振り込め詐欺・オレオレ詐欺の示談書-書式あり

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の示談書の書式

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の一般的な示談書は以下の通りです。

 

 

示 談 書

 

 被害者〇〇(以下「甲」という)と 被告人○○(以下「乙」という)との間において、令和〇年〇月〇日に発生した甲を被害者、乙及び氏名不詳者らを加害者とする詐欺事件(以下「本件」という)につき、以下のように示談が成立したので、示談成立の証として本書面4通を作成し、各自保管する。

 

1 乙は、甲に対し、本件について深く謝罪し、甲はこれを受け入れる。

2 乙は、甲に対し、本件の示談金として、金〇万円を支払う義務があることを認める。

3 乙は、甲に対し、前項の金員を、一括して、令和○年○月○日までに、甲の指定する下記銀行口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。

 記

〇〇銀行〇〇支店      

普通預金

口座番号 〇〇〇〇〇〇〇     

口座名義 〇〇 〇〇

 

4 甲は、本件について、乙を許し、寛大な処分を求める。

5 甲と乙は、本示談書記載のほか、甲と乙との間に何らの債権債務が存しないことを相互に確認する。

以 上

令和  年  月  日

(甲)

    

 

(乙代理人)

 

 

 

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の示談書-3つのポイント

①示談金は被害金額がベースになる

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の示談金は被害金額がベースになります。被害者には財産的な損害を与えただけではなく、こわい思いをさせたり、警察の捜査に対応する手間をとらせたりしていますので、慰謝料を上乗せすることもあります。

 

もっとも、性犯罪のように慰謝料だけで50万円とか100万円になることはまずありません。

 

被害金額が高額になり払いきれない場合は、弁護士が被害者と減額交渉することになります。被害者としては、たとえ一部であっても被害金を回収したいと考えるでしょうから、極端な減額をお願いしない限り、話がまとまる可能性が高いです。

 

②示談金の支払は銀行振込みが多い

示談金は、弁護士が被害者と面談して、示談書への調印と引きかえに支払うのが通常です。ただ、振り込め詐欺・オレオレ詐欺の被害者は高齢者が多く、面談場所までの移動が負担になってしまいます。

 

また、示談金は100万円を超えることもあり、高齢者が現金で持ち歩くことはセキュリティ面で問題があります。弁護士が被害者の自宅を訪問することも考えられますが、かえって気を使わせてしまいます。

 

そのため、示談の話がまとまると、弁護士が示談書を被害者の自宅に郵送し、被害者に署名・捺印してもらった上で事務所に返送してもらい、その後に示談金を指定の口座に振り込むことが多いです。

 

③「許す」という言葉がいちばん大切

上で示した示談書の第4項には、「許し」という言葉がありますが、この言葉があれば刑罰が軽くなります。

 

弁護士が示談書を検察官に提出すると、検察官は被害者に電話して、「示談書に許すと書いていますがその通りでよろしいですか?」と確認します。その際、被害者に「はい。」と言っていただく必要があります。

 

被害者の中には、「許したくない。」という方もいますが、「許す」という言葉がないと、せっかく示談をしても効果が半減してしまいますので、弁護士が粘り強く被害者と交渉し、この言葉を入れてもらうべきです。

 

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の共犯者と共同で示談する場合

振り込め詐欺・オレオレ詐欺のような特殊詐欺のケースでは、複数の共犯者が事件に関与しています。

 

受け子は単独で逮捕されることが多いですが、かけ子の場合は、警察にアジトに突入され、その場にいた全員が同時に逮捕されることが多いです。

 

利益相反の問題があるため、1人の弁護士が複数の共犯者をまとめて弁護することは通常ありませんが、示談については、各共犯者がそれぞれ示談金を出しあって協力して進めていくことがあります。

 

単独でまとまった示談金を用意することが難しい場合、他の共犯者と示談金を出しあって、被害者にアプローチすることにより、示談の成功率が上がります。他の共犯者にとっても、単独で示談金を払うよりも、協同で払った方が負担が軽くなります。

 

共同で示談交渉をする場合は、各共犯者の弁護士が話しあって、窓口となる弁護士を決め、その弁護士が被害者と交渉します。

 

交渉がまとまれば、各弁護士を通じて、窓口となった弁護士の預り金口座に示談金を振り込んでもらいます。窓口となった弁護士が全員の示談金をまとめて被害者にお支払いします。

 

特殊詐欺では被害者も複数になることが多いため、弁護士同士で調整して、被害者ごとに別の弁護士が窓口となるケースが多いです。

 

共犯者が共同で示談する場合の示談書は次のようになります。

 

 

示 談 書

 

  被害者〇〇(以下「甲」という)と 被告人〇〇(以下「乙」という)、被告人〇〇(以下「丙」という)、被告人〇〇(以下「丁」という。また、乙丙丁を総称して「乙ら」という)との間において、令和〇年〇月〇日に発生した甲を被害者、乙ら及び氏名不詳者らを加害者とする詐欺事件(以下「本件」という)につき、以下のように示談が成立したので、示談成立の証として本書面4通を作成し、各自保管する。

1 乙らは、甲に対し、本件について深く謝罪し、甲はこれを受け入れる。

2 乙らは、甲に対し、本件の示談金として、金〇万円の支払義務があることを認める。なお、乙らの負担額は,乙が金〇万円、丙が金〇万円、丁が金〇万円である。

3 乙らは、甲に対し、前項の金員を、一括して、令和○年○月○日までに、甲の指定する下記銀行口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙らの負担とする。

 記

〇〇銀行〇〇支店      

普通預金

口座番号 〇〇〇〇〇〇〇     

口座名義 〇〇 〇〇

 

4 甲は、本件について、乙らを許し、寛大な処分を求める。

5 甲と乙らは、本示談書記載のほか、甲と乙らとの間に何らの債権債務が存しないことを相互に確認する。

以 上

令和  年  月  日

(甲)

 

 

(乙代理人)

 

 

(丙代理人)

 

 

(丁代理人)

 

 

 

振り込め詐欺・オレオレ詐欺の共犯者と共同で示談するときのポイント

共犯者と共同で示談する場合のポイントは、「各共犯者が負担した金額を示談書に明記する」ということです。裁判官は示談の有無だけではなく、被告人が被害者にいくらの示談金を払ったのかも参考にした上で刑を決めます。

 

例えば、A、B、Cの3名の被告人が150万円で被害者と示談したケースで、それぞれの負担額が、Aは100万円、Bは40万円、Cは10万円だったとします。

 

【示談金の負担額】

A…100万円

B…40万円

C…10万円

 

この場合、示談書に負担部分について何も記載されていなければ、裁判官には、A・B・Cがそれぞれ50万円ずつ負担したと判断されてしまう可能性があります。

 

BやCにとっては都合がよいですが、100万円を払ったAにとっては不利益になってしまいます。そのため、示談書には、各自の負担部分についても明記します。

 

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