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接見禁止の一部解除ができなくても家族や恋人が面会できるケース
特殊詐欺などの組織犯罪については、共犯者間の口裏合わせを防ぐために接見禁止が付されます。
接見禁止が付されると弁護士以外の方が本人と面会することができません。たとえ、家族や恋人であっても面会することができないのです。
ただ、家族や恋人については、裁判所に対して接見禁止の一部解除を申請することにより、面会が許可されることが少なくありません。
もっとも、逮捕・勾留された本人が容疑を否認したり黙秘している場合は、弁護士が接見禁止の一部解除申請をしても、検察官の反対意見により許可されないことが多いです。
このような場合でも例外的に家族や恋人が本人に面会できるケースについて、刑事事件に詳しい弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
接見禁止がつくタイミング
接見禁止は勾留質問の際に裁判官から被疑者に言い渡されます。
警察は被疑者を逮捕すると48時間以内に検察官に送致します。検察官が「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断すると、その日のうちに裁判官に勾留を請求します。
勾留請求の当日か翌日に、裁判官は被疑者に対して勾留質問を実施し、その場で勾留するか釈放するかを決定します。
裁判官が「被疑者を勾留し接見を禁止すべき」と判断した場合は、その場で被疑者に接見禁止決定書を渡します。
⇒接見禁止とは?接見禁止の理由や期間、解除の方法について解説
接見禁止がつかない空白期間がある
1.処分保留釈放で接見禁止は失効する
実務では、最初に逮捕された事件の勾留満期日に、検察官が処分保留で釈放するケースが少なくありません。
起訴前の勾留は最長20日間しかできません。検察官は、勾留期間内に被疑者を起訴しない限り必ず釈放しなければなりません。
そのため、勾留満期の時点で検察官が「まだ起訴するだけの証拠が集まっていない。」と判断した場合、被疑者を釈放せざるを得ないのです。
もっとも、証拠が集まった時点で起訴できるようにするため、不起訴ではなく「処分保留」で釈放します。処分保留で釈放された場合、最初に逮捕・勾留された事件については身柄拘束を解かれますので、当然ですが接見禁止も失効します。
2.再逮捕されても勾留前は接見禁止がつかない
処分保留で釈放されても自由の身になるわけではありません。なぜなら、処分保留で釈放された当日に、第2の事件で再逮捕されるからです。
⇒再逮捕とは?報道や執行猶予との関係など「気になること」を全解説
特殊詐欺などの組織犯罪では、複数の被害者に対して同様の犯罪を繰り返していることが少なくありません。逮捕は事件ごとに行うことができるため、被害者Aの事件で逮捕した後に、被害者Bの事件で再逮捕することができるのです。
再逮捕されるタイミングは、最初に逮捕された事件の勾留満期日です。つまり、1件目の事件の釈放と2件目の事件の再逮捕が同じ日に行われることになります。
組織犯罪で再逮捕されると、1回目に逮捕されたときと同じように、検察官の勾留請求⇒裁判官の勾留質問を経て勾留されます。
再逮捕された事件について接見禁止がつくのは、再逮捕の当日ではなく勾留質問の日です。そのため、再逮捕されてから勾留質問までの間は、接見禁止が付いていない状態で拘束されていることになります。これが接見禁止の空白期間です
接見禁止の空白期間に家族や恋人が面会できることがある
接見禁止の空白期間に弁護士が警察の担当者に家族や恋人の面会を申し入れると許可してもらえることがあります。許可されれば、通常どおり警察署の留置場で本人と面会することができます。
家族や恋人が面会できるチャンスは1日あるかないか
接見禁止の空白期間に面会できるチャンスは1日あるかないかです。逮捕当日は取調べ等で警察も忙しく、面会を申し入れても認められる可能性は低いです。
東京以外の多くの地域では、被疑者を早朝に逮捕すると、翌日に検察庁に連行します。検察官が勾留を請求するとその日のうちに裁判所に連行し、勾留質問が実施されます。
朝早くに検察庁に出発し夕方以降に戻ってくるため、家族や恋人が面会できるタイミングは1日もないということになります。
午前8時30分以降に逮捕した場合は、2日後に検察庁と裁判所に連行されることが多いので、逮捕翌日の空白期間に警察署で面会できるチャンスがあります。
東京では、被疑者を早朝に逮捕すると翌日に検察庁に連行します。検察官が勾留請求した場合は、翌々日に裁判所に連行し勾留質問が実施されます。
検察庁や裁判所に行く日は朝早くに出発して夕方以降に戻ってきます。そのため、家族や恋人が面会できるタイミングは1日もないということになります。
午前8時30分以降に逮捕した場合は、2日後に検察庁、3日後に裁判所に連行されることが多いので、逮捕翌日の空白期間に面会できるチャンスがあります。
空白期間に家族や恋人が面会する場合の注意点
空白期間に面会できるタイミングがあるか否かについては、事前に弁護士が捜査員や留置係官に確認します。そのため、弁護士からの連絡を待って、面会に行ってください。
空白期間に面会するケースの多くは、本人が事件について否認していたり黙秘しているケースです。
弁護士以外の方が面会する場合は、留置係官が傍にいて面会の様子を記録していますので、否認や黙秘の理由など弁護方針に関する話は控えるようにしてください。主として激励など精神的なサポートがメインになります。