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痴漢で逮捕される?されない?逮捕後の流れや弁護士をつけるメリット
痴漢で捕まった場合、現行犯逮捕されることが多いですが、逮捕されずに在宅事件として捜査されることもあります。その場から逃げて後日逮捕されることもあります。
このページでは痴漢で逮捕されやすいケースや逮捕された後の流れ、弁護士をつけるメリットについてウェルネス法律事務所の弁護士 楠 洋一郎が解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
目次
痴漢は現行犯逮捕しかできない?
1.痴漢は現行犯逮捕が基本
痴漢で逮捕されるケースの多くは現行犯逮捕によって拘束されています。
現行犯とは、①現に犯罪を行なっている者と②今まさに犯罪を行ない終わった者をいいます。痴漢事件では、目の前で痴漢をしている人と直前まで痴漢をしていた人が現行犯になります。
「私人逮捕」と言って現行犯逮捕は警察官に限らず誰でもすることができます。痴漢事件の犯人は被害者や目撃者に私人逮捕されることが多いです。
2.後日逮捕されることも
ネット上では「痴漢は現行犯以外では逮捕されない」と言われていますが、事実ではありません。後日捜査員から逮捕状を示され、通常逮捕されるケースもあります(後日逮捕)。
後日逮捕のタイミングは一概には言えませんが、痴漢をしてから3ヶ月~6ヶ月後あたりが多いです。
⇒痴漢で後日逮捕されるケースは?後日逮捕の流れや回避する方法を解説
痴漢は何罪で逮捕される?
痴漢は、都道府県の迷惑防止条例違反、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪のいずれかになります。
着衣の上からでん部や太ももを触った場合は迷惑防止条例違反になります。罰則は東京都を含む多くの自治体で50万円以下の罰金または6か月以下の懲役です。
下着の中に手を入れて陰部や臀部を直接触った場合は、不同意わいせつ罪になります。罰則は懲役6か月~10年です。
下着の中に手を入れただけでなく陰部に指を入れた場合は、不同意性交等罪が成立します。罰則は懲役5年~20年です。
不同意性交等罪が成立する場合は、非常に高い可能性で逮捕されます。不同意わいせつ罪が成立する場合も逮捕される可能性がかなり高くなります。迷惑防止条例違反にとどまる場合は、逮捕されずに在宅事件として進められることも少なくありません。
痴漢は現行犯逮捕される?されない?決め手はこれだ!
現行犯逮捕は私人でもできますが、私人による取り押さえ行為を現行犯逮捕として扱うか否かは、警察の事後的な判断によります。
捜査員は双方の当事者や目撃者から事情を聴いたり、防犯カメラを確認する等して、現行犯逮捕として扱うか否かを判断します。
もし捜査員が「人違いによる誤認逮捕の可能性は低い。」と判断すれば、当初の取り押さえ行為を私人による現行犯逮捕として取り扱います。
これに対して、捜査員が、女性があいまいな供述をしている等の理由により、「人違いによる誤認逮捕のおそれがある。」と判断すれば、当初の取り押さえ行為を現行犯逮捕として扱わず、在宅事件として捜査を進めていきます。
このように、私人による取り押さえ行為を現行犯逮捕として扱うか否かは、「誤認逮捕のおそれ」という観点から捜査員が事後的に判断します。
痴漢で現行犯逮捕されやすいケースは?
捜査員が痴漢を現行犯逮捕として扱うか否かを判断するにあたって、最も気にしているのは「誤認逮捕のおそれ」です。
痴漢事件で誤認逮捕のおそれが最も小さいケースは、「男性が女性の体を触っているまさにその瞬間に女性が自分の体を触っている男性の手をつかんだケース」です。このケースでは現行犯逮捕として取り扱われる可能性が高いです。
ホームに降りてから「痴漢してましたよね?」と声をかけて取り押さえたケースでは、人違いによる誤認のおそれを否定できないため、現行犯逮捕されずに在宅事件として進められることが多いです。
痴漢で後日逮捕されやすいケースは?
後日逮捕の要件は以下の2つです。
①被疑者が犯人であるといえる相当な理由があること
②逃亡のおそれまたは証拠隠滅のおそれがあること
後日逮捕の要件を満たすと警察が判断すると、裁判官に逮捕状を請求します。逮捕状が発付されれば、捜査員が被疑者の身柄を確保します。痴漢事件で後日逮捕されやすいケースは以下の4つです。
①下着の中に手を入れる(不同意わいせつ罪が成立する)
②陰部に手指を入れる(不同意性交等罪が成立する)
③性犯罪の前科がある
④同じ被害者に痴漢を繰り返している
①~③のケースでは重い処分を受けることが予想されるため、警察に逃亡のおそれが大きいと判断されやすいです。
④のケースでは、被害者に対する執着が認められるため、被害者に接触して口裏合わせ(証拠隠滅)を迫るおそれが大きいと警察に判断されやすいです。
⇒痴漢で後日逮捕されるケースは?後日逮捕の流れや回避する方法を解説
痴漢で逮捕された後の流れは?
1.検察官の処分
痴漢で逮捕されれば、現行犯逮捕であれ後日逮捕であれ、逮捕の翌日か翌々日に検察庁に連行され、検察官の取調べを受けます。
検察官が逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが大きいと判断すると、裁判官に勾留を請求します。それらのおそれが小さいと判断すれば、被疑者を釈放します。
⇒【逮捕】勾留されなかったときの釈放の流れ-何時にどこに迎えに行く?
釈放されれば在宅事件として捜査が進められます。
⇒在宅事件の流れは?逮捕される身柄事件との違いや起訴・不起訴について
2.裁判官の処分
検察官が勾留を請求すると、当日か翌日に裁判所に連行され裁判官の勾留質問を受けます。裁判官も逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが大きいと判断すると、検察官の勾留請求を許可します。その結果、被疑者は勾留されます。
裁判官が逃亡や証拠隠滅のおそれが小さいと判断すると、勾留請求を却下します。その結果、被疑者は釈放されます。
⇒【逮捕】勾留されなかったときの釈放の流れ-何時にどこに迎えに行く?
釈放されれば在宅事件として捜査が進められます。
⇒在宅事件の流れは?逮捕される身柄事件との違いや起訴・不起訴について
3.勾留後
勾留されると原則10日、勾留が延長されれば最長20日わたって拘束されます。検察官はこの期間内に被疑者を釈放するか、起訴しなければなりません。
被害者との間で示談が成立すれば、速やかに釈放され不起訴になることが多いです。不起訴とは刑事裁判にかけないことです。裁判にかけられないので処罰されることはなく、前科もつきません。
4.起訴~刑事裁判
迷惑防止条例違反で示談が成立しなければ、略式起訴され罰金刑になることが多いです。
不同意わいせつ罪や不同意性交等罪には罰金刑がないため、示談がまとまらなければ公判請求される可能性が高くなります。公判請求されると公開の法廷で審理され、検察官から懲役刑を請求されます。
起訴後は保釈請求をすることにより身柄の解放を求めていきます。
痴漢で逮捕された場合の3つのリスク
1.解雇されるリスクがある
痴漢で逮捕されても、公務員でない限り、警察から勤務先に連絡がいく可能性は低いです。ただ、逮捕されると本人が勤務先に連絡を入れることもできなくなるので、無断欠勤の状態になります。
勾留を阻止できれば、ご家族に「体調不良で休みます」等と言ってもらうことにより、勤務先に怪しまれずに復職できることが多いですが、勾留されると体調不良ではごまかしきれず、解雇されるリスクがあります。
2.報道されるリスクがある
痴漢で逮捕されると一般の方であっても実名報道されることがあります。大企業の従業員や教員、医師などの専門職の方は報道される可能性が高くなります。
有名人ではないので、マスコミの独自取材で報道されるわけではなく、警察がマスコミに情報提供することがきっかけとなり報道されます。
【犯罪捜査規範】 第25条 捜査に関し、新聞その他の報道機関等に発表を行うときは、警察本部長若しくは警察署長(捜査本部を設置した場合においては捜査本部長)又はその指定する者がこれに当たらなければならない。 |
弁護士が警察署長に対して、マスコミに情報提供しないよう求める意見書を提出することもできますが、効果は限定的です。自首して逮捕を回避できれば、報道も回避できることが多いです。
3.前科がつくリスクがある
逮捕されただけで前科がつくわけではありませんが、事件としては立件されていますので、その後に釈放されたとしても、検察官が起訴・不起訴を決定することになります。起訴されれば無罪とならない限り前科がつくことになります。
有罪を立証できるだけの証拠がない場合は嫌疑不十分で不起訴になります。痴漢をしたことに争いがない場合は、被害者との間で示談が成立していれば、起訴猶予で不起訴になる可能性が高いです。
これらの事情がない場合は起訴される可能性が高くなります。初犯の方は略式起訴され罰金になる事が多いですが、罰金であっても前科がつきます。
痴漢で逮捕されたときに弁護士に依頼するメリットは?
1.勾留阻止の可能性を高める
弁護士は、痴漢で逮捕された方が勾留されることを阻止するため、検察官や裁判官に意見書を提出し、勾留の要件に該当しないことを主張します。検察官や裁判官に面談することもあります。
勾留を阻止できれば身柄拘束の期間は1日~3日で済みますので、スムーズに職場に復帰することが可能になります。
2.不起訴の可能性を高める
痴漢事件で不起訴を獲得する最短ルートは被害者と示談をすることです。捜査機関は加害者に被害者の個人情報を教えてくれません。
そのため、弁護士が検察官を通じて被害者の電話番号を教えてもらい、示談交渉に入ります。示談が成立すれば、不起訴の可能性が高くなります。
3.不利な調書をとらせない
痴漢冤罪で逮捕された場合、逮捕後の取調べで不利な調書をとられると、検察官を勢いづかせ起訴される可能性が高まります。また、裁判で冤罪を主張しても説得力が弱まってしまいます。
弁護士が被疑者と接見し、取調べにどのように対応すればよいのかを教示します。
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