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業務上横領等-中小企業と大企業でどう違う?
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
中小企業の経理担当者と業務上横領
1.中小企業での業務上横領の手口
中小企業の経理担当者は、長年にわたって、預金口座や金庫の管理、経費の精算などの経理業務全般を一人で担当していることが多いです。
そのため、横領の手口としては、少額のお金を、長期間・多数回にわたって、着服していることが多いです。
経理担当者には預金口座や金庫のお金に対する占有が認められますので、「業務上自己の占有する他人の物」を着服したものとして、業務上横領罪が成立します。
2.中小企業での業務上横領と時効
業務上横領罪の時効は7年です。そのため、7年以上前の業務上横領が刑事事件になることはありません。
もっとも、民事の時効は事件が発覚してから3年ですので、発覚して3年が経過するまでの間は、7年以上前の着服についても損害賠償義務を負うことになります。そのため、発覚して3年は民事裁判のリスクがあります。
3.中小企業での業務上横領と示談
中小企業は、大企業と異なり、株主に対する説明責任やコンプライアンスをそれほど考慮する必要はありません。
そのため、中小企業の社長が被害金の回収を優先する意向であれば、長期の分割払いでも示談が成立する可能性が高いです。
ウェルネスの弁護士は、中小企業の横領事件を多数扱ってきましたが、ほとんどのケースで刑事事件化する前に示談が成立しています。
刑事事件化する前に示談が成立すれば、逮捕されたり、起訴されることはありません。
大企業と詐欺
1.大企業での着服の手口
大企業の場合、中小企業と異なり、「長年にわたって経理業務全般を一人で担当している」ということはありません。そのため「長期間にわたって一人でこっそり着服する」ことはできません。
大企業で着服するためには、何らかの方法で他の従業員をだますことが必要になります。
例えば、虚偽の請求書や支払依頼書を偽造して責任者に提出し、支払の必要があると誤信させ、会社のお金をダミー会社の口座に振り込ませる等といった手口が考えられます。
このように、大企業では他の従業員をだますことが必要になってくるため、業務上横領罪ではなく詐欺罪が成立することが多いです。
また、他の従業員をまきこむ必要があることから、発覚の機会を減らすために、中小企業の経理担当者のように、「少額のお金を多数回着服する」よりも、「まとまった大きな金額を数回に分けて着服する」ことが多いです。1回の着服が数千万円に及ぶこともあります。
2.大企業での着服と示談
大企業の着服事件については、株主に対する説明責任やコンプライアンスの観点から、全額を一括弁済しない限り、示談がまとまらないことが多いです。
大企業の着服事件では被害額が数千万円以上になることが多いですが、加害者が着服したお金をためているケースは少ないため、家族や親族のサポートがなければ、示談がまとまらず、告訴されることが多いです。
3.大企業での着服と自首
着服したお金の一部しか弁済できず告訴される可能性が高い状況であれば、早めに警察に自首した方がよいです。自首しておけば、後の刑事裁判で有利な情状となり、減刑がみこめます。
先に会社が警察に被害を申告すると、出頭しても自首にはなりません。そのため、自首するのであれば、なるべく早く出頭した方がよいです。
ウェルネスの弁護士は大企業、中小企業にかかわらず多くの業務上横領、詐欺を手がけてきました。お困りの方は弁護士にご相談ください。
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