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少年の盗撮事件について弁護士が解説
このページはウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
少年の盗撮事件の特徴
少年事件の多くは、暴行・傷害などの粗暴犯、窃盗・恐喝・特殊詐欺などの財産犯、覚せい剤・大麻などの薬物事犯のケースです。
これらの事件は、地元の友人や先輩と一緒に(または彼らの影響を受けて)行われることが多いです。事件前から少年の生活態度や家庭環境に問題があるケースも少なくありません。
これに対して、盗撮のような性犯罪については、単独で行われ、普段の生活態度や家庭環境に目だった問題がないケースが多いです。非行歴・補導歴がある少年もほとんどいません。
少年の盗撮と逮捕・勾留
少年であっても盗撮をすれば、大人と同様に逮捕されることが少なくありません。
もっとも、少年の勾留については、「やむを得ない場合」でなければすることはできないとされています(少年法48条1項)。
少年の盗撮事件においては、少年の生活態度や家庭環境に問題があるケースは少なく、親の監督を十分に期待できることから、早期に弁護活動をスタートすれば、「やむを得ない場合」にあたらないとして、勾留されずに釈放されることが多々あります。
少年が盗撮すると処分はどうなる?
1.家庭裁判所に送致される
大人の刑事事件は不起訴になり裁判所が関与しないこともありますが、少年事件は原則として家庭裁判所に送致されます。
少年の盗撮事件についても、示談の有無にかかわらず、家庭裁判所に送致されることになります。家庭裁判所に送致された後、少年審判が開かれます。
2.少年院の可能性は低い
盗撮は性犯罪の中では相対的に軽微な犯罪であるため、保護観察中であるとか非行歴が複数あるといったケースを除き、少年院に収容される可能性は低いです。
3.保護観察が一般的
少年の盗撮事件では保護観察になることが多いです。少年審判の席上で裁判官から直接言い渡されます。保護観察であれば、1か月に1回程度、少年が保護司と面談し生活状況を報告する必要はありますが、それ以外は自由に生活することができます。
4.不処分になることも
少年事件では、非行の内容だけではなく、少年の家庭環境や更生の見込みも処分に大きく影響します。そのため、家族が少年と向き合い再犯防止に向けて努力し、少年本人も内省を深めている場合は、不処分になることもあります。
不処分とは、文字通り何の処分もしないという意味です。裁判官が、少年の状況や家庭環境などから、国が介入しなくても再非行を防止できると判断した場合、少年審判を経て不処分にします。
5.保護観察より不処分を目指すべき
保護観察は少年院に収容されるわけではないですが、一定の限度で日常生活にも制約が生じるそれなりに重い処分です。「少年院に入らないのであれば保護観察でいいだろう。」と考えるのではなく、お子さんのために不処分の獲得を目指すべきです。
少年の盗撮と示談
大人の盗撮事件では、検察官が起訴するか不起訴にするかを決めるにあたって、示談が最も重視されます。初犯の方であれば被害者の方と示談が成立していれば、不起訴になる可能性が高いです。
これに対して、少年の場合は、大人の事件のように、示談が処分を画する決定的な事情になるわけではありません。示談といっても被害弁償を行うのは少年の保護者であり、少年自身が身銭を切ってお金を払うわけではないからです。
そのため、大人の事件では示談が成立しなければ起訴を免れることは難しいですが、少年事件の場合は、示談が成立しなくても、その他の活動によっては少年審判で不処分となることがあります。
【少年事件】盗撮の弁護活動
1.内省を深めてもらう
弁護士が少年とコミュニケーションをとりながら、性に対する認知のゆがみを自覚してもらいます。
【認知のゆがみの例】
・盗撮程度であれば、体に触れたわけでもないし、そんなに傷ついていないはず
・被害者にも落ち度がある
・ミニスカートをはいている女性は、下着を見てもらいたいと思っている
その上で、次のような再犯防止策を実践してもらいます。
・通学の際はスマートフォンを手に持たずカバンの中に入れておく
・スマートフォンのパスワードを親に開示し、自宅に帰ったら親にスマホを預ける
・寄り道をせずまっすぐに家に帰る
少年が内省を深め再発防止に取り組んでいることを弁護士が意見書に記載し、裁判所に提出します。少年審判では、弁護士が少年に質問して、裁判官に対して、被害者に対する思いや再発防止策について説明してもらいます。
2.家族の監督
再犯防止のためにはご家族の監督も不可欠です。ご家族には少年のスマートフォンの画像データを確認したり、部屋の中をチェックしてもらいます。
また、少年が受験や交友関係などの問題からストレス過多の状態になり、非行に走ってしまうことも少なくありません。少年の悩みに気づけるよう、普段から少年とよくコミュニケーションをとってもらいます。
弁護士がご家族の監督状況を意見書に記載して裁判所に提出します。少年審判では、弁護士がご家族に質問し、少年との向き合い方を裁判官に直接説明してもらいます。
3.示談をする
上で述べたように、大人の事件と異なり、少年事件では、示談が決定的な要素になるわけではありません。
もっとも、親がお金を払って示談という形で被害者にお詫びすることは、少年に対して率先して責任の取り方を示すものであり、<そのような親は監督者としてふさわしい→更生の可能性が高い>と認定されやすく、少年にとってより有利な処分を得やすくなるという面はあります。
示談が成立すれば、少年審判が開かれない「審判不開始」になることもあります。捜査機関は、少年や保護者に被害者の電話番号を教えてくれませんので、示談交渉は弁護士を間に入れて行うことになります。
4.クリニックに通う必要はある?
大人の盗撮事件の場合、再発防止のために、性犯罪治療を手がけているクリニックに通院することが多いです。これらのクリニックは、主として成人の性依存症患者を対象としており、必ずしも、犯罪傾向の進んでいない少年に適しているとはいえません。
そのため、初発非行の段階では、クリニックに通院する必要まではないでしょう。
ウェルネスの弁護士は少年の盗撮事件で多数の不処分を獲得しています。審判不開始を獲得したこともあります。お困りの方はウェルネス(03-5577-3613)の弁護士までお気軽にご相談ください。
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