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弁護士が教える業務上横領の加害者が絶対にしてはいけないこと
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
業務上横領が発覚した後の流れ
業務上横領が会社に発覚すると、まずは会社の担当者が加害者本人から横領の金額や手口、使途等についてヒアリングします。その後、本人は自宅待機となり、懲戒解雇になることが多いです。
それと前後して、会社が本人に対して損害賠償を請求します。会社側の弁護士から加害者に内容証明郵便が届くこともあります。
業務上横領と示談交渉
横領した金額を一括で返済できるのであれば、弁護士を立てれば、ほとんどのケースで示談がまとまります。刑事事件になる前に示談が成立すれば、逮捕されたり起訴されることはありません。
一括での返済が難しい場合でも、頭金として数百万円をお支払することが可能であれば、残金については長期の分割払いで示談がまとまることが多いです。
逆に、まとまったお金を返済できず、会社側が納得する弁済計画を提案できない場合は、示談は難しくなります。
業務上横領で示談が成立しない場合に会社がとる3つの対応
業務上横領が発覚した後、会社からの損害賠償請求に対して、納得してもらえる弁済計画を提案できなかった場合、会社がとる対応は次の3つです。
①刑事でも民事でも責任を追及する
刑事責任を追及するために捜査機関に被害届や告訴状を提出します。さらに、民事責任を追及するために、裁判所に仮差押えを申し立て民事訴訟を提起します。
②民事責任の追及を優先する
まずは横領された金銭を取り戻すことを優先し、仮差押えを申し立てた上で民事訴訟を提起します。
③刑事責任の追及を優先する
加害者に資産がなく、親族からの支援も期待できない場合、会社としては被害回復をあきらめざるを得ないため、刑事責任の追及にシフトします。
業務上横領で会社が民事責任を追及してくる場合
会社が上の①や②の対応をとってくる場合は、加害者の自宅に裁判所から仮差押え命令や訴状が届くため、びっくりして弁護士に依頼するケースが多いです。
その後、弁護士が民事事件の対応をするなかで、刑事事件についても包括的な解決を図ることになります。具体的には、会社と示談または裁判上の和解を成立させ、示談書や和解書の中に被害届の取下げ条項など刑事事件に配慮した条項を入れてもらえるよう交渉します。
民事責任を追及するということは、会社は損害の回復を望んでいるということです。もし、示談や裁判上の和解が成立せずに、加害者が逮捕・起訴され実刑になってしまえば、会社としても、損害を回復することができなくなってしまいます。
そのため、長期の分割払いでも示談や和解が成立する余地があります。
業務上横領で会社が刑事責任のみ追及する場合
業務上横領のケースで、会社が民事責任の追及をあきらめ、刑事責任の追及にシフトした場合、表面上、加害者の日常生活に何ら変化はありません。
裁判所から仮差押え命令や訴状が届くこともありませんし、警察がすぐに逮捕や家宅捜索にくることもありません。
業務上横領のような複雑な刑事事件では、警察が被害届を受理しても、被疑者を逮捕したり家宅捜索をするまで少なくとも半年程度のタイムラグがあります。
加害者から見れば、どこからも連絡がこないため、「もしかしたら会社がこのままあきらめてくれたのかも…」と都合よく考えがちですが、数百万円レベルの横領であれば都合よくあきらめてくれることはありません。
加害者が「もう終わった。」と思っている間に、着々と警察の捜査が進み、ある日突然逮捕されたり、家宅捜索をされることが多いです。警察がコンタクトしてくるタイミングは、横領が発覚してから半年後~2年後くらいのことが多いです。
業務上横領で絶対にしてはいけないこと
業務上横領のケースで絶対にやってはいけないことは、損害賠償をせずに放置することです。
会社が民事上の請求をするときは、不動産や銀行預金を仮差押えされたり、自宅に訴状が届くため、放置するということは考え難いですが、民事上の請求を一切せず刑事責任の追及をメインに考えているときは要注意です。
ウェルネスでも、発覚直後に法律相談を1,2回された方が、1、2年後に逮捕され、留置場の職員を通じて接見依頼の連絡をもらうことがあります。
このようなケースでは、本人は「もう大丈夫。」と思っていたため、賠償金をためていないことが多く、家族の支援が得られなければ、そのまま起訴され実刑判決になってしまうことが多いです。
会社や警察から連絡がないからといって放置せず、賠償金を積み立てたり家族のサポートを得て、会社と示談しておいた方がよいです。一括で返済できなくても、連帯保証人を立てたり、公正証書を作成することにより打開策が見つかる場合もあります。
まずは弁護士に相談するとよいでしょう。
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