合意があるのに強制わいせつで事件化した場合の対処法

このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。

 

 

合意があるのに強制わいせつで刑事事件になったケース

合意の上で女性にキスやハグ、ペッティングなどの性的行為をしたのに、後日、強制わいせつで被害届を出されるケースがあります。

 

合意のもとで性行為をしたのに被害届を出す動機として、まず考えられるのは金銭目的です。

 

それ以外に考えられるのは、何らかの理由により性行為をしたことが夫や交際相手にばれてしまい、不倫疑惑をかわすために、「無理やりされた」と言って、自分を被害者に仕立て上げるケースです。

 

合意の上でわいせつ行為をしているわけですから、強制わいせつといっても、女性側の供述以外に証拠がないのが通常です。

 

そのため、警察が積極的に被害届を受理することはありません。しかし、女性が強硬に被害届を受理するよう迫った場合は、警察としても断り切れずに受理してしまうケースがあります。

 

警察官が「本当に強制わいせつなの?」と疑念をもっていたとしても、いったん被害届を受理した以上は、ひと通り捜査をして検察庁に送致(送検)せざるを得ません。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化したケースの特徴

合意があるのに強制わいせつで被害届を出された場合の特徴は次の3つです。

 

① 警察が身元引受人を求めない

② 刑事が優しい

③ 検事が示談をすすめてくる

 

① 警察が身元引受人を求めない

合意があったのに強制わいせつで立件された場合、たいした証拠もないことから、逮捕されることはまずないでしょう。逮捕されずに在宅事件として捜査される場合は、警察が容疑者の家族や上司に連絡を入れ、身元引受人として警察署まで迎えにきてもらいます。

 

しかし、合意があったのに強制わいせつで立件された場合は、刑事も内心「本当に強制わいせつといえるのか?」と疑問に思っていることから、容疑者のプライバシーに配慮し、家族や上司に連絡を入れないことが多いです。

 

② 刑事が優しい

強制わいせつは性犯罪の中でも強制性交等に次ぐ重大犯罪です。もし刑事が、「こいつはやっている。」と思っていれば、合意があったと主張している容疑者に対して、「否認してんじゃねえ!」とか「そんな説明に納得するやつはいない!」と怒鳴ってきたりします。

 

ところが、合意があったのに強制わいせつで立件されたケースでは、気持ち悪いぐらい刑事が優しいことが多いです。

 

☑ 俺たちもやりたくて捜査してるんじゃないんだよ

☑ 正直、あなたには同情するよ

☑ 一番軽いランクで検察庁に送っておくから…

 

刑事からこのような言葉をかけられることもあります。

 

③ 検事が示談をすすめてくる

書類送検されると、検察官から呼び出しを受け、検察庁で取調べを受けます。検察官も刑事と同じように優しく対応してくれます。

 

警察との違いは相手との示談をすすめてくることです。

 

☑ 女性は心の中で嫌だと思っていてもなかなか断れないもの

☑ あなたが気づいていないだけでもし女性が嫌がっていたらどうする?

☑ お詫びをするのであれば弁護士をつけた上で連絡してください

 

検察官はこのようなことを言って示談をすすめてきます。本来、検察官は「公益の代表者」(検察庁法4条)として、「強制わいせつが成立するか疑問が残る」と判断した場合は、嫌疑不十分で不起訴にしなければいけません。

 

しかし、実際は、被害者と示談をさせて、起訴猶予による不起訴で落としたいと考えている検察官が少なくありません。

               

検察官は、被害者が希望している場合は、処分の結果や処分の理由を説明しなければいけません。もし嫌疑不十分で不起訴にすると、被害者が納得せず対応に苦労することがあります。

 

示談が成立すれば、被害者も納得済みであるため、てっとり早く不起訴でクローズできます。そのため、示談を勧めてくるのです。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化したケースの対処法

合意があるのに被害届を出され事件化した場合、検察官は示談を勧めてきますが、示談をすべきではありません。

 

確かに示談をすれば不起訴になるでしょう。しかし、示談で不起訴になった場合、不起訴の理由は「嫌疑不十分」ではなく「起訴猶予」です。

 

起訴猶予とは「犯罪事実を認定できるが検察官の裁量により起訴しない」という処分です。これに対して、嫌疑不十分による不起訴は、検察官が「起訴しても裁判で勝てない」と判断したときに出される処分です。

 

別の言い方をすると、起訴猶予は犯罪の成立を前提とした処分であるのに対し、嫌疑不十分は犯罪が成立しないことを前提とした処分です。

 

嫌疑不十分で不起訴になった場合は、本人の名誉が守られますし、勤務先で懲戒処分を受けたケースでは、労働審判などで処分の取り消しを求める余地もあります。

 

嫌疑不十分による不起訴は、犯罪が成立しないことを前提としているため、犯罪の成立を前提とする示談交渉をするべきではありません。かわりに、弁護士が検察官に対して、嫌疑不十分による不起訴を求める意見書を提出します。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化した場合の注意点

合意があるのに強制わいせつで事件化した場合、示談交渉をせず嫌疑不十分による不起訴を求めていくべきです。

 

ただ、実際は合意がなかったのに、男性側の認知の歪みにより、「俺に好意を持っていたから合意していた。」と都合よく解釈してしまっているケースもあります。

 

そのようなケースで、「示談は一切しない」というスタンスで突っ走ると公判請求されてしまい、取り返しのつかないことになります。

 

まずは性犯罪事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化したケースと不起訴処分告知書

合意があるのに強制わいせつで被害届を出された後に嫌疑不十分による不起訴を獲得した場合、不起訴処分告知書には「嫌疑不十分」という言葉も入れてもらうべきです。

不起訴処分告知書とは

 

不起訴処分告知書に「嫌疑不十分」という言葉が入っていれば、勤務先に対する懲戒処分の取消し請求や女性に対する損害賠償請求をする際に、合意があったことの有力な証拠になります。

 

不起訴処分告知書は検察官に申請すれば発行してくれますが、通常、不起訴の理由までは記載してくれません。本人の名誉回復のために必要である等として、不起訴理由まで記載してもらえるよう弁護士が検察官と交渉します。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化した場合の民事リスク

合意の上で女性と性行為をした場合、相手が18歳以上であれば犯罪にはなりませんが、相手が結婚していれば、相手の夫に対する不法行為が成立します。

 

そのため、刑事手続きで嫌疑不十分による不起訴を獲得しても、民事で女性の夫から損害賠償を請求されるリスクはあります。

 

ただ、合意の上で性行為をして刑事事件化するケースは、女性と1,2度しか性行為をしていないケースが多いです。そのようなケースでは、賠償額はせいぜい数十万円にとどまりますので、弁護士費用とのかねあいで、相手の夫から民事訴訟を提起されないことが多いです。

 

合意があるのに強制わいせつで被害届を出された方へ

自分が刑事事件の当事者、それも被害者側ではなく容疑者側になるとは思ってもいなかったことでしょう。

 

合意があるのに強制わいせつで事件化したケースでは、示談が成立すれば不起訴になることから、目先の不安に耐えられず、理不尽な思いを抱きながらも、示談の方向で進める方が多いです。

 

しかし、本当にそれでよいのでしょうか?

 

たとえ示談が成立して不起訴になっても、それは起訴猶予による不起訴であって、強制わいせつ罪が成立することが前提になります。あなたの名誉が回復されたことにはならないのです。

 

10年後、20年後に当時を振り返って、「あの決断は間違っていなかった。」と思えるでしょうか?

 

ウェルネスでは、合意があるのに刑事事件化したケースで、嫌疑不十分を獲得した実績が複数あります。お悩みの方はウェルネス(03-5577-3613)までご相談ください。

 

 

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