【保釈】制限住居離脱罪とは?罰則や要件について弁護士が解説

【保釈】制限住居離脱罪とは?罰則や要件について弁護士が解説

 

刑事訴訟法が改正され、保釈中の被告人が一定の場合に制限住居を離れると処罰されることになりました。

 

 

このページは保釈に詳しい弁護士 楠 洋一郎が制限住居離脱罪の罰則や要件、保釈請求への活かし方について解説しました。ぜひ参考にしてみてください!

 

 

 

 

制限住居離脱罪とは?

制限住居とは保釈中に生活をすべき場所として裁判所から指定される住居です。保釈中に裁判所の許可なく(または許可に違反して)、裁判所に指定された期間を超えて制限住居を離れると犯罪になります。それが制限住居離脱罪です。

 

 

制限住居離脱罪は、2023年5月17日に公布された「刑事訴訟法の一部を改正する法律」によって新たに創設されました。

 

 

従来も制限住居を離れることによって、保釈が取り消されたり保釈金が没収されることはありましたが、今回の刑事訴訟法の改正により、保釈の取り消しや保釈金の没収にとどまらず、一定の場合に独立の犯罪として処罰されることになりました。

 

 

制限住居離脱罪の罰則は?

制限住居離脱罪の罰則は2年以下の拘禁刑です。拘禁刑とは従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した新しいタイプの刑罰で、2025年6月までに導入されます。拘禁刑が導入されるまでは懲役刑として扱われます。

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【制限住居離脱罪の条文】

刑事訴訟法95条の3 裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

 

②前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。

 

 

制限住居離脱罪の要件は?

制限住居離脱罪は以下の要件を満たす場合に成立します。

 

 

1.裁判所の許可がない場合

①保釈許可にあたり、裁判所の許可を受けないで指定する期間を超えて制限住居を離れてはならない旨の条件が付されること

 

②制限住居を離れること

 

③裁判所の許可を受けないで、正当な理由なく、指定する期間を超えて制限住居に戻らないこと

 

 

2.裁判所の許可がある場合

①保釈許可にあたり、裁判所の許可を受けないで指定する期間を超えて制限住居を離れてはならない旨の条件が付されること

 

②「〇日までなら制限住居を離れてもよい」という裁判所の許可が出ること

 

③制限住居を離れること

 

④裁判所から許可された期間を超えて制限住所に戻らないこと

 

 

制限住居離脱罪-保釈請求にどう活かす?

制限住居離脱罪が創設された目的は、保釈中の逃亡を防止するためです。保釈中の被告人が制限住居から離れて戻ってこないと逃亡につながりやすくなるため、一定の場合に処罰することによって逃亡を防止しようとしているのです。

 

 

保釈請求をしても、裁判所に逃亡のおそれが大きいと判断されれば、却下されてしまいます。

 

 

もっとも、保釈を許可するにあたって、裁判所によって「裁判所の許可なく指定する期間を超えて制限住居を離れてはならない条件」が付されれば、被告人にとってプレッシャーとなり逃亡のおそれが低下すると言えます。

 

 

そのため、弁護士が制限住居離脱罪を逆手にとって、そのような条件を付すことを裁判所に求めることによって、逃亡のおそれを低下させ、保釈の成功率を高めることが考えられます。

 

 

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