特殊詐欺とだまされたふり作戦

 

だまされたふり作戦とは?

だまされたふり作戦とは、オレオレ詐欺などの特殊詐欺のケースで、被害者が詐欺にあっていることに気づいた後も、警察の指示によって、だまされたふりをして、犯人をおびき出し逮捕につなげる作戦です。

 

だまされたふり作戦のよくあるパターンとしては、被害者がかけ子の指示に従って、模造紙幣が入った紙袋を受け子に手渡し、その直後に警察が受け子を取り囲んで逮捕するというものです。

 

 

だまされたふり作戦が実施されていないとき

もし、被害者がだまされていることに気づかず、受け子に現金を渡した場合は、受け子に詐欺罪が成立することに争いはありません。

 

受け子は通常、現金の受け取りしか担当しておらず、だましの部分はかけ子が担当しています。そのため、受け子には詐欺罪が成立しないのでは?と考える方もいるかもしれません。

 

しかし、受け子は、かけ子が被害者をだました状態を利用して、現金を受けとっていますので、受け子にも詐欺罪が成立します。

 

 

だまされたふり作戦が実施され受け子が気づいていない場合

(1)無罪か詐欺未遂か?

被害者がだまされていることに気づいて、だまされたふり作戦が実施されたケースを考えてみましょう。

 

もし受け子がだまされたふり作戦が実施されていることに気づかないまま、被害者から紙袋を受けとったときは、犯罪が成立するのでしょうか?

 

この点については、①無罪になるという考え方と、②詐欺未遂が成立するという考え方があります。

 

①は、被害者がだまされたことに気づいている以上、受け子が被害者から紙袋を受けとっても、詐欺被害が生じる危険がないとして、無罪になると考えます。

 

②は、まず「詐欺被害の危険を高めたか否かは一般人が認識できる事情を基礎として判断すべき」と考えます。

 

その上で、一般人はだまされたふり作戦が実施されていることを認識していないため、だまされたふり作戦が実施されていることを除外して考えます。

 

そうすると、受け子が被害者から物を受けとることにより、外形的には、被害発生の危険が高まっているとして、詐欺未遂になると考えます。

 

これまで、下級審では、おおむね①の考え方をベースにして無罪とするケースと、②の考え方をベースとして詐欺未遂とするケースに別れていました。

 

 

(2)最高裁判所の判断

この点について、2017年12月に最高裁判所の判断が出ました。

 

最高裁は、被害者をだます行為と被害者から現金などを受けとる行為が一体のものであると考え、そのような一体性を有する行為の一部に関与した受け子は、関与前のかけ子のだまし行為についても責任を負うと判断しました。

 

最高裁の考え方は、だます行為と受けとる行為の一体性を根拠としていますので、だまされたふり作戦が実行されているか否かによって結論は変わらないということになります。

 

今後は、下級審も最高裁の考え方にならって、受け子がだまされたふり作戦に気づいていない場合であっても、無罪判決を下すケースはなくなっていくと思われます。

 

弁護方針としては、無罪を目指すというよりは、示談や被害弁償を行うことによって執行猶予の獲得を目指すことになります。

 

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