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オレオレ詐欺の3つの弁護方針について弁護士が解説
受け子にせよかけ子にせよ、オレオレ詐欺で逮捕された場合、逮捕されたその1件だけが問題になるのではなく、余罪についても問題になることが多いです。
オレオレ詐欺で逮捕された場合に、余罪も含めて総合的にどのように対応すればよいかについて弁護士 楠 洋一郎が解説しました。ぜひ参考にしてみてください。
【用語の説明】 このページでは現に逮捕・勾留されている事件を「本件」、未だ逮捕されていない同種の犯罪を「余罪」と表記しています。 |
オレオレ詐欺の弁護方針①-全面的に黙秘する
1.取調べ対応
逮捕・勾留されている本件についても、未だ逮捕されていない余罪についても、全て黙秘するという方針です。
この方針で進める場合は、余罪で再逮捕された後も黙秘を続けることが多いです。つまり、捜査がひと通り終わるまでずっと黙秘を続けることになります。起訴されれば、検察側の証拠を確認した後に公判で自白するか黙秘するかを決めることになります。
2.全面黙秘のメリット
余罪も含めて全面黙秘する場合のメリットは、「被疑者側から捜査機関に一切ヒントを与えないため、自白する場合に比べると、起訴される件数が少なくなる可能性が高まる」ということです。
3.全面黙秘のデメリット
全面黙秘のデメリットは次の通りです。
①取調官のプレッシャーがきつい
黙秘すると、担当の刑事や検察官が黙秘をやめさせようとして、厳しいプレッシャーをかけてきます。「黙秘していて反省しているといえるのか?」、「黙秘していると知ったら親も悲しむぞ。」、「裁判官にも理解してもらえない。」等と言われ続け、精神的に参ってしまう被疑者もいます。
②黙秘しても再逮捕・追起訴される可能性は十分にある
黙秘しても、防犯カメラなど他に証拠があれば再逮捕や追起訴を回避できません。一般的には、全面的に自供する場合よりも、黙秘した場合の方が再逮捕される回数は多くなります。
③保釈が遅くなる
再逮捕されることにより保釈請求するタイミングが遅くなります。再逮捕の前であっても本件が起訴されれば、保釈請求することはできます。ただ、保釈された後に余罪で再逮捕されれば、また拘束されるため、「これ以上再逮捕がない」という状況になってから保釈請求をします。
また、全面黙秘していると、保釈請求をしても検察官から徹底的に反対され、検察側の証拠調べが終了するまでは保釈される可能性が低くなります。
⇒検察官の保釈意見とは?3つのタイプと活用方法を弁護士が解説
いったん保釈が許可されても検察官が(準)抗告してくる可能性が高いです。
オレオレ詐欺の弁護方針②-余罪についてのみ黙秘する
1.取調べ対応
逮捕・勾留されている本件については、取調官に正直に供述するが、余罪については黙秘するという方針です。
2.余罪についてのみ黙秘するメリット
この方針のメリットは、「余罪について黙秘することにより、自供した場合に比べて、余罪について起訴されない可能性が高まる」ということです。
また、証拠が十分にない事件については、再逮捕を回避できる可能性が高まります。
黙秘していた余罪で再逮捕された場合、方針を変更してその余罪については自白する場合と、方針を変更せず再逮捕後も黙秘を続ける場合の2つのパターンがあります。
どちらの方針をとるかは逮捕状の内容や取調官の発言から想定される捜査側の証拠によりますので、弁護士に相談するとよいでしょう。
3.余罪についてのみ黙秘するデメリット
基本的には全面黙秘する場合のデメリットと同じです。本件について自白していても、余罪について黙秘していれば、取調官はプレッシャーをかけてきますし、証拠があれば自供させるために余罪で再逮捕してくるでしょう。
ただ、再逮捕された後に方針を変更して自白する場合は、取調官のプレッシャーは弱まりますし、保釈請求に対して検察官が強硬に反対してくるケースも少ないです。
オレオレ詐欺の弁護方針③-全面自供する
1.取調べ対応
本件について自白するだけではなく、まだ再逮捕されていない余罪についても全面的に自白するという方針です。
2.全面自供のメリット
余罪も含めて全面自供した場合のメリットは次の4つです。
①本件について勾留延長されないことがある
起訴前の勾留期間は原則10日ですが、さらに10日間延長することができます。オレオレ詐欺のような特殊詐欺では、ほとんどのケースで勾留が延長されます。
ただ、余罪も含めて全ての事件を自白した場合は、現在勾留されている本件について、勾留が延長されずに10日目に起訴される余地がでてきます。
②余罪について再逮捕される可能性が低くなる
余罪も含めて全面自供することの最大のメリットは、余罪で再逮捕される可能性が低くなるということです。
被疑者が余罪について黙秘していれば、捜査機関は何とか被疑者の口を割らせようとして、余罪で再逮捕することが多いです。
被疑者を再逮捕した場合も、48時間以内に検察庁、72時間以内に裁判所に連行しなければいけません。また、検察官は勾留期間内に起訴するか釈放するかを決めなければいけません。
そのため、捜査機関としても被疑者を何度も逮捕するのは負担がかかります。
被疑者が余罪も含めて全面的に自供しているのであれば、必ずしも再逮捕する必要はなく、追送致により捜査を進めていく可能性が高くなります。
追送致という扱いになれば再逮捕されることはありません。保釈されれば、自宅から警察や検察庁に行って余罪の取調べを受けることになります。
③取調官が穏やかになる
たとえ本件について自白していたとしても、余罪について黙秘していれば、「どうせ逮捕されるまで黙秘してるんだろ!」、「そんなんじゃ反省したことにならないぞ!」等と取調官は厳しい態度で被疑者をプレッシャーをかけてきます。
ところが余罪も含めて全面的に自供すれば、取調官の態度はいっきに穏やかになります。自供した瞬間から取調官の対応が優しくなるため、被疑者としても胃が痛くなるような重圧から解放されます。
④早めの保釈が可能になる
再逮捕がなくなれば、現に勾留されている本件が起訴されればすぐに保釈請求できるようになります。
また、余罪についても全面自供していれば、検察官も保釈に対して形式的に反対意見は出してきますが、「保釈なんて絶対に許さん!」という強硬な反対意見が出される可能性は低くなります。そのため保釈が許可される可能性が高まります。
⇒検察官の保釈意見とは?3つのタイプと活用方法を弁護士が解説
3.全面自供のデメリット
余罪も含めて全面自供した場合のデメリットは、「関与した全ての余罪が起訴され、最終的な刑罰が重くなる可能性が高くなる。」ということです。この点は全面自供する以上、仕方がないといえるでしょう。
オレオレ詐欺で逮捕-どの方針を選択すべきか?
1.かけ子の場合
オレオレ詐欺のかけ子は、警察にアジトに突入され、他のかけ子と一緒に逮捕されることが多いです。そのため、3つのうちのどの方針をとるかは、他のかけ子の対応と関連してきます。
黙秘の方針をとるのであれば、他のかけ子も黙秘している必要があります。他のかけ子が自供しているのに、自分だけ黙秘していても意味がないからです。
そのため、各被疑者の弁護士が連絡をとりあって、どのような方針で臨むのかを調整した方がよいでしょう。
2.受け子の場合
受け子は、通常、単独で逮捕されるため、共犯者との調整ということは問題になりません。受け子は、被害者から現金を受けとるケースとキャッシュカードを受けとるケースの2つのタイプがあります。
キャッシュカードを受けとった場合は、そのカードを使ってコンビニのATMで現金を引き出していることが多いです。
このように受け子と出し子を兼ねている場合は、キャッシュカードの利用履歴からすぐにATMを特定することができ、ATMの防犯カメラに顔が撮影されていることから、黙秘しても足がつくことが多いです。
そのため、一部自供か全面自供をベースに対応した方がよいでしょう。詳細は刑事事件の経験豊富な弁護士にご相談ください。
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