【保釈】不出頭罪とは?罰則や要件について弁護士が解説

【保釈】不出頭罪とは?罰則や要件について弁護士が解説

 

刑事訴訟法が改正され保釈中の被告人が公判期日に出頭しないと処罰されることになりました。このページは保釈に詳しい弁護士 楠 洋一郎が不出頭罪の罰則や要件、保釈請求への活かし方について解説しました。ぜひ参考にしてみてください!

 

 

 

不出頭罪とは?

不出頭罪とは、保釈中の被告人が正当な理由なく公判期日に裁判所に出頭しないときに成立する犯罪です。不出頭罪は、2023年5月17日に公布された「刑事訴訟法の一部を改正する法律」によって新たに創設されました。

 

 

従来も公判期日に出頭しない場合、保釈が取り消されたり保釈金が没収されることはありましたが、今回の刑事訴訟法の改正により、保釈の取り消しや保釈金の没収にとどまらず、独立の犯罪として処罰されることになりました。

 

 

【刑事訴訟法】

第二百七十八条の二 保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

 

 

不出頭罪の罰則は?

不出頭罪の罰則は2年以下の拘禁刑です。拘禁刑とは従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した新しいタイプの刑罰で、2025年6月までに導入されます。拘禁刑が導入されるまでは懲役刑として扱われます。

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不出頭罪の要件は?

不出頭罪は以下の要件を満たす場合に成立します。

 

 

1.召喚を受けたのに公判期日に裁判所に出頭しないこと

2.出頭しないことにつき正当な理由がないこと

 

 

「正当な理由」とは、病気や災害による交通機関の途絶等が挙げられます。公判期日を忘れていてすっぽかした場合は正当な理由にはあたりませんのでご注意ください。

 

 

初公判については、事前に公判日時が記載された召喚状が裁判所から被告人に郵送されます。これに対して、第2回公判以降は、法廷で公判日時を言い渡されるだけで召喚状は届きませんので、忘れないよう注意する必要があります。

刑事裁判の日程について

 

 

【刑事訴訟法】

第65条 召喚状は、これを送達する。

②被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。

③裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員(刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。

 

 

弁護士からも不出頭罪について事前に被告人に説明しておくべきです。

 

 

不出頭罪-保釈請求にどう活かす?

被告人が公判期日に出頭しなければ原則として開廷することはできません。被告人が公判期日に出頭することは最も基本的な義務といえます。

 

 

保釈請求する際も、公判期日に必ず出頭する旨の誓約書を被告人に書いてもらい、弁護士が裁判所に提出します。身元引受人にも「被告人が公判期日に出頭する際は付き添います。」といった誓約書を書いてもらいます。

 

 

今回の刑事訴訟法の改正により、正当な理由なく公判期日を欠席すれば不出頭罪として処罰されることになりました。そのため、被告人が出頭しないという事態は従来に比べてより一層起こりにくくなったといえるでしょう。

 

 

このような事情を保釈請求の際に弁護士が主張することにより、「保釈を許可しても問題なく出頭が確保される」と裁判所にアピールすることが可能になります。

 

 

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