無免許運転の罰則や裁判の流れ、弁護活動について解説

無免許運転

 

このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しました。

 

 

 

 

無免許運転とは

無免許運転とは、公安委員会の運転免許を受けないで、自動車や原動機付き自転車を運転することです。自動車には総排気量50ccを超えるオートバイも含まれます。

 

 

【道路交通法64条1項】

何人も、公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

*一部を抜粋したものです。

 

 

無免許運転の種類

1.免許を取得したことが一度もないケース

運転免許を一度も受けたことがない人が車を運転すると無免許運転になります。

 

 

2.免許取消のケース

交通違反によって免許取消になり再び免許を受ける前に車を運転すれば無免許運転になります。

 

 

3.免許停止中のケース

免停期間中に車を運転した場合も無免許運転になります。

 

 

4.免許対象外の車両を運転したケース

オートバイの免許しか持っていないのに普通乗用車を運転した場合など免許の対象になっていない車両を運転した場合も無免許運転になります。

 

 

無免許運転の罪名

無免許運転は「道路交通法」という法律で禁止されています。そのため、無免許運転の罪名は「道路交通法違反」になります。

 

 

無免許運転の罰則

無免許運転は道路交通法違反という犯罪ですので罰則があります。無免許運転の罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

 

 

【道路交通法117条の2の2】

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

1 法令の規定による運転の免許を受けている者でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで又は国際運転免許証等を所持しないで運転した者

*一部を抜粋したものです。

 

 

無免許運転の初犯であれば簡易な略式裁判で罰金になることが多いです。

略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説

 

 

無免許運転は「ちょっと運転するだけだったらバレないだろう。」と繰り返し行われることが多い犯罪です。無免許運転で捕まると、最初は罰金で済んでも徐々に刑が重くなり、最終的には実刑になります。

無免許運転の初犯は罰金?何回目で実刑になる?弁護士が解説

 

 

運送ドライバーや外回りの営業マンなど仕事柄、車の運転が不可欠な方がやむを得ず常習的に無免許運転するケースも見られます。長期にわたって常習的に無免許運転をしていると初犯であってもいきなり公判請求される可能性が高くなります。

 

 

なお、無免許で人身事故を起こした場合、無免許過失運転致死傷罪が成立します。罰則は無免許運転よりもずっと重く10年以下の懲役です。

無免許過失運転致傷とは?逮捕や執行猶予について弁護士が解説

 

 

無免許運転と運転免許証不携帯

運転免許があるのに免許証を携帯せずに運転した場合は、無免許運転ではなく「運転免許証不携帯」になります。

 

 

運転免許証不携帯の罰則は2万円以下の罰金または科料ですが、3000円の反則金を支払えば刑事事件にはなりません。

 

 

無免許運転の行政処分

無免許運転は道路交通法違反という犯罪ですので刑事事件になりますが、それとは別に行政処分の対象にもなります。無免許運転をすると25点が加算され、一発で免許取消しになります。

 

 

もともと運転免許を保有していない方については、免許を持っていない以上取り消されることもありませんが、免停中の場合、オートバイの免許しか持っていないのに普通乗用車を運転した場合など何らかの運転免許を保有している場合は、取消し処分を受けることになります。

 

 

免許取消の欠格期間は2年です。つまり2年間は免許を再取得できないことになります。

 

 

無免許運転は現行犯が基本

無免許運転は、一時不停止などの交通違反をパトロール中の警察官に見つかり、運転免許を確認されたことがきっかけで発覚します。

 

 

運転免許の有無については、「免許証を家に忘れました。」等と言っても、車をとめた現場で警察官が県警本部や警察庁に無線で照会してすぐに判明します。

 

 

無免許運転が見つかると初犯であっても現行犯逮捕されることが多いです。

現行犯逮捕とは?

 

 

現行犯以外でも防犯カメラ等によって無免許運転を立証できるケースはありますが、過去の無免許運転が立件されることはめったにありません。

 

 

もっとも、無免許で当て逃げ・ひき逃げ事件を起こしてその場から逃げた場合は、被害車両のドライブレコーダーや防犯カメラ、目撃者の証言などから加害車両を特定されて、後日逮捕されることがあります。

ひき逃げの相談は弁護士へ

 

 

無免許運転で捕まった後の流れ

無免許運転で捕まった場合は、警察⇒検察⇒裁判所というステップで手続が進んでいきます。

 

 

1.警察の捜査の流れ

無免許運転で捕まった当日に最寄りの警察署に連行され、取調べを受けます。

 

 

まず「私は無免許で車を運転しました。」という内容の上申書を直筆で作成します。その後に身上についての供述調書と事件についての供述調書をとられます。

 

 

また、警察車両に同乗し、無免許運転をしたルートを説明しながらたどって行きます(引き当たり捜査)。結果は捜査員が地図にプロットしていきます。

 

 

上記の手続を1日で終えることは難しいため、通常は捕まった当日と後日の2回警察に行くことが多いです。逮捕された場合は、逮捕当日、翌日と2日連続で一連の捜査が実施されることが多いです。

 

 

2.検察の捜査の流れ

最初に検挙されてからおおむね2,3か月で警察から検察に事件が引き継がれます。その後、検察官から呼び出しがあり、検察庁に行って取調べを受けます。

 

 

前科がなければ、検察官から略式手続についての説明を受け、同意書にサインを求められることが多いです。その後に略式起訴されます。

略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説

 

 

検察庁に呼び出されてから1か月前後で裁判所から「罰金〇万円を支払え。」という略式命令が届きます。その約1週間後に検察庁から罰金の納付書が届きますので、銀行に持参して罰金を支払います。これで手続きは終了です。

 

 

無免許運転で逮捕された場合は48時間以内に検察庁に連行されますが、弁護士が適切に活動すれば勾留前に釈放になることが多いです。釈放後、1週間~1か月前後で検察官から呼び出されます。その後の流れは上記と同様です。

 

 

3.裁判の流れ

無免許運転などの交通違反の前科が複数あれば、検察官から公判請求され、正式裁判で審理される可能性が高くなります。

 

 

正式裁判になる場合は、検察庁に呼び出された日の2週間~1か月後に裁判所から自宅に起訴状が届きます。起訴状の右上に起訴された日が書かれていますが、その日からおおむね2か月以内に初公判が開かれます。

 

 

無免許運転を認める場合の弁護活動

1.反省文を作成する

ご本人に反省文を書いてもらいます。なぜ無免許運転をしてしまったのか、現在の心境、今後の再発防止策などを具体的に記載してもらいます。

 

 

【弁護士の活動】

反省文を検察官や裁判所に提出します。裁判では、被告人質問でご本人から裁判官に反省の気持を話してもらいます。事前に弁護士が被告人質問のリハーサルを行います。

 

 

2.贖罪寄付をする

無免許運転は被害者のいない犯罪ですので、示談をすることはできません。そのため、反省の気持を形にするために贖罪寄付を行います。

贖罪寄付とは?金額・タイミング・方法について

 

 

無免許運転は交通犯罪ですので、寄付する先としては、日弁連交通事故相談センター交通遺児育英会が一般的です。金額は5万円~20万円程度が通常です。

 

 

【弁護士の活動】

弁護士が贖罪寄付の証明書や領収証を検察官や裁判所に提出します。

 

 

3.再発防止プランを立てて実行する

ご本人が車に乗れないように家族が車の鍵を厳重に管理します。ご本人が車の運転が必要な仕事についている場合は、上司に相談し内勤の部署に変更してもらいます。それが難しい場合は転職せざるを得ないでしょう。

 

 

執行猶予中で実刑判決の可能性が高い場合は、車の売却も含めて検討することが必要になります。

 

 

【弁護士の活動】

家族や上司に監督プランを書面にまとめてもらい弁護士が検察官に提出します。

 

 

裁判になれば家族や上司に情状証人として出廷してもらい、どのように監督していくかを裁判官に話してもらいます。事前に弁護士が証人尋問のリハーサルを行います。

情状証人とは?尋問の流れや本番で役に立つ4つのポイントを紹介

 

 

無免許運転を否認する場合の弁護活動

1.うっかり失効は不起訴の余地あり

無免許運転が犯罪になるのは、「無免許であることを知りながら」車やバイクを運転したときです。無免許であることを知らずに運転しても、故意がなく犯罪にはなりません。

 

 

無免許運転の故意が問題になるのは「うっかり失効」のケースです。うっかり失効とは、運転免許の更新時期がきたことに気づかず、手続をしないまま免許が失効した後に車を運転することです。

 

 

うっかり失効の場合は嫌疑不十分で不起訴になる余地があります。

 

 

2.弁護士が自白調書をとられないようサポート

日本の裁判では供述調書が非常に重視されています。うっかり失効のケースでも、強引な取調べにより「免許が失効していたことに気づいていました。」という調書をとられてしまうと、起訴されて有罪になってしまいます。

 

 

不利な調書をとられないよう、弁護士が取調べに同行して、違法・不当な取調べがないよう目を光らせます。

弁護士が教える取調べ対応の極意-録音・弁護士の立ち会いは?

 

 

免許が失効してから数日~1週間程度であれば、取調べに適切に対応すれば不起訴になることが多いです。

 

 

無免許運転-弁護士へのご相談例

☑ 夫が無免許運転で逮捕された。すぐに釈放してもらいたい。

☑ 無免許運転で捕まった。3回目だが何とか執行猶予にしてもらいたい。

☑ 無免許運転で実刑になった。控訴審で執行猶予をとれないか。

 

ウェルネスの弁護士はこのような相談を数多くうけており、無免許運転の豊富な実績があります。無免許運転でお困りの方はお気軽にウェルネスの弁護士までご相談ください。

 

 

 

 

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