強制わいせつ-余罪多数のケース

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

余罪多数の強制わいせつ

強制わいせつで逮捕されたケースでは、逮捕された事件のほかに、同じような強制わいせつ事件を何度も起こしていることがあります。

 

このような余罪多数の強制わいせつ事件の特徴は次の3つです。

  

①夜に住宅街の路上で行われることが多い

②自宅近くで行われることが多い

③胸をもんだり抱きついたりしてすぐに逃げることが多い

 

自宅の最寄り駅などで好みの女性を見つけて、後をつけ、人気のないところで犯行に及ぶケースが多いです。

 

電車内での痴漢であれば、被害者が警察に通報しないこともありますが、夜の路上で強制わいせつの被害を受けた場合、110番通報しないことはまず考えられません。警察としても、被害届を受理して、捜査を始める可能性が高いです。

 

強制わいせつをする前に被害者を尾行しているということは、動線が長くそれだけ防犯カメラに捉えられている可能性が高いということです。

 

犯行の瞬間が撮影されていなくても、尾行している状況や逃走している状況が撮影されていれば、犯人特定の有力な証拠になります。

 

余罪多数の強制わいせつと逮捕

余罪多数の強制わいせつでは、被疑者として特定されれば逮捕される可能性が高いです。

 

複数の強制わいせつのうち、どれかひとつの事件について防犯カメラ等から特定され、後日逮捕されるケースが多いです。

 

この種の強制わいせつでは、加害者は自宅近くで犯行に及ぶことが多く、加害者の生活圏と被害者の生活圏がかぶっていることから、裁判官に、「被害者と再び接触するおそれがあり、罪証隠滅の可能性が高い。」と判断されやすく、勾留される可能性が高いです。

 

勾留は事件単位で行われるものであり、余罪捜査の必要性は、ストレートに勾留の理由にはなりません。

 

ただ、逮捕された事件にとって、余罪は「重要な情状事実」になるため、「重要な情状事実に関する証拠を隠滅するおそれがある。」として、勾留される可能性が高いです.

 

余罪多数の強制わいせつと再逮捕

余罪があったとしても、起訴するか否かは事件ごとに判断されます。最初に逮捕された事件については、被害者と示談が成立すれば不起訴になる可能性が高いです。

 

余罪がなければこれで刑事手続は終了しますが、余罪があれば再逮捕される可能性があります。

再逮捕とは?再逮捕されやすい4つの犯罪と2つのタイミング

 

再逮捕のタイミングは次のようになるのが一般的です。

 

①最初の強制わいせつで示談が成立し釈放された場合→釈放当日に余罪で再逮捕

②最初の強制わいせつで示談が成立せず起訴された場合→起訴当日に余罪で再逮捕

 

厳しい言い方になってしまいますが、自宅に帰れないまま身柄拘束が続くことになります。

 

再逮捕された事件についても、起訴・不起訴は個別に判断されます。最初に逮捕された事件では起訴されたものの、再逮捕された事件では不起訴になることもありますし、その逆もあります。

 

余罪が複数あれば、再逮捕も複数回行われる可能性があります。<再逮捕→再勾留→起訴 or 不起訴>と逮捕の数だけ同じサイクルが続くことになります。

 

【再逮捕される事件を予測するポイント】

どの事件で再逮捕されるか予測するにあたってポイントになるのは、「家宅捜索で押収された衣類」です。捜査員は、あらかじめ防犯カメラ映像を精査して、余罪を起こしたときに犯人がどのような服を着ていたかを把握しています。

 

防犯カメラ映像に写っている犯人と被疑者の同一性を確認するため、犯人が着ていた衣類と同じ衣類が被疑者の自宅にあるかどうかを確認します。

 

家宅捜索にきた時に、捜査員が、立ち会っている本人やご家族に、余罪についての防犯カメラ映像をプリントアウトした紙を見せながら、「この服あるでしょ?出して。」とピンポイントで言ってくることが多いです。

 

もし押収された衣類を着用して余罪に及んだことがあれば、次はその余罪で再逮捕される可能性が高いです。

 

余罪多数の強制わいせつと自首

路上での強制わいせつは、逮捕される可能性が高いタイプの事件です。それでは自首することによって、逮捕を回避することはできるでしょうか?

 

強制わいせつは、1件だけであれば、自首することによって逮捕を防げる余地は十分にあります。ウェルネスの弁護士も、自首によって逮捕を回避したことが何件もあります。

強制わいせつと自首-逮捕を回避できるケースとポイント

 

一方、複数の強制わいせつをしたケースでは、自首しても逮捕される可能性が高いです。ただ、自首すれば、起訴された場合に執行猶予を獲得できる可能性が高くなりますし、被害者との示談もスムーズに進めやすくなるため、自首する意味がないわけではありません。

 

全ての強制わいせつを認めて自首した場合、どの事件についても被疑者として特定されていなければ、全部の事件について自首が成立します。一部の事件について特定されていれば、その事件については、自首は成立しません。

 

全ての強制わいせつを認めて自首した場合、最初に逮捕されるのはそのうち1件についてのみです。証拠が最も確保できている事件で逮捕されます。その後の流れは、後日逮捕のケースと同じで、余罪について再逮捕される可能性があります。

 

直近の強制わいせつだけを認めて自首し、余罪の強制わいせつについて否認または黙秘した場合、同一のエリアで近接した時期に強制わいせつ事件が頻発していれば、余罪についても怪しまれ、自首している事件で逮捕された後、余罪の捜査が行われます。

 

取調べで追及されて余罪について自白したとしても、自発的に供述したわけではありませんので、自首は成立しません。

 

複数の強制わいせつ事件を起こしたケースでは、自首を含めてどのように対応するかについて、刑事事件の経験豊富な弁護士に相談した方がよいでしょう。

 

余罪多数の強制わいせつと取調べ対応

強制わいせつで逮捕されれば、取調べで余罪についても聞かれることになりますが、どのように対応すればよいのでしょうか?

 

余罪がある場合でも、再逮捕されるまでは証拠の収集状況などがわからないため、黙秘した方がよいでしょう。

黙秘について

 

再逮捕された後については、取調官とのやりとりや証拠の収集状況に基づき、黙秘を続けるか自白するかを検討することになります。まずは弁護士にご相談ください。

 

なお、余罪多数の強制わいせつ事件については、事件が多すぎて本人も記憶の整理が十分にできていないことがあります。

 

路上での強制わいせつは決して珍しいタイプの事件ではありません。警察から疑われている事件が他人によって起こされた可能性もあります。

 

明確に覚えていないにもかかわらず、「たぶんこの事件も自分だろう。」と安易に認めるようなことは絶対にしないでください。

 

余罪多数の強制わいせつと起訴

余罪があったとしても、起訴するか否かは、事件ごとに判断されます。最初に逮捕された事件について、被害者との間で示談がまとまれば、余罪があったとしても不起訴になる可能性が高いです。

 

逆に、示談がまとまらなければ、嫌疑不十分で不起訴にならない限り起訴され、刑事裁判になります。

刑事裁判の流れ

公判の流れ

 

余罪があるケースでは、逮捕された順番に従って、起訴・不起訴が順次判断されていきます。複数の強制わいせつ事件をまとめて起訴することは通常ありません。

 

2件目以降の起訴は「追起訴」と呼ばれます。追起訴された場合は、複数の裁判が別々に進むのではなく、「弁論の併合」といって1本の手続にまとめられ、同じ裁判官が審理します。判決も全ての起訴事件についてまとめて下されます。

追起訴とは?追起訴されやすい4つの犯罪や裁判の流れについて

 

余罪多数の強制わいせつと執行猶予

前科がない方が強制わいせつで起訴された場合、起訴された事件が1件だけであれば、示談がまとまらなくても、執行猶予がつく可能性は十分にあります。

強制わいせつで執行猶予を獲得するための17のポイント

 

一方、複数の事件で起訴された場合は、前科がなくてもいきなり実刑になる可能性があります。

 

一瞬胸をもんで逃げた場合など悪質性が低い場合は、2,3件起訴されても、不起訴になる可能性はありますが、それ以上起訴されれば、実刑になる可能性が高くなります。

 

もし被害者がケガをして強制わいせつ致傷で起訴された場合は、裁判員裁判で審理されることになり、実刑になるリスクが相当に高くなります。

裁判員裁判の流れ

 

示談をすればそもそも起訴されない可能性が高いため、逮捕直後から速やかに示談に向けて動いた方がよいでしょう。

 

余罪多数の強制わいせつとカウンセリング

多数の強制わいせつ事件を起こしたケースでは、最初はドキドキしながらわいせつ行為をしていたものの、警察に捕まらないため徐々に感覚がマヒしていき、何件もの事件を起こした末に逮捕されることが多いです。

 

自分の行為を正当化するため、「ちょっと触るぐらいなら大丈夫だろう。」と認知にゆがみが見られることも少なくありません。

 

専門のクリニックに通院する等して、再犯防止に取り組んでいただく必要があるでしょう。地域によっては、勾留されている警察署までカウンセリングに来てくれる専門家もいます。ウェルネスでそのような専門家をご紹介することも可能です。

 

刑事裁判になった場合は、カウンセラーに証人として出廷してもらったり、被告人質問で、本人に再犯防止に向けた取り組み状況を話してもらいます。

 

余罪多数の強制わいせつとご家族

ご家族は、当初、息子や夫が強制わいせつで逮捕されたという事実しか把握していません。本人と接見した弁護士から報告を受けて初めて、余罪について知ることになります。

 

弁護士から余罪が複数あることを聞いて、大きなショックを受けるご家族が少なくありません。

 

ご家族にもカウンセリングを受けてもらったり、性犯罪者の家族ミーティングに参加してもらい、性犯罪についての知見を深め、本人をどのように監督していくかを考えてもらいます。

 

本人が起訴された場合は、情状証人として出廷してもらいます。

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