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盗撮で検挙後に行われる12の捜査
このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
盗撮と捜査
典型的な盗撮事件は次のようなケースです。
エスカレーター上で、スマートフォンで、前に立っていた女性のスカートの中を盗撮したところ、後ろに立っていた人に見つかり取り押さえられた |
このようなケースでは次の12種類の捜査が行われることが多いです。
1.盗撮の被害者から事情を聴く
捜査員が盗撮の被害者から以下の事情をヒアリングします。
・被害者の身元情報(氏名、生年月日、住所、職業など)
・当日どこに向かっていたか
・盗撮されたときの状況
・被疑者が目撃者に取り押さえられたときの状況
・被疑者・目撃者と面識があるか否か
・被疑者に対する処罰感情
被疑者のスマートフォンに盗撮画像が保存されていれば、その画像に写っているのが自分(の下着)で間違いないかを確認します。
盗撮されている状況が防犯カメラに記録されていれば、画像を見て写っているのが自分で間違いないことを確認します。また、被疑者の写真を見せられ、被疑者が犯人で間違いないことを確認します。
捜査員が聴き取った内容をもとに供述調書を作成します。
事件が送検された後に、検察官が被害者を検察庁に呼び出して事情聴取をするケースは少ないです。通常、検察官は電話で処罰感情を確認します。
否認事件のケースで検察庁で事情聴取を行うときは、検察官が被害者に対し、裁判になったら協力してくれるかどうかを確認します。
2.盗撮の目撃者から事情を聴く
捜査員が目撃者から以下の事情をヒアリングします。
・目撃者の身元情報(氏名、生年月日、住所、職業など)
・当日どこに向かっていたか
・目撃者の視力
・目撃者と被疑者の位置関係
・盗撮を目撃したときの状況
・被疑者を取り押さえたときの状況
・被害者の様子
・被疑者・被害者と面識があるか
・被疑者に対する処罰感情
盗撮や取り押さえの状況が防犯カメラで撮影されていれば、画像を見て、犯人を取り押さえているのが自分で、被疑者が犯人で間違いないことを確認します。
捜査員が聴き取った内容をもとに供述調書を作成します。
事件が送検された後に、検察官が目撃者を検察庁に呼び出して事情聴取をするケースは少ないです。否認事件のケースで、検察庁で事情聴取をする場合、検察官が目撃者に対し、裁判になったら協力してくれるかどうかを確認します。
3.盗撮の被疑者に対する取調べ
警察の捜査員が被疑者を取り調べ、以下の事情を聴き取ります。
・本人の身元情報(氏名、生年月日、住所、職業など)
・当日の朝から盗撮するまでの流れ
・被害者・目撃者との面識の有無
・盗撮の動機
・被害者を盗撮することにした理由
・どのようにして盗撮したのか
・目撃者に取り押さえられたときの状況
・余罪の有無
・現在の心境
被疑者のスマートフォンに盗撮画像が保存されていれば、本人が盗撮した画像に間違いないかを確認します。盗撮している状況が防犯カメラに記録されていれば、画像を見て写っているのが自分で間違いないことを確認します。
捜査員が聴き取った内容をもとに供述調書を作成します。身上経歴についてまとめた調書と事件についてまとめた調書をそれぞれ作成します。
送検後に検察庁でも取調べを行い、供述調書を作成することが多いです。示談が成立し不起訴の見込みであれば、取調べを行わないこともあります。
4.家宅捜索
被疑者の自宅を捜索し、PCや小型カメラなど盗撮に関係ありそうな物を押収します。最初の取調べが終わった後に警察車両で被疑者を自宅に送り、そのまま家宅捜索を行うことが多いです。
5.証拠品の撮影
捜査員が盗撮に使われたスマートフォンを撮影し、証拠品写真撮影報告書を作成します。スマートフォンの外観や自局番号を表示した画面を撮影します。
6.スマートフォンの解析
警察が被疑者にスマートフォンを任意提出させます。被疑者に解析同意書に署名・指印させた上で、スマートフォンのデータを解析し、盗撮画像が保存されているか、余罪の画像がないかを確認します。科捜研にデータの復元を依頼することもあります。
盗撮画像が保存されていればデジタルカメラで撮影し、写真撮影報告書を作成します。
7.防犯カメラの解析
捜査員が犯行現場に行き防犯カメラの画像を確認します。犯行状況が撮影されていれば、CD-ROMなどにコピーしたり、デジタルカメラで画面を直接撮影します。画像をプリントアウトして、防犯カメラ解析結果報告書を作成します。
8.盗撮現場の実況見分
被疑者に立ち会ってもらい、犯行現場の実況見分を行います。捜査員2,3名が立会人と一緒に現場に行きます。捜査員が現場のエスカレーター前で写真をとったり、メジャーを使ってエスカレーターの幅などを計測します。見分の結果を実況見分調書にまとめます。
9.目撃状況の再現
警察署内で、目撃者に目撃したときの状況を再現してもらいます。再現している場面を写真にとり、目撃状況再現結果報告書を作成します。
10.犯行状況の再現
警察署内で、被疑者に犯行状況を再現してもらいます。再現している場面を写真にとり、犯行状況再現結果報告書を作成します。
11.戸籍謄本の取りよせ
被疑者の本籍地に照会をかけ戸籍謄本を取りよせます。
12.前科・前歴の調査
警視庁(県警本部)に問い合わせ、被疑者の前科・前歴を調査します。調査結果に基づき、犯罪歴照会結果報告書を作成します。前科がある場合は、送検後に検察事務官が検察庁のデータベースを閲覧して、前科調書を作成します。
盗撮に強い弁護士が解説!