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路上痴漢は不同意わいせつ罪か迷惑防止条例違反か?
このページは弁護士 楠 洋一郎が作成しています。
目次
路上痴漢は不同意わいせつ罪か迷惑防止条例違反になる
☑ 自転車で追い抜きざまにお尻を触った
☑ 路上で女性に後ろから抱きついた
☑ 女性を路上に押し倒して胸をもんだ
このような路上痴漢をして警察に捕まった場合、不同意わいせつ罪とみなされるケースと都道府県の迷惑防止条例違反とみなされるケースがあります。
不同意わいせつ罪は、これまでの強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪に代わり、2023年7月13日から適用される新しい犯罪です。不同意わいせつ罪は、同意がない状況でわいせつな行為をしたときに成立します。
一方、迷惑防止条例違反は、公共の場所で人の身体に触れた場合に成立します。路上は誰でも通行できる公共の場所ですから、路上痴漢は迷惑防止条例違反とみなされることもあります。
路上痴漢-不同意わいせつ罪と迷惑防止条例違反の3つの違い
路上痴漢には、不同意わいせつ罪で立件されるケースと迷惑防止条例違反で立件されるケースがあります。不同意わいせつ罪と迷惑防止条例違反の2つの犯罪を比較すると次の3つの違いがあります。
1.刑罰の違い
不同意わいせつ罪の刑罰は6か月~10年の拘禁刑(当分の間は懲役刑)です。迷惑防止条例違反は、東京都を含む多くの自治体で6か月以下の懲役刑または50万円以下の罰金とされています。
2.裁判手続の違い
不同意わいせつ罪で起訴されると、公開法廷で審理され、検察官から懲役刑を請求されます。
これに対して、迷惑防止条例違反には罰金刑もあることから、起訴されても非公開の略式裁判で審理され速やかに終わることが多いです。
⇒略式裁判とは?罰金の金額や払えない場合について弁護士が解説
3.逮捕率の違い
不同意わいせつ罪の方が迷惑防止条例違反より刑罰が重いため、「重い刑罰を避けるために逃亡する可能性が高い」と判断されやすくなります。
そのため、不同意わいせつ罪で立件されると、逃亡を防ぐために逮捕される可能性が高くなります。
路上痴漢は不同意わいせつ罪?迷惑防止条例違反?3つのポイント
路上痴漢が不同意わいせつ罪とみなされるか、迷惑防止条例違反とみなされるかで、その後の手続や刑罰に大きな違いがあります。それでは、どのような場合に路上痴漢が不同意わいせつ罪とみなされるのでしょうか?
電車内の痴漢については、下着の中に手を入れると不同意わいせつ罪、服の上から触った場合は迷惑防止条例違反として取り扱われますが、路上痴漢については明確な基準はありません。
とはいえ、実務では一定の傾向があります。以下、接触した部位、接触した時間、被害者の年齢という3つの観点から見ていきましょう。
1.接触した部位
お尻やふとももを触った場合は迷惑防止条例違反で立件されることが多いです。一方、胸を触った場合、とくに胸をもんだ場合やわしづかみにした場合は不同意わいせつ罪で立件されるのが通常です。
唇やその周辺にキスをした場合も不同意わいせつ罪で立件されることが多いです。キスをしようとしたができなかった場合は不同意わいせつ未遂罪になります。
2.接触した時間
路上痴漢の加害者は被害者に触ってすぐに逃げることが多いため、ほとんどのケースで接触時間は1秒以内から数秒程度です。
接触時間がこれより長くなるのは、被害者が転倒して加害者が覆いかぶさる場合か、被害者を背後から抱きしめるケースです。
覆いかぶさりや抱きしめ行為があると、それらの行為が暴行とみなされ、不同意わいせつ罪として立件される可能性が高くなります。
3.被害者の年齢
お尻や太ももを一瞬触った場合でも被害者が16歳未満であれば、不同意わいせつ罪として立件されやすくなります。
被害者が16歳以上の場合、路上痴漢により不同意わいせつ罪が成立するためには、暴行を用いたり、いきなり触ったり、被害者がフリーズ状態になっていることが必要です。
これに対して、16歳未満の被害者については、そのような要件は必要なく、単にわいせつな行為をすれば、不同意わいせつ罪が成立します。
<電車内の痴漢との比較> 電車内の痴漢であれば服の上から胸を触った場合、迷惑防止条例違反として立件されることが多いですが、路上痴漢であれば服の上から胸を触った場合、不同意わいせつ罪として立件されることが多いです。どうして同じ行為であっても扱いが異なるのでしょうか?
不同意わいせつの「わいせつ行為」に該当するか否かについては、行為の時間や場所、周囲の状況も判断材料になります。路上痴漢の場合は、電車内での痴漢と異なり、深夜、周囲に人がいない状況で行われることが多いため、「わいせつ行為」と評価されやすくなるためです。 |
路上痴漢が不同意わいせつ罪で立件された場合の弁護活動
電車内の痴漢と異なり、路上痴漢が不同意わいせつ罪になるのか迷惑防止条例違反になるのかについて明確な基準はありません。
そのため、着衣の上からお尻を一瞬触ったようなケースでも、警察の判断で不同意わいせつ罪として立件されることがあります。
このような場合は、弁護士が警察署長や検察官に意見書を提出し、罪名を迷惑防止条例違反へ変更するよう要請します。こうした活動により、当初は不同意わいせつ罪で立件されていたものの、後に迷惑防止条例違反に変更されることもあります。
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