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再逮捕された!保釈請求のタイミングは?保釈金についても解説
このページは弁護士 楠 洋一郎が執筆しています。
目次
再逮捕とは?
再逮捕とは一度逮捕された被疑者を刑事手続が終了する前に再び逮捕することです。よくある再逮捕は以下のようなケースです。
ケース①:被害者Aに対する詐欺で逮捕⇒被害者Bに対する同様の詐欺で再逮捕
ケース②:令和5年の業務上横領で逮捕⇒令和6年の業務上横領で再逮捕
ケース③:覚醒剤の所持で逮捕⇒覚醒剤の使用で再逮捕
再逮捕は、被害者・犯行期間・犯行態様が異なる別の犯罪についてなされます。全く同じ事件で再逮捕することは原則として許されません。
⇒再逮捕とは?報道や執行猶予との関係など「気になること」を全解説
保釈とは?
保釈とは、保釈金の納付を条件として、判決が出るまでの間、勾留の執行を一時的に停止することです。わかりやすく言うと、保釈されれば判決までの間は留置施設の外に出ることができます。
保釈は起訴後の制度です。起訴前に保釈請求をすることはできませんのでご注意ください。
再逮捕された!保釈請求のタイミングは?
再逮捕された場合、保釈請求は「これ以上再逮捕されない状況」になってから行います。
起訴後はいつでも保釈請求をすることができます。もっとも、保釈された後に再逮捕されると保釈請求をした意味がなくなりますので、これ以上の再逮捕がないという状況になってから保釈請求をします。
「これ以上の再逮捕がないという状況」か否かは、弁護士が検察官に確認する等の方法で見極めます。
⇒弁護士が教える再逮捕されるかどうか知るための4つの手がかり
再逮捕された事件で、最も早い保釈請求のタイミングは、最後に再逮捕された事件が追起訴された当日になります。
【具体例】
| 起訴日 | 初公判 |
事件①(最初に逮捕) | 3月1日 | 4月10日 |
事件②(再逮捕) | 4月15日 | 5月10日 |
*これ以上の再逮捕がないと仮定します。
このケースでは4月15日が最も早い保釈請求のタイミングになります。
再逮捕された!保釈請求のタイミングにより保釈金が高くなる!?
1.初公判の前と後で保釈を審査する部署が異なる
再逮捕されたケースで保釈請求をする場合、最初に逮捕された事件の保釈と再逮捕された事件の保釈が別の部署によって審査されることがあります。これは、初公判の前か後かで、保釈を審査する部署が異なるためです。
初公判が終わった事件の保釈は、公判を担当した裁判所が審査します。これに対して、初公判が終わっていない事件の保釈は、公判を担当しない裁判官が審査します。
公判を担当する裁判所が先入観をもって初公前に臨むことがないよう(予断排除の原則)、初公判前の保釈については公判に関わらない裁判官が審査するのです。先ほどの例でみていきましょう。
【保釈請求の日…4月15日】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する部署 |
事件①(最初に逮捕) | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判所 |
事件②(再逮捕) | 4月15日 | 5月10日 | 公判を担当しない裁判官 |
この場合、最速で保釈請求できるタイミングは事件②が起訴された4月15日です。この時点で、最初に逮捕された事件①の初公判(4月10日)は終わっていますが、再逮捕された事件②の初公判(5月10日)は終わっていません。
そのため、事件①の保釈については公判を担当する裁判所が審査し、事件②の保釈については公判を担当しない裁判官が審査します。保釈請求書も2通作成し、それぞれの部署に提出します。
2.保釈請求のタイミングにより保釈金が違ってくる
再逮捕されたケースで保釈請求する場合、タイミング次第で別々の部署が保釈について判断することがあります。保釈金についてもそれぞれの部署が独自に判断します。
一般的には、全ての事件の初公判が終わってから、公判を担当する裁判所にまとめて保釈請求した場合の方が、より早いタイミングで別々の部署に保釈請求する場合よりも、保釈金の合計額は低くなります。
以下の例でいうと4月15日に保釈請求するよりも5月10日に保釈請求した方が保釈金の総額は低くなります。なるべく保釈金を低く抑えたいのであれば、すべての事件の初公判が終わった後に保釈請求するとよいでしょう。
【保釈請求の日…4月20日】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 | 保釈金 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 | 150万円 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 | 保釈のみ担当する裁判官 | 150万円 |
【保釈請求の日…5月10日】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 | 保釈金 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 | 100万円 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 | 100万円 |
再逮捕された!保釈の判断が異なることも
再逮捕されたケースで保釈請求する場合、保釈について審査する部署が異なってくることがあります。その結果、保釈についての判断も部署ごとに異なってくることがあります。
一般的には初公判が終了した事件の方が終了していない事件よりも保釈請求が許可される可能性が高くなります。
そのため、初公判を終えた事件①について保釈請求が許可され、初公判前の事件②については却下されることが少なくありません。被告人が実際に釈放されるためには、全ての保釈請求が許可される必要があります。
再逮捕後の保釈が却下された!保釈請求の次のタイミングは?
最速で保釈請求して却下された場合、次のタイミングとして考えられるのは、再逮捕された事件の初公判が終わった日以降となります。以下の例で言うと5月10日が保釈請求の第2のタイミングになります。
【保釈請求の日…5月10日以降】
| 起訴日 | 初公判 | 判断する裁判官 |
事件① | 3月1日 | 4月10日 | 公判を担当する裁判官 |
事件② | 4月20日 | 5月10日 |
事件①の初公判と事件②の初公判は同じ裁判所が担当します。事件②の初公判が終わった後はこの裁判所が各事件の保釈請求についてまとめて判断します。そのため保釈請求書は1通のみ作成し、公判担当の裁判所に提出することになります。
再逮捕と保釈のまとめ
ポイント①…再逮捕されたケースで保釈請求できる最速のタイミングは再逮捕された事件が起訴された当日である。
ポイント②…再逮捕されたケースで最速のタイミングで保釈請求をすると保釈金が高めになることがある。
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