても、略式裁判で罰金にとどまる可能性が高いです。いずれにしても、いきなり公判請求され実刑判決になることは考え難いです。
そこで、弁護士が意見書で次のように主張します。
「被疑者に前科・前歴がないことに鑑みると、本件において、被疑者が実刑判決を下される可能性は極めて低く、逃亡という割にあわない行為をするとは考え難い。」
盗撮で逮捕!勾留の必要性がないことをどう主張する?
盗撮は決して重大犯罪というわけではありません。初犯の方であれば、示談が成立しなくても罰金にとどまるケースが大半です。そのため、あえて勾留という形で身柄拘束を続ける必要はないといえます。
また、盗撮で逮捕された方の多くは、普通のサラリーマンです。もし勾留されると最長20日にわたって身柄拘束されますので、会社を解雇される可能性が高くなります。
そこで、弁護士が意見書で次のように主張します。
「本件の内容及び被疑者に前科・前歴がないことを踏まえると、不起訴処分か罰金になる可能性が極めて高い。他方で、被疑者が勾留され身柄拘束がこれ以上長期化すると、勤務先を解雇され生活基盤を失ってしまう可能性が高い。したがって、被疑者の身体を拘束すべき必要性よりも拘束によって被疑者の被る不利益が著しく大きいから、勾留の必要性は認められない。」
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