強制わいせつ

強制わいせつ罪の基礎知識

(1)強制わいせつ罪の類型

暴行または脅迫によって13歳以上の男女にわいせつな行為をした場合、強制わいせつ罪が成立します(刑法176条)13歳未満の男女については、暴行または脅迫を用いなくても、わいせつな行為をしただけで強制わいせつ罪が成立します。

 

睡眠薬やお酒を飲ませ、抵抗できなくした上でわいせつな行為をした場合も、強制わいせつとして扱われます。被害者の住居に侵入し、わいせつな行為をした場合は、強制わいせつ罪と併せて住居侵入罪(刑法130条)も成立します。

 

 

(2)強制わいせつ罪の刑罰

6か月以上10年以下の懲役

 

 

(3)告訴の要否

強制わいせつ罪で起訴するためには被害者の告訴が必要です。ただし、被害者がけがをした場合や、2人以上の者が共同して強制わいせつをした場合、被害者の告訴は必要とされていません。

 

 

(4)強制わいせつ罪の関連犯罪

犯罪名

適用対象

刑罰

強制わいせつ致死傷罪(刑法181条1項)

強制わいせつ罪または強制わいせつ未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者

無期または3年以上の懲役

* 強制わいせつ致死傷罪は被害者の告訴がなくても起訴することができます。

 

 

(5)強制わいせつ事件の流れ

刑事事件として立件された強制わいせつ事件(強制わいせつ致死傷罪を含む)のうち被疑者が逮捕されたケースは67%です(平成27年検察統計年報:他の数値もこの統計に基づいています)。強制わいせつ罪で逮捕された後、勾留される可能性は94%です。勾留期間(原則10日)が延長される可能性は約82%です。

 

強制わいせつ事件の起訴率は42%とそれほど高くありません。これは、強制わいせつ罪が被害者の告訴がなければ起訴することができない犯罪だからです(親告罪)。実際にも、不起訴となった事件の実に60%近くが告訴の欠如、取消を理由とするものです。

 

起訴された場合、初犯であれば執行猶予の見込みは十分にありますが、前科(特に性犯罪の前科)があれば、実刑判決となる可能性が高まります。強制わいせつ致傷罪の場合は、初犯でいきなり実刑となることも少なくありません。

 

【強制わいせつのページ】

強制わいせつの解決事例

強制わいせつのご質問

 

強制わいせつ罪の弁護方針(罪を認める場合) 

(1)示談をする

強制わいせつ罪は、被害者の告訴がなければ起訴することができません。そのため、示談の結果、被害者に告訴を取り消してもらえれば、強制わいせつ罪で起訴される心配はなくなります。もっとも、強制わいせつ罪は、数ある性犯罪のなかで強姦に次いで悪質な犯罪です。そのため、被害者は加害者に対して非常に厳しい感情を抱いており、連絡先の開示を望まない方もおられます。

 

そのような場合、まずは検察官を通じて、被害者に対し、加害者の反省状況を説明したり、被害者の希望を取り入れた柔軟な交渉が可能であること(メールなど負担にならない方法でのやりとりや土日・早朝の対応も可能であることなど)を申し入れます。弁護士が働きかけた結果、当初は連絡先を教えることを拒んでいた被害者が、弁護士限りで連絡先を教えてくれる場合も相当数あります。

 

連絡先の開示を受けたら速やかに示談交渉に入りますが、強制わいせつの被害者は一般的に精神的動揺が激しく、加害者に対して強い拒否感を抱いているため、交渉全般を通じて被害者の心情に細やかに配慮した姿勢が強く求められます。

示談の基礎知識

 

 

(2)専門家の援助を受ける

強制わいせつ罪の加害者のなかには、自己の性的衝動をコントロールすることができず、性的な問題行動を繰り返してきた人が少なからずいます。そのような方に対しては、専門家の助けが必要です。カウンセリングを受けたり、クリニックに通うことによって、問題を根本から改善する必要があります。

 

公判請求されたら…

通院の証拠として、受診証明書、カルテ等を裁判所に提出します。

 

  

(3)反省を促す

性犯罪被害者の本を読む等して、自らしてしまったことの重大さを自覚してもらいます。さらに、わいせつ行為をしてしまった原因を分析し、問題を克服するためにはどうすればよいのかをじっくり考えてもらいます。性依存症の方を対象とした自助グループに参加して内省を深めてもらうこともあります。

 

公判請求されたら…

本人作成の反省文を証拠として提出します。また、裁判官の前で現在の心境を直接語ってもらいます。

 

 

(4)被害者とのコンタクトを控える

顔見知りの女性に強制わいせつをした場合、被害者は、「また同じことをされるのではないか?」、「仕返しされるのではないか?」と強い恐怖感を抱いています。そのような被害者の心情に配慮し、加害者としては、今後、被害者との接触は控えるべきです。弁護士を通じて、被害者にその点を強調するとともに、示談書の中に「今後、加害者は被害者に近づかない」といった条項を入れ、被害者の不安をできるだけ軽くします。

 

公判請求されたら…

被害者に近づかないことを明記した示談書や本人作成の誓約書を証拠として提出します。

 

  

(5)転居費用を負担する

住居に侵入した上で強制わいせつに及んだ場合、被害者は加害者に対して強い嫌悪感・恐怖感を持っています。事件をきっかけとして被害者が転居を希望する場合は、可能であれば転居費用を負担することも検討する必要があるでしょう。

 

公判請求されたら…

転居費用についての領収証を証拠として提出します。

 

 

(6)その他の弁護活動

① 早期釈放を目指す

身体拘束されている場合は、早期釈放に向けた弁護活動を行います⇒詳しくはこちら

 

② 寄付をする

示談が成立しなかった場合、反省の気持ちを示すために慈善団体等へ寄付をします。公判請求された場合は、寄付したことの証明書や領収証を証拠として提出します。

 

③ ご家族にも協力してもらう

ご家族に本人を監督するよう約束してもらいます。公判請求された場合は、本人を監督する旨の誓約書を証拠として提出します。また、情状証人として、裁判官の前で、本人の更生をどのようにサポートしていくのかを語ってもらいます。

 

 

強制わいせつ罪の弁護方針(無罪を主張する場合)

(1)身に覚えがない場合

全く身に覚えがないにもかかわらず、強制わいせつの容疑をかけられてしまった場合、アリバイ事実が存在することを弁護士が検察官・裁判官に主張し、不起訴処分あるいは無罪判決の獲得を目指します。捜査機関によってDNA鑑定、血液鑑定が実施されている場合は、改めて専門家に鑑定を依頼したり、裁判所に対して鑑定を実施するよう請求します。

 

 

(2)相手の同意があった場合

相手の同意があったにもかかわらず、強制わいせつの容疑をかけられてしまった場合、本人と相手の関係、交際するようになった経緯、交際の状況、性行為前後のやりとり等から、そもそも強制わいせつには当たらないことを主張します。

 

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オーダーメイドの弁護活動

このページでご紹介している弁護方針は一つの例にすぎません。たとえ犯罪の種類が同じでも、事件が異なれば、求められる弁護活動も違ってきます。ウェルネスでは、数多くのノウハウに基づき、一つ一つの事件に対応した完全オーダーメイドの弁護活動を行います。

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