【弁護士が解説】迷惑防止条例で規制される盗撮の場所

最終更新日…2020年7月18日

 

東京、埼玉、千葉、神奈川の迷惑防止条例がどのような場所での盗撮を規制しているかについて、弁護士 楠 洋一郎がまとめました。

 

 

東京都の迷惑防止条例と盗撮の場所

東京都の迷惑防止条例は、次の場所で盗撮をしてはならないと定めています。

 

①住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所

②公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定多数の者が利用し、または出入りする場所又は乗物

 

埼玉県の迷惑防止条例と盗撮の場所

埼玉県の迷惑防止条例は、公共の場所と公共の乗物で盗撮をしてはならないと定めています。

 

千葉県の迷惑防止条例と盗撮の場所

千葉県の迷惑防止条例は、以前は、公共の場所と公共の乗物での盗撮のみ規制していました。もっとも、迷惑防止条例が改正され、2020年7月からは、次の3種類の場所について盗撮が規制されるようになりました。

 

①公共の場所と公共の乗物(従来と同じ)

②人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいる場所及び住居、

③不特定もしくは多数の者が利用し、もしくは出入りすることができる場所または乗物

 

 

神奈川県の迷惑防止条例と盗撮の場所

神奈川県の迷惑防止条例は、次の場所にいる人を盗撮する目的でカメラを差し向けたり、設置してはならないと定めています。

 

①公共の場所、公共の乗物

②住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部もしくは一部を着けないでいるような場所

 

迷惑防止条例と盗撮の場所についてのまとめ

盗撮場所についての迷惑防止条例の規制をまとめると下表のようになります。

 

 

①:公共の場所、公共の乗物

②:衣服の全部または一部を着けないでいるような場所

③:①でも②でもないが不特定または多数の人が出入りする場所

具体例

駅、公園、デパート、公衆便所、公衆浴場、電車

住居、便所、浴場、更衣室、ホテルの客室

学校、塾、オフィス

東京

埼玉

×

×

千葉

神奈川

×

 

公共の場所や公共の乗物での盗撮については全ての迷惑防止条例で規制されています。

 

衣服の全部または一部を着けないでいるような場所にいる人を盗撮することは、東京、千葉、神奈川で規制されていますが、埼玉では規制されていません(2020年7月時点)。

 

もっとも、埼玉では住居や更衣室で盗撮しても処罰されないというわけではありません。このような場所での盗撮は軽犯罪法で規制されていますので、軽犯罪法違反として処罰されることになります。軽犯罪法違反の方が迷惑防止条例違反よりも刑が軽くなります。

 

【軽犯罪法1条23号の対象となる者】

正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

【軽犯罪法違反の刑罰】

1か月未満の身柄拘束(拘留)または1万円未満の科料

 

埼玉の迷惑防止条例違反…6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

 

「公共の場所や乗物ではなく、衣服の全部または一部を着けないでいるような場所でもないが、不特定または多数の人が出入りする場所」での盗撮を規制しているのは現時点では東京と千葉のみです。

 

よく問題となるのはオフィス内の執務スペースや大学や塾の教室内での盗撮です。このような場所は、「公共の場所」ではなく、また「人が通常衣服をつけないでいるような場所」とはいえず、軽犯罪法違反でも規制されていないので、埼玉と神奈川では、処罰されない可能性が高いです。

 

これらの場所での盗撮については、条例ではなく国の法律で規制すべきとの声が上がっています。

 

なお、刑事事件としては処罰されなかったとしても、民事上は不法行為(民法709条)になりますので、被害者に対して損害賠償責任を負うことになります。

 

また、会社内での盗撮が発覚した場合は、刑事事件にならなかったとしても、社内で懲戒処分が下される可能性が高いです。学校内での盗撮についても、学内処分の対象となるでしょう。

 

迷惑防止条例と盗撮の場所についての今後の動向

カメラの高性能化や小型化に伴い、日本全国の自治体で、従来の迷惑防止条例を改正して、盗撮を規制する場所を拡大する動きがあります。

 

そのため、現時点では、お住まいの自治体で、衣服の全部または一部を着けないでいるような場所や、不特定または多数の人が出入りする場所での盗撮が規制されていなかったとしても、近い将来、迷惑防止条例が改正されて規制されるようになることも十分に考えられます。

 

 

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