盗撮で検挙、余罪があればどうなる?

盗撮の余罪

 

盗撮で検挙されると、盗撮に使ったスマートフォンや小型カメラは警察に押収されます。

 

 

人生で初めて盗撮をして捕まったという方はほとんどいません。多くの方は、捕まる前に何回も盗撮をしています。

 

 

押収されたスマートフォンや小型カメラにも過去の盗撮画像が保存されていることが多いです。画像を削除していたとしても捜査によって復元される可能性があります。

 

 

盗撮で検挙された方は、過去の盗撮(「余罪」といいます)について、次のような疑問をお持ちのことと思います。

 

 

☑ 盗撮の余罪が個別に事件化することはある?

☑ 盗撮の余罪があると処分が重くなる?

☑ 盗撮の余罪が事件化しないようにする方法は?

☑ 盗撮の余罪が事件化したらどう対応すべき?

 

 

このような疑問にお答えするため、弁護士 楠 洋一郎が盗撮の余罪についてまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

 

 

盗撮の余罪で個別に立件されるケースは少ない

現行犯で検挙された盗撮については、刑事事件として立件され、最終的には検察官が起訴するか不起訴にするかを決めることになります。

 

 

検挙された盗撮→検察官が起訴するか不起訴にするか決める

 

 

これに対して、余罪(過去の盗撮)が個別に立件されることはほとんどありません。個別に立件するためには、少なくとも盗撮した日時と場所がある程度特定されている必要があります。

 

 

盗撮した日時については、スマートフォンや小型カメラに保存されている画像ファイルを分析すれば明らかになります。これに対して、盗撮した場所は本人も覚えておらず、画像からも特定できないことが多いです。

 

 

そのため、余罪については場所の特性性を欠くことになり、個別に立件されることは少ないです。

 

 

盗撮の余罪で個別に立件されない時の処分は?

1.余罪については処分なし

余罪が個別に立件されない場合、余罪について起訴・不起訴の判断が下されることはありません。起訴・不起訴の判断が下されるのは検挙された盗撮のみです。

 

 

ただ、余罪があることにより、検挙された盗撮の処分に影響がでることはあります。示談の有無によって場合分けしてみていきましょう。

 

 

2.検挙された盗撮について示談あり

初犯の方であれば、被害者との間で示談が成立すれば、検挙された盗撮は不起訴になる可能性が高いです。たとえ、多数の余罪があったとしても、その影響で起訴される可能性は低いです。

 

 

3.検挙された盗撮について示談なし

被害者との間で示談が成立しなければ、検挙された盗撮について略式裁判で罰金となる可能性が高くなります。

 

 

この場合、裁判官が罰金額を決める際に、余罪があることを考慮して、通常の相場(30万円程度)よりも罰金額を高めにすることはあるでしょう。

 

盗撮の余罪で個別に立件されるケース

上で述べたように、盗撮の余罪で個別に立件されることはほとんどありません。

 

 

もっとも、余罪に関する盗撮の日時と場所が特定されれば、スマートフォンや小型カメラに保存されていた盗撮画像そのものが「盗撮したことの証拠」になりますので、余罪で個別に立件することが可能になります。

 

 

さらに、現場周辺の防犯カメラに盗撮の状況が写っていれば、その映像も裏づけ証拠となり、余罪で個別に立件される可能性が高まります。

 

盗撮の余罪で個別に立件されうる3つのケース

ケース1:コンビニ店内での盗撮余罪

①エスカレーターで前にいた女性をスマートフォンで盗撮したところ、鉄道警察隊に見つかり迷惑防止条例違反で検挙される。

 

②持っていたスマートフォンを押収される。

 

③押収されたスマートフォンから過去の盗撮画像が見つかる。

 

④取調官から過去の盗撮画像について聞かれ、「〇〇駅前にあるコンビニで立ち読みしていた女性客を盗撮しました。」と答える。

 

⑤警察がそのコンビニの防犯カメラを確認したところ、スマートフォンに盗撮画像が保存された日時と同じ日時に、被疑者が盗撮している状況が防犯カメラに映っていた。

 

⑥コンビニ店内の盗撮について迷惑防止条例違反または建造物侵入で立件される。

 

 

ケース2:エスカレーター上での盗撮余罪

①バス停に並んでいた女性のスカートの中をスマートフォンで盗撮したところ、その女性に腕をつかまれ現行犯逮捕される(迷惑防止条例違反)。

 

②持っていたスマートフォンと自宅のPCを押収される。

 

③押収されたPCのハードディスクの中から過去の盗撮画像が見つかる。

 

④取調官から「これは何ですか?」と聞かれ、「〇月〇日〇時頃、〇駅構内のエスカレーターで前にいた女性を盗撮したときの動画です。その女性に見つかり逃げてしまいました。」と答える。

 

⑤本人が供述している日時・場所と同じ日時・場所の事件でAさんから被害届が出ていた。

 

⑥Aさんが被害届を提出した後、警察が犯行現場近くの防犯カメラを確認していた。

 

⑦防犯カメラに映っている人物と逮捕された本人が似ていた。Aさんもマジックミラー越しに本人を観察してこの人で間違いないと警察に報告。

 

⑧Aさんを被害者とする盗撮についても迷惑防止条例違反で立件される。

 

 

ケース3:公衆浴場での盗撮

①電車内でスマートフォンを動画モードにして鞄の中に入れ、その鞄を前に立っていた女性のスカートの下に置いていたところ、他の乗客に見つかり、警察に通報される(迷惑防止条例違反)。

 

②警察で持っていたスマートフォンを押収される。

 

③押収されたスマートフォンの中から、公衆浴場の脱衣場で女児を盗撮した画像が見つかる。

 

④取調官から「どこの公衆浴場でとった写真ですか?」と尋ねられ、「○○にある○○浴場でとった写真です。」と回答する。

 

⑤警察がその公衆浴場を訪問し、盗撮画像に写っている場所と同一であることを確認する。

 

⑥児童ポルノ法違反(ひそかに盗撮罪)で立件される。

 

ご自身の余罪について気になる方は刑事事件の経験豊富な弁護士に相談するとよいでしょう。

 

 

盗撮の余罪で個別に立件されることを防ぐために

警察が盗撮の余罪を個別に立件するためには、盗撮の日時・場所を特定した上で、盗撮したことの裏づけ証拠を確保することが必要になります。

 

 

盗撮の日時についてはスマートフォンや小型カメラの画像ファイルを調べればわかってしまいます。

 

 

これに対して、「盗撮の場所」については、被疑者が黙秘することによって、取調官に情報提供しないという形でコントロールすることができます。

黙秘について

 

 

上のケース1から3についても赤字の部分で黙秘すれば、余罪で個別に立件される可能性はほぼなくなります。

 

 

黙秘権は憲法や刑事訴訟法で認められた被疑者の大切な権利です。黙秘することをためらう必要はありません。実際にどの場所で盗撮したのか覚えていないという場合は、黙秘するのではなく、「覚えていません」と供述してもよいでしょう。

 

 

黙秘するにせよ否認するにせよ、ご本人だけで対応するのは難しいため、刑事事件の経験豊富な弁護士に相談するとよいでしょう。

 

 

盗撮の余罪-盗撮の場所を黙秘しない方がよいケース

余罪の盗撮画像をみれば、盗撮した場所がすぐにわかってしまうことがあります。

 

 

そのようなケースで黙秘していると逮捕される可能性が高くなります。盗撮場所が明らかであれば黙秘することのメリットもありません。

 

 

そのため、黙秘権を行使せず盗撮場所についても正直に供述することになります。そのような例として次の3つのケースが考えられます。

 

 

【盗撮場所がわかってしまう3つのケース】

①盗撮画像に場所を特定できる象徴的なスポット(渋谷のハチ公像など)や施設の名前(○○書店)が写りこんでいる。

 

②カメラ撮影機能がGPSと連動しており、撮影場所が自動的に記録される設定になっている。

 

③画像だけではなく音声も保存されており、その音声から盗撮場所がわかる(「次は○○駅です」という電車内のアナウンスが録音されている場合など)。

 

盗撮の余罪で個別に立件されたときの対応方法

もし余罪についても個別に立件された場合、余罪については、現行犯で検挙されたわけではないので、被害者が特定されていないことが多いです。被害者が特定されていなければ、示談をすることはできません。

 

 

そのため、示談以外の方法で不起訴処分の獲得を目指すことになります。具体的には次の活動をすることが考えられます。

 

 

① 反省文を作成する

② 家族に具体的な監督プランを記載した陳述書を作成してもらう

③ 専門家のカウンセリングを受けたり、グループミーティングに参加する

④ 贖罪寄付をする

 

 

【関連ページ】

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