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特殊詐欺と報道-報道の流れ・タイミング・回数について
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
特殊詐欺が報道される流れは?
特殊詐欺事件では、テレビや新聞、ネットニュースで被疑者が実名報道されることが少なくありません。特殊詐欺の報道は、警察からマスコミへのプレスリリース(情報提供)を経て、マスコミが報道するという流れになります。
特殊詐欺の報道は誰が決める?
マスコミにプレスリリースするかどうかを決めているのは、事件を捜査している警察署の署長です。警察署長が報道されるべき事件と判断すれば、県警本部の広報課を通じてプレスリリースすることになります。
最終的に報道するか否かはマスコミが決めていますが、警察から特殊詐欺についてプレスリリースがあれば、通常は報道しますので、報道するかどうかを実質的に決めているのは警察署長といえるでしょう。
なぜ特殊詐欺を報道させるのか?
警察署長は、特殊詐欺事件についてマスコミにプレスリリースする際、次の3つのメッセージを意識しています。
1.一般市民へのメッセージ
事件が報道されると、多くの人の目に触れることになります。これによって多数の人に特殊詐欺の手口を伝え、被害にあわないよう警戒させることができます(一般予防)。
報道に際しては、通常、事件を捜査している警察署の名前も取り上げられるので、特にその警察署の管轄エリア内の市民に対して、注意を喚起することができます。
2.詐欺グループへのメッセージ
詐欺グループも事件についての報道に注目しています。警察署の名前が報道されることにより、詐欺グループのリーダーに、「この地域で詐欺をするのはまずい。」と思わせる効果があります。
このような効果を狙って、警察署によっては、特殊詐欺の逮捕事案については、全件、報道機関にプレスリリースしているところもあります。
3.警察組織へのメッセージ
公にはされていませんが、警察署の間では、検挙率をめぐって熾烈な競争が繰り広げられています。報道されたからといって、検挙率が上がるわけではありませんが、他の警察署や上層部に対して、特殊詐欺の捜査に積極的に取り組んでいることをアピールできます。
特殊詐欺と報道-報道のタイミングは?
最も報道されやすいタイミングは、逮捕当日・翌日・2日後のいずれかです。
逮捕当日に報道される場合は、事前に情報提供されたマスコミのカメラマンによって被疑者の顔が撮影されます。撮影されるタイミングは、被疑者が乗った警察車両が警察署に到着する直前です。
逮捕翌日か2日後に報道される場合は、検察庁に連行されるタイミングで撮影されて、その日の午後に報道されることが多いです。
被疑者は、逮捕されてから48時間以内に、検察庁へ連行されますが、警察署を出て検察庁へ行く護送バスに乗り込む直前に、待機していたカメラマンに撮影されます。
⇒刑事事件で顔が報道されないためにするべきたったひとつのこと
逮捕当日から2日後までに報道されなければ、その後も報道されない可能性が高いです。特殊詐欺の場合は、起訴や判決のタイミングで報道されることはほとんどありません。
特殊詐欺と報道-報道の回数は?
特殊詐欺で逮捕されたかけ子や受け子は、複数の被害者をだましていることが多いため、被害者の数に応じて、再逮捕・追起訴されるケースが多いです。
⇒再逮捕とは?報道や執行猶予との関係など「気になること」を全解説
実名報道されるのは、一番最初に逮捕された時に限られます。再逮捕・追起訴されるたびに何度も報道されることは通常ありません。
特殊詐欺と報道-少年事件のケース
最近、特殊詐欺の受け子や出し子として少年が逮捕されるケースが増えています。少年の場合は、事件や年齢が報道されても、実名報道されることはありません。
【少年法】
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ここで言う「少年」とは20歳未満の者ですが、そのうち18歳以上20歳未満の者を「特定少年」といいます。特定少年が特殊詐欺で逮捕された場合、検察官に逆送され起訴されると実名報道されることがあります。
「逆送」とは、家庭裁判所から検察官に事件を戻すことです。家庭裁判所が、事件が重大で少年事件の手続ではなく大人の手続で処分すべきと考えたときに逆送します。
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