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MDMAで逮捕されたら?逮捕後の流れや弁護士費用について

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。

 

 

 

 

MDMAとは

MDMAはメチレンジオキシメタンフェタミン(methylenedioxymethamphetamine)の略語で、覚醒剤と似た化学構造をもつ合成麻薬です。

 

 

本来は白色の粉末ですが、ピンクや黄色、グリーン等のカラフルな錠剤の形で流通しています。錠剤の表面にはスマイルマーク等のキャラクターがデザインされており、可愛らしい外観をしています。

 

 

MDMAには興奮作用と幻覚作用があり、使用すると視覚や聴覚が変化し、多幸感や他者との親密感が生じます。

 

 

副作用として高体温や低ナトリウム血症になることがあり、死亡することもあります。乱用すると精神錯乱や記憶障害になることもあります。

 

 

覚醒剤のようにあぶったり注射をする必要はなく、錠剤を口に入れるだけで簡単に摂取できるため、クラブやレイブパーティ等を媒介として、主として20代の若者の間で広がっています。

 

 

海外では性行為の際に使用されることが多いことからエクスタシー(XTC)とも呼ばれています。日本では「エックス」「ペケ」等と呼ばれることもあります。

 

 

MDMAの罰則

MDMAは麻薬の一種として麻薬及び向精神薬取締法によって厳しく規制されています。罰則は以下のとおりです。

 

 

行為

営利目的なし

営利目的あり

MDMAの施用(使用)

7年以下の懲役

懲役1年~10年

情状により300万円以下の罰金も

MDMAの所持・譲渡し・譲受け・小分け・製剤

7年以下の懲役

懲役1年~10年

情状により300万円以下の罰金も

MDMAの輸入・輸出・製造

懲役1年~10年

懲役1年~20年

情状により500万円以下の罰金を科されることも

 

 

製剤…麻薬に化学的変化を加えないで他の麻薬にすること(調剤を除く)

製造…麻薬を精製すること、及び麻薬に化学的変化を加えて他の麻薬にすること

小分け…他人から譲り受けた麻薬を分割して容器に収めること

 

 

単独の罰金刑はありませんので、起訴されれば公開の法廷で審理され、検察官から少なくとも懲役刑を請求されることになります。

 

 

MDMAの逮捕

1.MDMAの所持と逮捕

MDMAの所持は警察の職務質問がきっかけとなり発覚することが多いです。警察が所持品検査をしてMDMAらしき物を発見すると、これを押収します。

 

 

押収の仕方としては被疑者に任意に提出してもらう方法と裁判所の令状を得て強制的に差し押さえる方法の2つがあります。

 

 

警察は押収した物を科捜研に持って行き鑑定を依頼します。鑑定によってMDMAであると判明すれば、警察官が逮捕状を持って逮捕しに来る可能性が高いです。緊急性が高い場合は緊急逮捕します。

 

 

覚醒剤や大麻についてはその場で簡易鑑定を行い、陽性反応が出ればすぐに現行犯逮捕しますが、MDMAについては簡易鑑定の精度に問題があるため、このような運用はされていません。

 

 

なお、同じく麻薬であるコカインについても、精度の問題から簡易鑑定が中止されていましたが、近年、精度の高い試薬が開発されたことから簡易鑑定が復活し、現行犯逮捕される事例が増えてきました。

 

 

MDMAについても新たな試薬が開発されると、コカインと同様に、簡易鑑定→現行犯逮捕という流れが定着するかもしれません。

 

 

2.MDMAの使用と逮捕

警察官は職務質問した被疑者に薬物使用の疑いがあると判断すると、最寄りの警察署に連れて行き、紙コップに尿を入れて任意提出するように促します。

 

 

被疑者が尿を任意提出すると、警察は科捜研に尿の鑑定を依頼します。

 

 

被疑者が尿の任意提出に応じない場合、警察が裁判所の捜索差押令状を得て、強制的に採尿する可能性が高くなります。被疑者に令状を提示した上で、医師がカテーテルを被疑者の尿道に差し込んで採尿します。

 

 

科捜研で鑑定した結果、MDMAの成分が検出された場合は、警察官が逮捕状を持って逮捕しに来る可能性が高いです。

 

 

MDMAと逮捕阻止

MDMAの所持や使用は職務質問を受けた当日に現行犯逮捕されるわけではありません。後日逮捕という形になります。職務質問を受けた日から逮捕されるまでの期間はおおむね1か月~3か月です。

 

 

この間に弁護士をつけて、弁護士から警察に逮捕回避の意見書や家族の身元引受書、本人の誓約書等を提出することによって逮捕を阻止できることもあります。

 

 

まずは薬物事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

 

【参考ページ】大麻リキッドで逮捕の可能性を下げるためにできること

 

 

MDMAで逮捕された後の流れ

1.逮捕後の流れ

MDMAで逮捕されると翌日か翌々日に検察庁に連行され、検察官の取調べを受けます。検察官が勾留請求すると、その当日か翌日に裁判所に連行され裁判官の勾留質問を受けます。

 

 

裁判官は捜査記録や勾留質問での被疑者とのやりとりをふまえて、勾留するか釈放するかを決めます。

 

 

勾留されると原則として10日にわたって身柄が拘束されます。勾留が延長されるとさらに最長10日にわたって拘束されます。

 

 

2.MDMAは勾留される可能性が高い

MDMAは小さな錠剤で証拠隠滅が容易です。また、薬物事件は万引きのように自分一人で完結する事件ではなく、入手ルートがあるはずですので、釈放すると関係者と通謀するのではないかと判断されやすいです。

 

 

そのため、MDMAで逮捕されると証拠隠滅のおそれが大きいとの理由により勾留されることが多いです。

 

 

3.勾留後の流れ

検察官は最長20日の勾留期間内に被疑者を起訴するか釈放するか決めなければなりません。起訴されれば保釈が許可されない限り裁判が終了するまで勾留が続きます。

 

 

MDMAと不起訴

1.起訴が原則

MDMAの所持や使用については、科捜研の鑑定書という信頼性の高い証拠があるため、起訴されるのが通常です。MDMAで逮捕されると起訴される可能性が高いです。

 

 

2.不起訴になり得るケース

例外的に以下のケースでは嫌疑不十分で不起訴になる余地があります。嫌疑不十分とは有罪を立証するに足りるだけの証拠がないときに下される不起訴処分です。

 

 

①MDMAの譲り渡し・譲り受け事件で黙秘した場合

②MDMAの輸入で故意を否認した場合

 

 

①のケースでは、取調べで黙秘することにより、譲り渡し・譲り受けを立証するだけの十分な証拠が集まらずに不起訴になることがあります。

 

 

②のケースでは、ブラインドミュールのケースで故意を否認した場合に不起訴になることがあります。ブラインドミュールとは男女の恋心や親切心につけこみ、「これを日本の友人に渡してくれ」などと嘘の理由を言って、違法薬物の運び役に仕立て上げることです。

 

 

嫌疑不十分での不起訴を獲得するためには、取調官に不利な調書をとられないことが必須です。弁護士がひんぱんにご本人と接見し、どのように取調べに対応すればよいかをアドバイスします。

否認事件の刑事弁護

 

 

3.微量で不起訴は期待できない

粉末で流通している覚醒剤やコカインについては、押収された薬物の量が非常に少ないときは、起訴猶予で不起訴になることもあります。

 

 

これに対して、錠剤の形で取引されるMDMAについては、1錠でも押収されれば起訴される可能性が高いです。

 

【関連ページ】不起訴とは?無罪との違いや前歴・罰金との関係

 

 

MDMAは執行猶予?実刑?

MDMAで起訴されると、初犯のケースで、懲役1年6月・執行猶予3年程度の判決になることが多いです。

 

 

執行猶予中にMDMAで起訴されると、実刑になる可能性が非常に高くなります。執行猶予が終わってすぐに再犯してしまった場合も実刑になる可能性が高いです。

 

 

執行猶予が終わって5年以上たってから再犯した場合は、執行猶予を獲得できる余地もあります。

 

 

薬物依存は本人の努力だけで克服することはできません。家族の協力のもと、専門のクリニックに通院するなど具体的な再犯防止プランを立てて、裁判官に納得してもらう必要があります。

 

 

また、専門家にカウンセリングをしてもらった後に証人として出廷してもらい、本人の取り組み状況や再犯の可能性について証言してもらうこともできます。ウェルネスでそのような専門家を紹介することも可能です。

 

 

なお、違法捜査が行われた場合は、違法捜査によって収集された証拠を排除するよう裁判で主張することによって無罪判決となることもあります。

違法収集証拠の排除について弁護士が解説

 

 

MDMAの弁護士費用

1.MDMAの弁護士費用の相場

MDMAの弁護士費用の相場はトータル100万円~200万円です。相場と言っても事務所によってかなり違いがありますので、複数の事務所の弁護士費用を比較した上で、どの事務所に依頼するかを決めるとよいでしょう。

 

 

MDMAの弁護士費用の相場は、大麻の弁護士費用の相場とほぼ同じです。弁護士費用が高くなる理由や節約のポイントについては以下のページをご覧ください。

大麻事件の弁護士費用の相場は?費用をおさえるポイントも解説

 

 

2.【MDMA】ウェルネスの弁護士費用

ウェルネスの弁護士費用は、容疑を認めているケースで合計99万円になることが多いです。

 

 

ウェルネスは法テラス出身の弁護士が運営する法律事務所です。リーズナブルな弁護士費用を実現するために様々な取り組みをしています。詳しくは以下のページをご覧ください。

刑事事件の弁護士費用が安い法律事務所

 

 

家族がMDMAで逮捕されたり、職務質問を受けてMDMAを押収された方はお気軽にウェルネス(03-5577-3613)の弁護士にご相談ください。