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盗撮
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
盗撮と後日逮捕
1.後日逮捕もありうる
盗撮で逮捕される場合、被害者や目撃者による現行犯逮捕となるのが通常ですが、現場から逃げた後、警察に後日逮捕されるケースもあります。駅構内のエスカレーターで盗撮したときは、駅の防犯カメラやSUICA等の交通系ICカードから足がつくことが考えられます。
後日逮捕される場合、事件の直後ではなく、2,3か月後に逮捕されることが多いです。
2.後日逮捕を回避する方法
盗撮の現場から逃げた場合でも、自首すれば後日逮捕を回避できる可能性が非常に高いです。自首するためには、被疑者として特定される前に警察署に出頭することが必要です。
警察は逮捕前に被疑者を尾行して行動確認を行いますが、この段階になると既に特定されているので、出頭しても自首にはならず、そのまま逮捕される可能性が高いです。自首をするのであればできるだけ早く動くことが必要です。
ウェルネスの弁護士は盗撮で自首に同行した経験が多数あり、これまで全てのケースで逮捕回避を実現しています。自首しようか悩んでいる方は弁護士までご相談ください。
【自首のページ】
盗撮で逮捕されないときの流れ
盗撮で検挙されたが逮捕されずにすんだときは、警察で取調べをした後に、捜査員が被疑者のご家族や上司に電話して、身元引受人として警察署まで迎えに来てもらうことが多いです。その後、警察署に1,2回出頭し、取調べを受けます。
事件によってケースバイケースですが、検挙されてからおおむね2か月前後で、事件が検察庁に引き継がれます(書類送検)。書類送検されると担当の検察官が1名決まります。通常は検察官の取調べを一度受けた後、検察官が、本人の反省状況や示談の有無、前科などの事情を検討し、起訴するか不起訴にするかを決めます。
盗撮事件では、初犯であれば、最悪でも略式裁判で罰金にとどまることが多いです。一方、前科があれば、公判請求される可能性が高まります。
盗撮と余罪
1.余罪とは
余罪とはつかまった犯罪とは別の犯罪のことです。盗撮の余罪でよく問題になるのが、警察に押収されたスマートフォンの中に、別の機会に盗撮した画像データが保存されているケースです。データを削除していた場合も、警察で復元される可能性があるので、同様に余罪の問題が生じます。
2.余罪が個別に立件される可能性は低い
押収されたスマートフォンの中に余罪の盗撮画像が保存されていた場合、余罪についても、別の刑事事件として立件されるのでしょうか?結論からいえば、その可能性は低いです。盗撮の日時と場所がわかなければ事件を特定することができないからです。
盗撮の日時はスマートフォンに保存された日時からわかりますが、盗撮の場所についてはGPSと連動していない限りスマートフォンからはわからず、本人も覚えていないことが多いです。
このように、盗撮の余罪が別の刑事事件として立件される可能性は低いです。ただ、多数の余罪がある場合は、「盗撮の常習性がある」と評価され、検挙された盗撮事件の刑罰が重くなることがあります。
【余罪についてのページ】
盗撮の弁護方針(罪を認める場合)
1.示談をする
起訴するか不起訴にするかを決めるのは検察官です。検察官は、盗撮の被疑者を起訴するかどうかを決めるにあたり、示談が成立しているかどうかを非常に重視しています。そのため、被害者との間で示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高いです。
捜査機関は、被疑者やその家族に被害者の連絡先を教えてくれません。そのため示談交渉は、弁護士を通じて行うことになります。盗撮の被害者は、事件によって深く傷つき不安な思いをされています。弁護士には被害者の気持ちに細やかに配慮した姿勢が求められます。
【不起訴を獲得するために】 弁護士が示談書や示談金の領収書を検察官に提出します。 |
2.謝罪する
盗撮で最も重要な弁護活動は示談です。とはいえ、不安な思いをしている被害者に対して、弁護士がいきなり示談の話をするのは禁物です。まずは心の底から被害者の方にお詫びをすべきです。
盗撮の被害者は、被疑者と会いたくないと強く思っていますので、弁護士を通じて、謝罪文をお渡しする方法により謝罪してもらいます。
【不起訴を獲得するために】 弁護士が謝罪文の写しや受領証を検察官に提出します。 |
3.専門家の援助を受ける
盗撮した方のなかには、盗撮をやめたいという強い気持ちをもちながら、自身の衝動をコントロールできず、盗撮を繰り返してしまう人が少なからずいます。
そのような方には、専門家の助けが必要です。性依存症のクリニックに通ったりカウンセリングを受けたりすることによって、盗撮に走ってしまう傾向を根本から改善していきます。
【不起訴を獲得するために】 弁護士が受診証明書や医師の診断書を検察官に提出します。 |
4.反省を深める
性犯罪被害者の本を読んだり、性依存症の方を対象とした自助グループに参加する等して反省を深めてもらいます。
【不起訴を獲得するために】 弁護士が、本人作成の反省文を検察官に提出します。また検察官の前で、現在の心境を直接話してもらいます。 |
5.その他の弁護活動
① 早期釈放を目指す
逮捕・勾留されている場合は、早期釈放に向けた弁護活動を行います。
② 再発防止策を立てる
スマートフォンに鈴をつける、待ち受け画面を家族写真にする、カメラ機能を物理的に破壊する等して盗撮することができない環境を作ります。
③ 寄付をする
示談が成立しなかった場合、反省の気持ちを示すために慈善団体や弁護士会へ贖罪寄付(しょくざいきふ)をします。弁護士が寄付の証明書を検察官に提出します。
④ ご家族に協力してもらう
ご家族に本人を監督するよう約束してもらいます。「本人を監督します」という誓約書をご家族に書いてもらい弁護士が検察官に提出します。
盗撮の弁護方針(無罪を主張する場合)
1.捜査機関に自白調書をとらせない
本人の携帯電話などから盗撮画像が出てこず、防犯カメラもなければ、関係者の供述以外に目ぼしい証拠はないということになります。そのため、刑事裁判では「本人の言っていることが信用できるか否か」が大きなポイントになります。
例えば、被疑者が本当は盗撮をしていなかったにもかかわらず、取調べの際、捜査機関の圧力に屈してしまい、「盗撮しました」と自白してしまったとします。
その場合、刑事裁判になってから「盗撮していません」と言っても、検察官から「取調べのときは自白してましたよね?」と突っ込まれ、裁判官にも信用してもらえなくなります。
捜査機関は否認を続ける被疑者に対して、あの手この手で自白するよう働きかけます。不起訴や無罪判決を目指すのであれば、このような働きかけに屈しないことが重要になります。
弁護士がご本人と頻繁に接見し、捜査機関のプレッシャーに屈しないよう継続的にバックアップしていきます。
2.被害者・目撃者の供述の信用性を争う
盗撮画像や防犯カメラ映像などの客観的証拠がなければ、「目撃者の言っていることが信用できるか否か」も大きなポイントになります。
同一人物の複数の調書を比較すると、供述内容が不自然に変化していることがあります。例えば、人間の記憶は時の経過とともに衰えていくものですが、取調べが進むにしたがって、供述調書がだんだん詳しくなっていくことがあります。
これは取調官による誘導を示しています。弁護士が被害者らを反対尋問することによって、供述の不合理な変化をあぶり出し、信用性が低いことを明らかにします。
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盗撮の多発エリア
盗撮が最も多いエリアは東京23区内です。主要ターミナル駅の構内や商業施設で盗撮が多発しています。
東京1都3県で他に多いのは、横浜駅での盗撮事件です。多くは鉄道警察隊につかまった後、戸部警察署の地域課に引き継がれ、保土ヶ谷区検察庁に送検されます。川崎駅での盗撮事件も多いです。多くは鉄道警察隊につかまった後、川崎警察署の地域課に引き継がれ、川崎区検察庁に送検されます。
千葉では西船橋駅での盗撮事件が多いです。鉄道警察隊に検挙された後、船橋警察署の生活安全課特捜係に引き継がれ、千葉地方検察庁に送検されます。
ウェルネスは東京の法律事務所ですが、これらの地域での盗撮事件についても多くのご依頼を受けております。
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盗撮に強い弁護士をお探しの方へ
盗撮の被疑者になってしまった場合、どのような弁護士に依頼すればよいのでしょうか?
弁護士が手がけている分野はさまざまです。多くの弁護士は、刑事事件よりも民事事件や企業法務に力を注いでいます。そのような弁護士に刑事事件を依頼するのは不安が残ります。
盗撮は刑事事件の中では軽い犯罪ですが、前科がつけば一生消えません。釈放が一日遅れることにより事件が会社に発覚し解雇されることもあります。その意味でご依頼者の人生がかかっているといえます。よりよい結果を得るためには、盗撮事件の経験豊富な弁護士、盗撮に強い弁護士に依頼した方がよいでしょう。
ウェルネスは刑事事件専門の法律事務所です。これまで100件以上の盗撮を取り扱い、ほとんどの事件で不起訴を獲得しています。盗撮に強い弁護士をお探しの方はぜひ03-5577-3613までお電話ください。
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