勾留執行停止とは?保釈金ゼロで起訴前からできる一時的な釈放
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
勾留執行停止とは?
勾留執行停止とは、勾留中の被疑者・被告人を一時的に釈放する制度です。被疑者・被告人の身柄を親族などに委託するか、住居を制限することが条件となります。
勾留執行停止は裁判所の職権によって認められています。本人や弁護士に勾留執行停止を求める権利はありませんが、弁護士が裁判所の職権発動を求めるという形で、申立てをすることができます。
勾留執行停止は、保釈と異なり、お金を裁判所に納める必要がありません。また、保釈は起訴された後しか利用することはできませんが、勾留執行停止は起訴前から申し立てることができます。
勾留執行停止が認められやすい3つのケース
勾留執行停止はどんな場合にでも認められるわけではありません。一時釈放する必要性と緊急性のあるケースに限って認められます。
次の3つのケースでは、勾留執行停止が認められる余地が十分にあります
① 病気やケガの治療を受ける必要がある
② 家族の冠婚葬祭に出席したい
③ 入学試験や卒業試験を受けたい
このうち最も多いのが手術や入院治療が必要となるケースです。
勾留執行停止で釈放される期間
勾留執行停止は、必要最小限の期間しか認められません。例えば、冠婚葬祭のために勾留執行停止が認められた場合、釈放されるのは通常1日未満ですし、試験を受ける場合も試験期間のみ釈放されることになります。入院する場合も、治療に必要な期間に限定されます。
勾留執行停止の終期は、「○月○日○時○分」と厳密に決められますので、その時間が過ぎれば再び勾留されることになります。
勾留執行停止の流れ
勾留執行停止の流れは次のとおりです。
① 弁護士が裁判所に勾留執行停止を申し立てる
② 裁判所が検察官の意見を聴く。
② 裁判所が職権を発動する
弁護士が申立てをしてから2,3日で結論が出ることが多いです。
勾留執行停止が認められなかった場合
勾留執行停止は裁判所の職権で認められるもので、保釈と異なり、「請求する権利」まではありません。
そのため、弁護士から裁判所に職権の発動を求めることはできますが、発動されなかった場合、不服を申し立てることはできません。
これに対して保釈の場合は、請求が却下されると準抗告や抗告という形で不服を申し立てることができます。
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