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接見禁止とは?接見禁止の理由や期間、解除の方法について解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
接見禁止とは
警察署の留置場や拘置所で逮捕・勾留された人と面会することを「接見」と言います。
接見禁止とは、弁護士以外の人が被疑者・被告人と接見することを禁止する処分です。接見禁止にあわせて手紙のやりとりも禁止されます。
逮捕・勾留され不安な気持でいっぱいな上に、さらに接見禁止が付されると、家族や友人・恋人と会うこともできず、非常に辛い日々が続くことになります。
接見禁止にするかどうかを判断するのは裁判官または裁判所です。初公判の前は裁判「官」が判断し、初公判の後は裁判「所」が判断します。
裁判官や裁判所は自らの判断で接見禁止にすることもできますが、ほとんどのケースでは、「接見禁止にすべきである。」という検察官の請求を受けて接見禁止にします。
接見禁止になぜなるの?
接見禁止になるのは、裁判官(裁判所)によって逃亡または証拠隠滅のおそれがあると判断されたときです。
接見禁止の対象は「勾留」された被疑者・被告人です。勾留の要件も接見禁止と同じく同じく逃亡または証拠隠滅のおそれです。
逃亡や証拠隠滅のおそれは勾留自体によって低下していることから、接見禁止が認められるのは、勾留によっても防ぐことができない程度に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に限られます。
例えば、組織的な詐欺事件で、自由な接見を認めると、詐欺グループの一員が被疑者と面会し、口裏合わせをすることが考えられるケースが挙げられます。
【接見禁止になりやすい刑事事件】
覚せい剤の共同所持、譲渡、譲受け
接見禁止はいつから?
1.接見禁止は勾留された日から
接見禁止が付されるタイミングは勾留質問のときです。
逮捕されると翌日か翌々日に検察庁に連行され検察官の取調べを受けます。検察官に勾留請求されると、請求の当日または次の日に裁判官の勾留質問を受けます。
裁判官は勾留質問をする前に、被疑者を勾留するかどうか、接見禁止を付けるかどうかを決めていることが多いです。裁判官が接見禁止にすることを決めると、勾留質問の席上で被疑者に接見禁止等決定書書を交付します。
2.逮捕直後は接見できない
接見禁止は勾留質問の際に付されます。勾留質問が実施される前の逮捕段階では接見禁止は付されていません。
とすれば逮捕中は一般の方でも接見できるように思われますが、弁護士以外の方は接見できません。逮捕中は取調べや検察庁・裁判所への押送など捜査側の都合が優先されるためです。
接見禁止はいつまで?
1.接見禁止は起訴されるまでが多い
接見禁止は起訴されるまで続き、起訴された時点でとれることが多いです。
捜査機関は起訴するまでにひと通りの捜査を終わらせ証拠を確保するため、起訴後は証拠隠滅の可能性が低下すると考えられるためです。
多くの事件では、起訴された日から、一般の方も接見したり手紙のやりとりをすることが可能になります。
2.起訴後に接見禁止が続くことも
起訴前に否認していたり、共犯事件の場合は、起訴後も接見禁止が続く場合があります。起訴後の接見禁止については、「第1回公判期日が終了するまでの間」という期限が付けられることが多いです。
第1回公判期日の後も裁判所が接見禁止の必要があると判断した場合は、「第2回公判期日が終了するまでの間」という期限がつけられ、その後も、順次「第○回公判期日が終了するまでの間」という期限がつけられます。
接見禁止の終期については特に決まりはありませんが、判決が出るまで接見禁止が続くことはまずありません。ほとんどのケースでは、検察官の立証が終了した時点で、接見禁止は終了します。
接見禁止でも差し入れできる?
接見禁止であっても差し入れまで制限されるわけではありません。そのため、衣類や書籍、雑誌、新聞、お金を差し入れることは可能です。ほとんどの警察署では郵送や宅急便による差し入れを受け付けています。
接見禁止が付されていない場合は面会に行ったときに差し入れをするのが通常ですが、接見禁止が付されている場合は警察署に行っても本人に会えませんので、郵送や宅急便による差し入れが一般的です。
差し入れ不可な物もありますので、発送前に警察署に電話して確認するとよいでしょう。
接見禁止でも弁護士は接見できる
接見禁止処分が付けられていても、弁護士はいつでも本人と接見することができます。
被疑者・被告人が弁護士と対面でコミュニケーションをとる権利は、「接見交通権」といって憲法で保障された権利であり、接見禁止という形で制約することは許されないからです。
接見禁止を解除する方法
1.準抗告・抗告
初公判の前に接見禁止処分を解除するためには、裁判所に対して準抗告を申し立てます。初公判後は抗告を申し立てます。
準抗告や抗告が許可されれば、接見禁止処分は取り消され、本人と面会や手紙のやりとりができるようになります。
2.接見禁止一部解除の申立て
準抗告や抗告が許可されることは多くはありません。そのため、実務では接見禁止一部解除の申立ての方がよく利用されています。
接見禁止一部解除の申立てとは、家族や恋人など特定の人に限って、接見禁止を解除するように裁判官に依頼することです。
接見禁止一部解除の申立ては、準抗告や抗告のように法律で定められているものではなく、裁判官に対する非公式の「お願い」にすぎません。もっとも、家族や恋人に限定して一部解除の申立てをすると比較的認められやすいです。
振り込め詐欺など再逮捕・再勾留が見込まれるケースでは、いったん接見禁止の一部解除が許可されれば、再勾留された後もその方を除外して接見禁止が付されることが多いです。
接見禁止の解除なしで本人に会う方法
準抗告や接見禁止の一部解除が認められなかった場合でも、勾留理由開示請求をすることにより勾留されている方と会うことができます。
勾留理由開示請求とは、勾留されている本人や家族、弁護士が、裁判所に対して、どのような理由で勾留されているのかを開示するよう求める手続きです。
勾留理由の開示は公開の法廷で行われるため、家族や友人も法廷で傍聴することが可能です。法廷では本人に声をかけるぐらいのことはできますが、会話まではできません。
勾留理由開示請求は本人、弁護士だけでなく、本人の妻や親・兄弟もすることができ ます。請求した人は法廷で裁判官に対して意見を述べることができます。
例えば、妻が勾留理由開示請求を申し立て、法廷で「夫の無実を信じています」と述べ、目の前にいるご主人を元気づけることも可能です。
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