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同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された時の対処法
不同意わいせつ罪を新設した改正刑法が2023年7月13日に施行されました。この日以降に起こったわいせつ事件については、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪ではなく、不同意わいせつ罪の成否が問題になります。
このページでは、同意の上で性的な行為をしたにもかかわらず、後日、不同意わいせつで被害届を出された場合の対処法について、弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
目次
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出されるケース
1.どうして被害届が出る?
同意の上で女性にキスやハグ、ペッティングなどの性的行為をしたのに、後日、不同意わいせつで被害届を出されるケースがあります。同意のもとで性行為をしたのに被害届を出す理由として、まず考えられるのは金銭目的です。
それ以外に考えられるのは、性行為をしたことが夫や交際相手にばれてしまい、不倫疑惑をかわすために、「無理やりされた」と言って、自分を被害者に仕立て上げるケースです。
2.被害届を出されたら
同意の上でわいせつ行為をした後に、不同意わいせつの被害届を出された場合、女性の供述以外に証拠がないことが多いです。
そのため、警察が積極的に被害届を受理することはありません。しかし、女性が強硬に被害届を受理するよう迫った場合は、警察としても断り切れずに受理してしまうケースがあります。
警察官が「本当に不同意わいせつなの?」と疑問をもっていたとしても、いったん被害届を受理した以上は、男性の取調べをして検察官に送致(送検)することになります。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された-捜査側の対応は?
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された場合、捜査側の対応の特徴として次の3つが挙げられます。
1.警察が身元引受人を求めない
2.刑事が優しい
3.検察官が示談をすすめてくる
1.警察が身元引受人を求めない
同意があったのに不同意わいせつで立件された場合、たいした証拠もないことから、逮捕されることはまずないでしょう。
逮捕せずに在宅事件として捜査する場合は、警察が被疑者の家族や上司に連絡を入れ、身元引受人として署まで迎えにきてもらいます。
しかし、同意があったのに不同意わいせつで立件された場合は、刑事も内心「本当に不同意わいせつといえるのか?」と疑問に思っていることから、被疑者のプライバシーに配慮し、家族や上司に連絡を入れないことが多いです。
2.刑事が優しい
不同意わいせつ罪は性犯罪の中でも不同意性交等罪に次ぐ重大犯罪です。
もし刑事が、「こいつはやっている。」と思っていれば、取調べで同意があったと主張しても、「否認してんじゃねえ!」とか「そんな説明に納得するやつはいない!」と怒鳴ってきたりします。
ところが、同意があったのに不同意わいせつで立件されたケースでは、拍子抜けするくらい刑事が優しいことが多いです。
☑ 俺たちもやりたくて捜査してるんじゃないんだよ
☑ 正直、あなたには同情するよ
☑ 一番軽いランクで検察庁に送っておくから…
刑事からこのような言葉をかけられることもあります。
3.検察官が示談をすすめてくる
書類送検されると、担当の検察官から呼び出しがあり、検察庁で取調べを受けます。検察官も刑事と同じように優しく対応してくれます。警察との違いは相手との示談をすすめてくることです。
☑ 女性は心の中で嫌だと思っていてもなかなか断れないもの
☑ あなたが気づいていないだけでもし女性が嫌がっていたらどうする?
☑ お詫びをするのであれば弁護士をつけた上で連絡してください
検察官はこのようなことを言って示談をすすめてきます。本来、検察官は「公益の代表者」(検察庁法4条)として、「不同意わいせつが成立するか疑問が残る」と判断した場合は、嫌疑不十分で不起訴にしなければなりません。
しかし、実際は、被害者と示談をさせて、起訴猶予による不起訴で落としたいと考えている検察官が少なくありません。
検察官は、被害者が希望している場合は、被害者に処分の結果や理由を説明しなければいけません。もし嫌疑不十分で不起訴にすると、被害者が納得せず対応に苦慮することがあります。
示談が成立すれば、被害者も不起訴になることについて納得済みですので、てっとり早く事件を処理することができます。そのため、示談をすすめてくるのです。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された-示談はすべき?
1.示談をすれば起訴猶予で不起訴に
同意があるのに被害届を出され事件化した場合、検察官は示談をすすめてきますが、示談をすべきではありません。
確かに示談をすれば不起訴になるでしょう。もっとも、示談をして不起訴になった場合、不起訴の理由は「嫌疑不十分」ではなく「起訴猶予」になります。
起訴猶予とは「犯罪を認定できるが検察官の裁量により起訴しない」という処分です。これに対して、嫌疑不十分による不起訴は、検察官が「起訴しても有罪をとれない」と判断したときに出される処分です。⇒不起訴とは?無罪との違いや前歴・罰金との関係
別の言い方をすると、起訴猶予は有罪であることを前提とした処分であるのに対し、嫌疑不十分は無罪であることを前提とした処分です。
2.示談せずに嫌疑不十分を狙う
嫌疑不十分で不起訴になった場合は、本人の名誉が守られますし、勤務先で懲戒処分を受ける可能性も低くなります。また、女性から民事で損害賠償請求される可能性も低くなります。
嫌疑不十分による不起訴を目指す場合、嫌疑不十分は無罪であることを前提としているため、示談交渉をするべきではありません。
その代わりに、弁護士が検察官に対して、嫌疑不十分で不起訴にするよう求める意見書を提出します。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された-本人の勘違いに注意
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された場合、示談交渉をせず嫌疑不十分による不起訴を求めていくべきです。
ただ、実際は同意がなかったのに、男性側の認知の歪みにより、「俺に好意を持っていたから同意していた。」と都合よく解釈してしまっているケースもあります。
そのようなケースで、「示談は一切しない」というスタンスで突っ走ると、公判請求され取り返しのつかないことになりかねません。同意があったと言えない場合は、被害者にお詫びをした上で、示談を進めていくことになります。
まずは性犯罪事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された-不起訴処分告知書について
刑事事件で不起訴になった場合、検察官に申請すれば不起訴の証明書をもらえます。この証明書のことを不起訴処分告知書といいます。
⇒不起訴処分告知書とは?取得できる時期や取得方法について解説
不起訴処分告知書には被疑者の氏名や罪名、不起訴になった日などが記載されていますが、不起訴の理由までは記載されていません。
嫌疑不十分による不起訴を獲得した場合、不起訴処分告知書には「嫌疑不十分」という不起訴理由も入れてもらうべきです。
「嫌疑不十分」という言葉が入っていれば、勤務先の懲戒処分を阻止できる可能性が高まります。万一、民事で損害賠償を請求された場合も、同意があったことを裏づける有力な証拠になります。
本人の名誉回復のために必要である等として、不起訴理由まで記載してもらえるよう弁護士が検察官と交渉します。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出された方へ
多くの方は、自分が刑事事件の当事者、それも被害者側ではなく被疑者側になるとは思ってもいなかったことでしょう。
同意があるのに不同意わいせつで被害届を出されたケースでは、示談をすれば不起訴になる可能性が高いので、不安に耐えられず、理不尽な思いを抱きながらも、大金を払って示談をする方も少なくありません。
しかし、本当にそれでよいのでしょうか?
たとえ示談が成立して不起訴になっても、それは起訴猶予による不起訴であって、不同意わいせつ罪が成立することが前提になります。あなたの名誉が回復されたことにはならないのです。
10年後、20年後に当時を振り返って、「あの決断は間違っていなかった。」と思えるでしょうか?
ウェルネスでは、同意があるのに被害届を出され刑事事件化したケースで、嫌疑不十分を獲得した実績が多数あります。お悩みの方はウェルネス(03-5577-3613)の弁護士へお気軽にご相談ください。
不同意わいせつに強い弁護士が解説!