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暴行で逮捕されたら?弁護士の呼び方・選び方や弁護士費用について
家族が暴行で逮捕されたらまず弁護士を呼ぶことを考えるでしょう。ただ、ひと口に弁護士といっても、当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人といろいろな弁護士がいます。
そのため、どの弁護士を、どのタイミングで、どのように呼べばよいのか迷ってしまう方もいることでしょう。弁護士費用についても気になるところです。
このページでは刑事事件の経験豊富な弁護士 楠 洋一郎が、暴行で逮捕された場合の弁護士の呼び方や選び方、弁護士費用の相場などについてわかりやすくまとめました。
暴行で逮捕されていないケースについても解説していますので参考にしてみてください。
暴行とは?弁護士が解説
暴行とは、相手の身体に対して不法な有形力を行使することです。典型的な暴行は殴ったり蹴ったりすることですが、肩を押す程度の有形力であっても暴行になり得ます。
暴行罪の罰則は、2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留(1日~1か月未満の拘束)、科料(1000円~1万円未満の財産刑)のいずれかです。
暴行により被害者にケガをさせるとより重い傷害罪になります(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)。
暴行事件を起こした場合、初犯であれば示談をすれば不起訴、示談しなければ略式起訴され罰金になることが多いです。
暴行で逮捕-弁護士を呼ぶメリット
1.勾留阻止の可能性が高まる
暴行で逮捕された場合、勾留を阻止できれば3日以内に釈放されます。もし勾留されると、原則10日、勾留が延長された場合は最長20日にわたって拘束が続きます。
暴行罪は重大犯罪というわけではありませんので、逮捕されてもすぐに弁護活動を始めれば、勾留を阻止できる可能性が高いです。
暴行は酒に酔って衝動的にしてしまいがちな犯罪です。気づいたら留置場にいて、何をして逮捕されたのか思い出せないということもあります。
もっとも、取調べで「覚えていない」と供述すると、否認していると受けとられ、勾留される可能性が高まります。防犯カメラ等の証拠がある場合は、「覚えていないけれども争わない」という方針で取調べに臨んだ方が釈放されやすくなります。
弁護士が本人と接見してこのような対応方針を説明します。その上で検察官や裁判官に意見書を提出して勾留を阻止します。
2.不利な調書をとらせない
暴行で逮捕されると、すぐに警察署に連行され取調べが始まります。被疑者は逮捕され精神的に追いめられています。十分な法律の知識もありません。そのような状況で取調べに適切に対応するのは困難です。
取調官は被疑者にプレッシャーをかけて、警察の描いたストーリーに沿った供述調書を作成しようとします。プレッシャーに負けて不利な調書をとられると処分が重くなることがあります。
暴行を否認している場合に自白調書をとられてしまうと、不起訴や無罪の獲得が困難になります。弁護士が本人と接見し、黙秘権等の重要な権利を説明した上で、取調べにどのように対応すればよいかをアドバイスします。
3.解雇を回避する
暴行で逮捕されたことが会社に知られてしまうと、解雇されるリスクがあります。逮捕されると携帯電話を使えなくなるため、会社に欠勤の連絡を入れることもできません。
逮捕中は家族であっても本人に接見できないので、会社にどのように連絡すればよいのかを本人に確認することもできません。
弁護士であれば、逮捕当日からいつでも接見することができます。弁護士が速やかに本人と接見し、会社にどのように報告するのかを打ち合わせます。その後に家族から会社に連絡してもらい、逮捕が発覚しないようにします。
4.不起訴の可能性が高まる
起訴するか不起訴にするかを決めるのは検察官です。暴行のような被害者がいる犯罪については、検察官は起訴・不起訴を決めるにあたって、示談を非常に重視しています。
暴行の被害者との間で示談がまとまれば、不起訴になる可能性が高くなります。不起訴になれば前科がつくこともありません。
暴行の被害者は、「犯人と直接やりとりするのは怖い」、「犯人に個人情報を知られたくない」と思っています。そのため、捜査官は通常、加害者やその家族に被害者の氏名や電話番号を教えてくれません。
弁護士が間に入れば、被害者も安心して弁護士に個人情報を教えることができ、示談交渉がスムーズに進みやすくなります。
【暴行で逮捕されていない場合に弁護士に依頼するメリット】 暴行は重大犯罪ではありませんので、逮捕されずに在宅事件として捜査されることもあります。
逮捕されなくても、被害者と示談しなければ、略式起訴され罰金前科がつく可能性が高いです。逮捕されている場合と同様に、弁護士が間に入ることによって、示談交渉が進みやすくなります。
暴行の容疑を否認している場合は、弁護士が取調べに同行し、不利な調書をとられないようにします。 |
暴行で逮捕-弁護士を呼ぶタイミング
暴行で逮捕されたらできるだけ早く弁護士を呼ぶべきです。理由は次の4つです。
1.勾留決定まで時間がない
暴行で逮捕されると、検察官の勾留請求→裁判官の勾留質問を経て勾留されるか釈放されるかが決まります。
逮捕されたら勾留質問まで最短で1日、最長でも3日しかありません。勾留を阻止するためには、この期間内に弁護士が本人と接見した上で意見書を作成し、検察官や裁判官に提出する必要があります。
暴行は重大犯罪ではありませんので、適切な弁護活動をすれば勾留を阻止できる可能性が高いです。もっとも、勾留質問までの日数が限られているため、弁護士を呼ぶのが1日でも遅れると十分な弁護活動を行えない場合があります。
勾留された後でも準抗告など釈放を申し立てる手続はありますが、勾留自体を阻止するよりも難易度が上がります。そのため、弁護士への依頼は少しでも早い方がよいです。
2.職場対応は1日の遅れが致命傷に
暴行で逮捕されると、会社に連絡をすることもできず、無断欠勤になってしまいます。
無断欠勤をした上に本人と連絡がとれないということになれば、社内で大騒ぎになり、会社が警察に相談して逮捕されたことが発覚することもあります。
そのため、可能であれば逮捕当日の夜までに弁護士を呼んで、職場に怪しまれないようにする段取りを、本人と打ち合わせた方がよいでしょう。
3.供述調書は撤回できない
暴行で逮捕されると、すぐに警察署に連行され取調べを受けます。どう対応すればよいかわからないまま取調べを受けると、取調官に誘導されて不利な調書を取られてしまうことが多いです。
意に反して不利な調書をとられた場合でも、いったん調書にサインしてしまうと、後から撤回することはできません。そのため、逮捕されれば弁護士が速やかに接見し、取調べにどう対応すべきかをアドバイスする必要があります。
4.示談交渉に早く入れる
暴行で逮捕されても、示談が成立すれば不起訴になる可能性が高くなります。示談交渉をするためには、まず被害者の連絡先を教えてもらう必要があります。
検察官は加害者やその家族に被害者の個人情報を教えてくれませんので、示談交渉に入るためには、弁護士が検察官に示談の申し入れをする必要があります。
弁護士からの示談の申し入れが早ければ早いほど、速やかに示談交渉に入ることができます。速やかに示談が成立すれば早期に不起訴になる可能性が高くなります。
【暴行で逮捕されていない場合に弁護士に依頼するタイミング】 暴行事件で検挙されても逮捕されなければ、一刻も早く弁護士に依頼するまでの必要はありません。ただ、被害者への示談の申入れが遅くなると、「誠実ではない」という印象を与えかねないので、示談交渉は早めに弁護士に依頼した方がよいでしょう。
暴行容疑を否認している場合も、不利な調書を取られないように早めに相談・依頼した方がよいです。なお、暴行で逮捕されていなくても以下のケースでは至急弁護士に相談・依頼するべきです。
①書類送検され検察官から呼出しがきている→残り時間が少ない ②暴行した後に現場から逃げてしまった→犯人として特定されれば自首できず後日逮捕のリスクあり |
暴行で逮捕-弁護士はどうやって呼ぶ?
1.本人が弁護士を呼ぶ方法
暴行で逮捕された本人が呼べる弁護士は、当番弁護士と国選弁護人です。私選弁護人を呼ぶことはできませんが、逮捕前から私選弁護人に依頼していれば、その弁護人を呼べます。
①当番弁護士
当番弁護士とは逮捕・勾留されている方と無料で1回接見してくれる弁護士です。当番の日に弁護士会から当番弁護士に電話がかかってきて、「〇〇警察署に行ってください。」と指示されます。
当番弁護士の呼び方は、警察職員に「当番を呼んでください。」と言うだけです。後の手続は警察や弁護士会がしてくれます。
当番弁護士は逮捕されればいつでも呼ぶことができ、無料で接見してくれます。もっとも、当番弁護士の活動は初回接見のみですので、アドバイスくらいしか期待できません。
また、呼ぶ側で弁護士を選べませんので、「暴行に強い弁護士をお願いします」等とリクエストすることもできません。
弁護人として継続的に活動してもらいたい場合は、当番弁護士に弁護士費用を払って私選弁護人として依頼するか、勾留後に国選弁護人になってもらうことが必要です。
⇒当番弁護士とは?逮捕後すぐに呼べる無料の弁護士を活用しよう!
②国選弁護人
国選弁護人は、貧困等の理由により私選弁護人に依頼できない方のために国が選任する弁護人です。
暴行罪は以前は被疑者国選の対象外でしたが、2018年6月に被疑者国選の対象が「被疑者が勾留されている全事件」に拡大されたことに伴い、暴行罪の被疑者も国選弁護人を呼べるようになりました。
国選弁護人の呼び方は、警察職員に「国選を呼んでください」と言うだけです。あとの手続は警察・裁判所・法テラスがしてくれます。
⇒国選弁護人が活動を始めるまでの流れは?
国選弁護人は弁護士費用が無料になることが多いというメリットがあります。
⇒国選弁護人でも費用がかかる!?訴訟費用が生じるケースを解説
国選弁護人についても弁護士を選ぶことはできませんので、暴行事件の経験が全くない弁護士が担当になることもあります。
また、被疑者段階の国選弁護人は勾留されていないとつけてもらえないため、逮捕直後に活動できないというデメリットもあります。
⇒国選弁護人とは?利用条件や呼び方、メリット・デメリットを解説
2.家族が弁護士を呼ぶ方法
暴行で逮捕された方の家族が呼べる弁護士は、当番弁護士と私選弁護人です。国選弁護人を呼べるのは本人のみで家族は呼べません。
①当番弁護士
逮捕された方の家族は弁護士会に電話して、本人のために当番弁護士を呼ぶことができます。電話する弁護士会は本人が逮捕されている警察署と同じ都道府県の弁護士会になります。
⇒当番弁護士の窓口一覧(日弁連のサイト)
本人がどこの警察署に逮捕されているのかわからない場合は、弁護士会に当番弁護士の接見を依頼しても対応してくれないことが多いです。
弁護士であれば逮捕された警察署を特定できることが多いため、まずは弁護士にご相談ください。
②私選弁護人
逮捕された方の家族は私選弁護人を呼ぶことができます。私選弁護人を呼ぶ場合は、インターネット等で弁護士事務所を探して、電話やメールで法律相談を予約します。
予約した日時に事務所に行って弁護士に相談し、依頼するかどうかを決めることになります。可能であれば、事務所に電話した当日に法律相談を予約した方がよいでしょう。
私選弁護人は弁護士費用がかかるため、まずは弁護士に初回接見に行ってもらって、状況を把握した上で依頼するかどうかを決めることもできます。
初回接見の依頼だけであれば3万円~5万円程度で対応してくれる事務所が多いです。
初回接見については、事務所に行かなくても電話1本で依頼できる事務所もあります。ウェルネスでもご来所いただく必要はありません。
【暴行で逮捕されていない場合に依頼できる弁護士】 逮捕されず在宅事件として捜査されていれば、当番弁護士や被疑者国選弁護人を利用することはできません。そのため、弁護士のサポートをご希望であれば、私選弁護人に依頼するという選択肢しかありません。 |
暴行で逮捕-どの弁護士を呼ぶべき?
暴行で逮捕されたら勾留を阻止できるか否かが最大のポイントになります。勾留された場合は身柄拘束が長くなるため、勤務先に発覚し解雇されるリスクが出てきます。
被疑者国選弁護人は、「被疑者が勾留されていること」が選任の要件になるため、勾留阻止に向けて活動することができません。当番弁護士は逮捕当日から呼ぶことができますが、1回接見して終了になります。
そのため、弁護士費用を支払える場合は、私選弁護人を呼ぶのがベストです。私選弁護人であれば、逮捕当日から勾留阻止に向けて活動することができます。
私選弁護人 | 国選弁護人 | 当番弁護士 | |
勾留阻止のための活動 | できる | できない | 接見1回のみ |
釈放後の活動 | できる | できない | できない |
*被疑者段階の国選弁護人は被疑者が釈放された時点で業務が終了します。
以下では私選弁護人に依頼することを前提として、暴行に強い弁護士の条件や弁護士の選び方を解説します。
【暴行で逮捕されていない場合につける弁護士】 暴行で逮捕されていない場合、起訴前の捜査段階であれば、当番弁護士や国選弁護人を利用することはできません。これに対して、起訴(公判請求)されれば被告人国選弁護人を利用することできます。
もっとも被告人国選弁護人は「起訴された後に」選任されるため、不起訴を求める活動をすることはできません。「被害者と示談をして不起訴を獲得したい」という場合は、私選弁護人に依頼することになります。 |
暴行に強い弁護士とは?
1.暴行事件の経験豊富な弁護士
弁護士は専門職ですので、どの弁護士にも得意とする分野があります。暴行のような刑事事件は、刑事事件を得意とする弁護士に依頼するとよいでしょう。
弁護士の多くは民事事件や企業法務を得意としていますが、そのような弁護士に暴行の刑事弁護を依頼するのは不安が残ります。
刑事事件を得意とする弁護士であれば、早期釈放や不起訴に向けてベストな活動を期待できます。
2.動き出しが早い弁護士
暴行で逮捕されれば、勾留を阻止できるか否かがポイントです。勾留されて身柄拘束が長引くと、解雇のリスクが大きくなります。
勾留を阻止するためには、逮捕直後から弁護士が動く必要があります。可能であれば、相談した当日に接見に行ってくれる弁護士に依頼するとよいでしょう。
ただ、弁護士の動き出しがどんなに早くても、依頼のタイミングが遅ければ、時間切れになってしまいます。家族が暴行で逮捕されたら、できるだけ早めに弁護士に相談してください。
3.土日も動ける弁護士
暴行で逮捕されれば、検察官の勾留請求と裁判官の勾留質問を経て,勾留されるか釈放されるかが決まります。
逮捕から勾留へのプロセスは土日も関係なく進みます。土日も対応できる弁護士であれば、刑事手続にあわせて途切れのない弁護活動が可能になります。
示談交渉の際も、土日しか被害者の都合がつかないことがよくあります。土日も対応できる弁護士の方が示談交渉の進みも早くなるでしょう。
暴行に強い弁護士の選び方
1.インターネットで探す
暴行のような刑事事件の弁護士はインターネットで探すのがオススメです。インターネットであれば、他の人に知られることなく迅速に弁護士を探すことができます。
「暴行 弁護士」といったキーワードでネット検索すると、暴行事件に注力している弁護士事務所がリストアップされます。
ホームページで暴行罪の弁護プランや解決実績を紹介している事務所もありますので、参考にしてみてください。
2.弁護士に会って相談する
インターネットで刑事事件に注力している弁護士事務所をいくつかピックアップしたら、法律相談を予約して、弁護士に対面相談してみましょう。無料相談を実施している事務所もありますので活用してみてください。
⇒刑事事件を弁護士へ無料相談できる窓口は?弁護士費用についても解説
弁護士の説明に納得でき、信頼できそうであれば依頼するとよいでしょう。依頼する前に弁護士費用についても必ず確認するようにしてください。
法律相談で、びっくりする程高い弁護士費用を提示されることもあります。そのような場合は見積もりだけもらって、他の事務所にも相談するとよいでしょう。
暴行の弁護士費用
暴行で逮捕された場合の弁護士費用の相場は、60万円から120万円です。暴行で逮捕されていない場合の相場は、40万円から80万円です。
暴行のような刑事事件の分野では、ネットマーケティングによる集客が一般的です。大手の事務所ほどネットマーケティングにお金をかけているため、ホームページは上位表示されやすくなりますが、弁護士費用は高くなりがちです。
相談者も家族が逮捕されて非常にあせっているため、弁護士費用が高くても「どこでも同じだろう」と考えて、最初に相談した事務所に依頼してしまいがちです。
弁護士費用を節約するためには、複数の事務所に相談して費用を比較するとよいでしょう。
⇒暴行の弁護士費用の相場は?示談・慰謝料との関係や節約のポイント
暴行の弁護士費用が安い法律事務所
暴行で逮捕された場合、ウェルネスの弁護士費用は総額55万円(税込)になることがほとんどです。内訳は以下のとおりです。
【弁護士費用の内訳】
着手金 | 33万円 |
釈放の報酬金 | 22万円 |
不起訴の報酬金 | 無料 |
罰金の報酬金 | 無料 |
接見日当 | 無料 |
実費 | 無料 |
暴行で逮捕されていない場合、ウェルネスの弁護士費用は総額44万円(税込)になることがほとんどです。内訳は以下のとおりです。
【弁護士費用の内訳】
着手金 | 22万円 |
不起訴の報酬金 | 22万円 |
罰金の報酬金 | 無料 |
実費 | 無料 |
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